ちび太の旅立ち
この記事は流産に関する内容です。センシティブなテーマでもあるので、触れたくない場合は、読むことをお控えください。
ちび太との別れ
ドロっとしたものが股の間から出た感覚があった。ちび太が私の外に出た、と思った。本当かわからないけど、そう感じた瞬間だった。
ドロッと出てきたものは人間ではない。心拍も確認できていない。ただ、トイレの汚物入れの中に入れ、燃えるゴミとして処理されることに戸惑いと悔しさを感じた。
だから記録として残しておくことにした。ちび太がいたこと、ちび太が私にもらたした、この感情を書き残す必要があると思ったからだ。
前提
私たち家族は、第2子を授かるため昨年の12月から不妊治療をしている。AMH検査の結果、卵子の数が少ないことがわかり、この半年でタイミング法→人工授精→体外受精のステップに取り組んだ。今回は人工授精3回後、初めての体外受精。その結果、妊娠。ちび太は誕生したものの、妊娠後の第1関門である心拍確認のフェーズで今回の出来事が起きた。
豆知識:AMH検査とは?
ちび太が旅立った意味
今回の体外受精で起きた一連の出来事はまた別の機会に書く(はず)として、今の私の気持ちをまずはここに残しておきたい。
私は今回、自分に都合の良い「輪廻転生」を頭の中で作り上げた。そこには鬼も、地獄もない。善人、悪人、動物や虫であっても、次の生をスタートさせることに各々、試行錯誤をしているイメージ。ちび太もこの世に生まれるチャンスを得たのだけど、今回はちょっとうまくいかなかっただけ。だから、ちび太はゴミとして処理されて終わるわけではないし、これでお別れでもない。
ちび太は私の中にいる間、この世は結構良いトコロだと思えたに違いない。美味しいご飯、美しい自然、面白い本、楽しいおしゃべり、愉快な姉と頼りがいのある父、マイペースな母。なかでも、野村萬斎さんとパイプオルガンとのコラボレーション「ボレロ」を一緒に鑑賞したときは、「なんだこの美しい音色と舞いは⁉」と魅了されたに違いない。「今回はダメだったけど、もっかい、この世に生まれるために頑張ってみっか」。ちび太はそんな気持ちになっているはずだ。この世に生を得るためのモチベーション。ちび太は今回それをゲットして、一旦、神様のもとへ旅立ったのだ。私はそう思うことにした。
ちび太の記録
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?