現場に改革をもたらすのは誰か。

久々のノート更新。作ったはいいものの、なかなか書くまでに時間がかかるもんなんですね。そんな完璧な文章書きたいと思ってはいないけど書くからには、ちゃんとした参照とかも載せたほうがいいだろうとか考えちゃいます。

今回のテーマは、文部科学省と県教育委員会の力関係の話。文部科学省が県教委の上司であることはよく知られていますが、その文科が県教委に対してどれほどの力を保持しているかはあまり認知されていません。現職の教師でも知らないまま働いている人も多いでしょう。文科と教委の力関係を知れば、だれが働き方改革を進めていて誰がガンなのかを知ることができます。ぜひ、最後まで読んでみてください。

結論から言うと、現状働き方改革を邪魔しているガンは県教委と管理職です。

なぜか。なぜなら文科省は今のところ彼らができることをやっているから。というかしばらく前から働き方改革を進めるための発言を繰り返していました。なぜガンが県教委と管理職かを証明するためには、まずは文科と県教委の力関係を表す法律から勉強していかないといけません。

文科と県教委の力関係を定めている法律は地方教育行政法第48条です。そこにはこう書かれています。

第48条 地方自治法第245条の4第1項の規定によるほか、文部科学大臣は都道府県又は市町村に対し、都道府県委員会は市町村に対し、都道府県又は市町村の教育に関する事務の適正な処理を図るため、必要な指導、助言又は援助を行うことができる。

文科大臣は、自治体に対して指導、助言ができる、とのこと。

まてまて、なんだこの指導助言って。命令はできていないってこと?

その通り、文科は県教委の上の立場ではあるものの、地方分権を進めるために県教委には指導という形しか取れなくなってしまったんです。

ここで大切なことは、指導に法的拘束力があるかどうかです。

悲報ですね、指導には法的拘束力はありません

なんだ、じゃあ文科いる意味ないやんけって思いますか?大丈夫、腐っても文科は教育をつかさどる行政機関。県教委が文科が出す教育施策に従わない場合には力で言うことを聞かせることができるんです。

次に見るのは地方自治法第245条

各大臣は、その担任する事務に関し、都道府県の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該都道府県に対し、当該自治事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができる。

要は、指導助言を聞かない場合は、指導助言に近づけるための義務が生じますよ、ということです。ただし、是正改善の方法は県教委に委ねられています。なんだか意外と文科は直接手が出せないようですね。さて、次にこの義務すら無視したらどうなるのか。文科先生、いっちゃいましょう。

地方自治法第251条の7を見てみます。少し長いので飛ばして私の文を先に読んだほうがすんなりわかるかも。

第二百四十五条の五第一項若しくは第四項の規定による是正の要求又は第二百四十五条の七第一項若しくは第四項の規定による指示を行つた各大臣は、次の各号のいずれかに該当するときは、高等裁判所に対し、当該是正の要求又は指示を受けた普通地方公共団体の不作為(是正の要求又は指示を受けた普通地方公共団体の行政庁が、相当の期間内に是正の要求に応じた措置又は指示に係る措置を講じなければならないにもかかわらず、これを講じないことをいう。以下この項、次条及び第二百五十二条の十七の四第三項において同じ。)に係る普通地方公共団体の行政庁(当該是正の要求又は指示があつた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁)を被告として、訴えをもつて当該普通地方公共団体の不作為の違法の確認を求めることができる

要は、上で背負った義務を県教委が放棄した場合、大臣が県教委を相手取って違法確認訴訟をできるということ。ちなみにこれに負けたからどうなるのかは、知りません。調べてもわからないので誰か教えてくださいレベルです。

また気が向いたときに調べなおしてみます。

ずいぶん前から文科は働き方改革を進めようとしてきました。部活動ガイドラインなどがいい例です。ガイドラインは法的拘束力がないので、現場は無視して部活動をやりまくりました。県教委も知らんふり。その結果、残業上限45時間が決定(法律として組み込まれる)。

さてこの上限45時間が法律として存在する今でも学校の業務量は変わらないどころかコロナ騒動のせいで業務量激増。部活もしてクラスター発生。政府が法律まで作ってもなお、現場は全く変わりませんでした。


今回の記事を書いた理由として、文科省を叩く現職教諭が多いと感じたからです。文科省は、上で書いたように現状できることをやってくれています。文科が命令権を県教委に対して持たないことをいいことに、好き勝手やっているのが県教委と管理職です。いま、文科は県教委に働き方改革を進めてねというお願い(指導)をしたところ。

これから、県教委がちゃんと動くかどうかを見ていきましょう。県教委が意向を示したら、それを管理職が従うかどうか。

部活は確実に縮小します。今まで教師が身を粉にして維持してきた体制ですが、犠牲が大きすぎる。多くの先生たちが体調を崩した事実もあるし、多くの生徒が部活で嫌な思いをしてしまった。それは私たち教師の責任でもあるし、もともとガタのある体制である部活動に甘んじてきた世間の責任でもあるんです。

部活がなくなることも、行事がなくなることも、県の意向なのでと一言いって終わらせるのは無責任です。管理職は世間の理解を得るための説明責任を果たすよう動かないといけません。県が意向を示したら、次は管理職の説明責任を果たすかどうかをしっかり観察しましょう。

義務が多すぎる学校に、少しでも自由を持ち込み、みんながいやすい学校ができることを祈って、今日のノートはおしまい。


ありがとうございました。











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