「力の指輪」を楽しむためのエルフの歴史解説(1)

 Amazonprimeで「力の指輪」が公開されました。知ってる名前もいるけどこれは誰??という取説なしで商品を渡すiPhoneのような、指輪物語シリーズに馴染みの少ない日本人には不親切とも思える、話の進め方も見られるような気がします。
 「指輪物語」は、非常に膨大な設定のうえに書かれた物語で、「力の指輪」はその遥かな前日譚(ガラドリエル姐さんが若いのでお察しかと思いますが)となっています。
 設定や因果関係がわかればもっと楽しめるのになあ、と思われるむきも多いと思いますが、トールキン教授の設定は非常に膨大であり、なかなかとっつきにくい(だからこそオタク化しがいがある)ものです。
 そこで、知っておくとさらに楽しめる補足説明をこちらに作成したいと思います。
 (1)では、最低限知っておくべき地名、人名の説明を行います。続く(2)でエルフの歴史を紹介します。

ご注意

 このnoteは「指輪物語」の世界を楽しむ方が増えることを願って作成しています。略したり、いい加減な表現をしているところもありますので、ご容赦願います(間違った記載があれば、ご教示ください)。
 また、詳しく知りたい方は、中つ国wikiなどのサイトで詳しく知ることもできますし、『指輪物語 追補編』、『シルマリルリオン』を読むことをお勧めします。

至福の国、西方、アマン

 指輪物語の最後に、ガラドリエル達が西方に船出しましたね。「力の指輪」で船出して向かった先も同じ至福の国「アマン」です。「ヴァラール」という神霊が守る、ぶっちゃけ、幸福の島と理解しておくとよろしいかと思います。
 「アマンに渡るのがエルフの夢」みたいなセリフが「力の指輪」にありましたが、原作から外れた設定です。ガラドリエル姐さんにしてみれば、「人生に倦み疲れたときにようやく行くホスピス」くらいの感覚ではないかと。
 後段で触れますが、ガラドリエルはアマンで生まれ、長じて徒歩で中つ国に渡っています。

ヴァラール

 中つ国を作った神霊(聖霊?天使?)たち(単数形でヴァラ、複数形でヴァラール)です。更に上位の存在にイルヴァタールという、絶対神のような存在がいます。
 ヴァラールはエルフに好意的で、エルフを庇護するためにアマンに呼び寄せました。

上のエルフ

 エルフは中つ国に初めて生まれた「言葉を話す種族」で、イルヴァタールの長子という設定です。(人間はその次)
 エルフ族は、中つ国で誕生しましたが、メルコール(後述。指輪物語世界におけるルシファー的な存在)の悪影響を受けないようにと、ヴァラールがアマンに呼び寄せました。
 素直にヴァラールに従って、アマンに移住したエルフを「上のエルフ」といいます。「上のエルフ」には3部族いますが、ガラドリエルはこのうちの一つ、ノルドールエルフに属します。ノルドールエルフは、指輪物語の歴史上非常に重要、というか、前半の歴史=ノルドールエルフの歴史なので、覚えておいてください。
 エルフの設定は混み入ってますので、この記事では著名なところのみ取り上げています。

ノルドールエルフ

 エルフというと森に棲んで狩をするイメージ。ですが、ミスリルの鎧をくれたり、アラゴルンの剣を鍛造(修理)したり、イメージが違う?と思った方いませんか。
 ノルドールエルフは、別名ノーム。知識欲が強く、建築家であり、宝石の加工職人という設定がなされています。エルロンドの屋敷をはじめ、エルフの都市、豪華過ぎんか?という理由はこれです。建築家、アルケミスト、錬金術師的なイメージがあります。
 「力の指輪」に出てきたケレブリンボルもノルドールエルフです。このケレブリンボルの祖父にフェアノールという人物がいます。劇中にフェアノールの槌というアイテムが出ましたね(多分、原作にはない)。フェアノールは、中つ国の前半の歴史の最重要キャラです。

メルコールとサウロン

 先ほど、ヴァラールという神霊(聖霊・天使的)存在がいると書きました。メルコールはルシファー的存在で、元々ヴァラールの一員です。サウロンはその召使です。メルコールが力を失ってからは、冥王サウロンの名の通り、サウロンが親玉に成り上ります。メルコールの魂がサウロンに宿っているという説明も見た気がします。メルコールは後にモルゴスと呼ばれるようになりますが、煩雑なのでメルコールで統一します。

エアレンディル

指輪物語で、ガラドリエル様がフロドに、「エアレンディルの星」という光る小瓶(巨大な蜘蛛・シェロブを撃退したアイテム)を与えていました。この由来になった人がエアレンディルというハーフエルフで、エルロンドの父親です。超頻出人名の一つです。エルフ界の超有名人と覚えておいてください。

以上、外せない用語解説でした。(2)ではエルフの歴史をざっくり紹介します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?