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「パンに合うカレー」を自作してみたら、絶品だった !その1

このコラムは単行本『パンのトリセツ』(誠文堂新光社)を参照にしつつ進めていきます! 本を持ってない方でも楽しめますし、本を持っていれば、なお役立つようになっています。

 「パンとカレー」というと、まず「カレーパン」が挙がりますよね。前回の記事では、パンラボの池田さんが、KALDI「ぬって焼いたらカレーパン」を自作したらうまかった!で、この人気商品の自作レシピを公開してくださっています。では、私の探求すべき「パンとカレーとは?」と自問自答し、「パンに合うカレー」をさらに探求することに。実は、共著『パンのトリセツ』にも、「パンに合うカレー」のレシピを巻末に掲載しているのです。これは、市販のカレールーを使わずにすごくおいしくできるレシピなので、本をお持ちの方は、ぜひ作ってみてください。

パンに合うカレーを求めて、京都へ

今回、このテーマで探求していきたいと考え、私が生まれて初めての「パンとカレー」を経験した京都へと向かいました。最後に食べたのが今から10年以上前、味の記憶がかなり曖昧になっていたのです。京都駅からバスに乗り向かった先は、京都大学に近い、大正2年創業の老舗ブーランジュリー「進々堂」京大北門店。進々堂の創業者は、日本人としてはじめてフランス・パリへパン留学されたことでも知られている方です。

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老舗の風格が残るこの店舗は、昭和5年に京都で初めて本格的フランス風カフェとして建てられた洋風建築だとか。ファサードには「NOTRE PAIN QUOTIDIEN ノートル・パン・コティディアン(私たちの日常のパン)」などのハイカラな文字が見てとれます。

「カレーパンセット」を注文し、ルノワールの絵がよく見える大テーブルへ。まもなく、カレーとパン2つ+バター、サラダ、コーヒーがのったトレイが運ばれてきました。小ぶりな深皿に入ったカレーは肉と玉ねぎのみ。ご飯にかけていただくには、少し頼りない濃度。しかし、口に運ぶと、コクを伴わない澄んだ深みがありました。だから、カレーだけをスプーンですくって食べてもおいしいし、パンをちぎってつけて食べてもおいしい。久しぶりに再会した、私の元祖「パンに合うカレー」は、やっぱりおいしかった!作ってみたいという気持ちがふつふつと湧いてきました。

「進々堂」の京大北門店は、「パン食堂」と呼ばれていた当時の雰囲気が残っています。京都に行かれる際は、「カレーパンセット」と合わせて、ぜひ。

パンに合うカレーを分析してみる

京都から帰り、自分なりに分析してみた結果、パンに合うカレーはカレーうどんのカレーと同じ原理ではないかな、と思いました。パンもうどんも、もともと味がついている食べものです。これらにカレーを合わせるには、ご飯にかけるために作られたカレーでは濃すぎますよね。ですから、味のある食べものと調和する、たっぷりの旨味とほどよい塩味を含んだカレーというのが、「パンに合うカレー」の定義かなあ、と。そこで、進々堂の味を、「パンに合うカレー第2弾(第1弾は『パンのトリセツ』に載っているレシピということで......)」として、自分なりに再現してみました。

トリセツ流レシピ「パンに合うカレー第2弾」

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4人分
昆布だし
 水……500ml
 昆布……10g
 水……500ml
豚肉(モモ肉など)の切り落とし……250g
玉ねぎ……2個(約400g)
植物油……大さじ1
カレールー(中辛)……1/2パック

進々堂でいただいたカレーの「コクを伴わない澄んだ深み」の正体は「昆布だし」ではないかと想像し、①水分のすべてを昆布だしにする/②カレールーに対する水分量を多くする/③肉と玉ねぎはたっぷりめに、という感じで作ることにしました。カレールーは市販のブロックタイプ、最もポピュラーなブランド「ハウスバーモントカレー中辛」を使用。スパイスがいろいろ入っていない方が、昆布だしのカレーには合うかな、と。

水出し昆布でボディを作る

/ 昆布は約2cm幅(長さは好みで)に切ります。

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 / 水500mlにを入れ、5~6時間以上漬けます。 漬けすぎる分には問題ありません。大きなビンやボウルがあれば、それに水1Lを入れ、切った昆布10gを入れてもよいです。私は台所や持っている道具の事情で、500mlに昆布を入れて昆布だしを作り、水500~600mlで割る方法をとっています。

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/ 玉ねぎは薄皮をむき、8等分のくし切りにします。

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/ 豚肉は縮むので、大きめのひと口大に切ります。

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炒めて、煮る

/ 鍋に中火で植物油を熱し、豚肉を加えて炒めます。豚肉に少し火が通ったところで、玉ねぎを加え、約1分炒めましょう。この時点で、玉ねぎはしんなりしてなくても大丈夫です。

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/ 昆布だしと水を合わせて1Lになるように調整し、に加えます。ふたをして、火を少し強めましょう。沸騰してきたら、あくをとり、再びふたをして少し弱めの中火で、約30分煮込んでいきます。

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カレールーを加えて仕上げる

/ いったん火を止め、線に沿って割ったカレールーを加えます。カレールーが完全に溶けるまで木べらでよく混ぜましょう。

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/ 再び火をつけ(少し弱めの中火)、約5分、ポタージュのような濃度がつくまで木べらで混ぜ続けたら、でき上がりです。

ここまで読んでおわかりになった方も多いと思いますが、水出し昆布を作る以外は、市販のカレールーで作るカレーと全く同じプロセスなんです。でも、ひと味もふた味も違った、ご飯じゃなくパンに合うカレーになるから、本当にビックリ!! 進々堂ふうにトレイにのせ、サラダも添えてみました。

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おわりに

* このカレーには、進々堂で出されているようなロールパンや丸パンの他、食パンのトーストもよく合います。ほんのり甘味のある日本のパンが合うようです。
* ご飯と一緒にいただく場合は、ご飯にかけるのではなく、パンのときと同じように別で盛りつけ、スープカレーとしていただくとよいでしょう。これはこれで病みつきになる食べ方です。
* まだトライしてはいませんが、カレーを作る鍋に1L分の水出し昆布を作り、昆布をとり出して火にかけ、肉や玉ねぎを炒めず入れるという方法でも同じような味に仕上げられるのではないかと思っています。この方法で同じ味になれば、洗いものも少なくてすみますし、より気軽に作れますよね。この方法を試作した際には、結果をここに追記しておきます。

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