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中学時代のある日②

そう、そのグループは、いま田辺エージェンシーの社長であられるドラムスの田辺昭知
率いるザ・スパイダースであったのだ。
 ヴォーカルのひとりは井上順、客席を手拍子でリードしていたのはマチャアキこと往年の大俳優である堺俊二の息子である堺正章であったのだ。
 そうオレが見た最初の日本のアーティストは、このザ・スパイダースであったのだ。
 そして、しばしの休憩タイムの後、そのサファリーズの演奏が始まった。
 ジャジャジャジャジャッ♪こんなの字で書いたって何の曲かわかりゃしないだろうけど、とにかく音符で書くわけじゃないんだからこう書くしかないよな・・・・
 ということで、先程のジャジャジャジャジャというのは“You’ve really got me”のイ
ントロのつもりでした。
 いきなりこんな曲のイントロで始まり、ギョッ、サファリーズってこんなカッコ良かったのかっ、知らなかった、不覚であった!
 あまりのカッコ良さにポーッとしてる間に曲は進み、大ヒットした彼らの“ワイプアウト”のドラムのフロアタムのイントロが始まった。ドコドコドコドコドコドドッコドコ・・・・これまたこんなカタカナ表記で書いててバカらしくなってくるけど、致し方ないことは仕方ない・・・・
 さてちょっとした興奮状態でコンサートは終了し、帰路についたのだが、さっきのあまりにカッコ良かったサファリーズの曲が忘れられなくて、その後、数日は、それが頭から離れることがなかった。
 しかしそれから数ヶ月経ち、その“You’ve really got me”という曲は実はイギリスのキンクスというグループの曲であってサファリーズの連中はそれをカヴァーしてたにすぎないということがわかり、ガッカリしたと同時にキンクスという存在と知り合えたことに異常な喜びを得ることとなった。
 我ながら微笑ましい青春の1ページである。

※このテキストは、かつて第一興商の音楽ファンサイト「ROOTS MUSIC」に連載されていた文章に、大幅に加筆修正したものです。

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