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本編:愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~

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『愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~』の本編ノベルです。
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記事一覧

愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第29話:閉幕』(29/29)

 ──子どもたちの物語、楽しんでいただけただろうか?   *  ──私が憎い? そうかもし…

愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第28話:パン・デピスのおわり編』(28/29)

 シュガー・スプリンクル・デイから数週間。  ウチたちは新年度を迎えて、2年生に進級したの…

愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第27話:紅茶のシフォンケーキ編⑤』(27/29)

 ──ぼくはこの日、彼女の笑顔を見て、やっと覚悟を決めたんだ。  ──ぼくは、地球には行…

愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第26話:黒い森のトルテ編⑤』(26/29)

「にいさま! こちら! こちらですわ!」  街中をはしゃぎ回るトルテを見失わないように追…

愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第25話:しっとりチーズケーキ編⑤』(25/29)

『兄さんはほんとうにきみのことが大好きだった。シュガー・スプリンクル・デイが終わったら、…

愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第24話:贅沢フルーツタルト編⑤』(24/29)

 首の箇所から順番にボタンを留めていく。非実用的な衣装だと思ったけれど、着てみれば存外に…

愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第23話:とろけるフォンダンショコラ編⑤』(23/29)

 ──シュガー・スプリンクル・デイ当日。  あの時はまだ先だ、なんて思ってたのにこの日が来るのはあっという間だった。でも準備も整えたし、きっと大丈夫。覚悟もできてる。 *  待ち合わせはブラウニー時計台の下。 「ヤマイくん! ごめんね、待った?」 「ううん。大丈夫、今来たところ」  彼女、しょこらちゃんの私服はいつもと雰囲気が違っていて、髪も違った結い方で、正直可愛いと思った。似合ってると容姿を褒めると、彼女は嬉しそうにはにかんだ。 *  俺……僕はひとつ咳払いをして

愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第22話:贅沢フルーツタルト編④』(22/29)

 季節は2月の終盤。今年度もいよいよ終わりに近づいてる。  大きな学校だったら学年が上がれ…

愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第21話:黒い森のトルテ編④』(21/29)

 気持ちを自覚してからの日々は悪夢のようだった。トルテを求める欲求と、それから激しい自己…

愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第20話:紅茶のシフォンケーキ編④』(20/29)

「もえるくん、こんにちは。今日はアップルティーを持ってきたんだよ」 *    あの日──呪…

愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第19話:黒い森のトルテ編③』(19/29)

 1月になると、空から降ってくる粉砂糖が少しずつ多くなっていきます。3月31日のシュガー・ス…

愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第18話:しっとりチーズケーキ編④』(18/29)

 ──ちづさんが好きだ。大好きだ。    初めて、おれだけの事情を、彼女にとってどうでもい…

愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第17話:贅沢フルーツタルト編③』(17/29)

 ──毎日、少しでも早く家から離れて、少しでも遅く家に帰宅することができるように、あたし…

愛情≒パン・デピス~Pandepis d'amour~『第16話:とろけるフォンダンショコラ編④』(16/29)

「──……シュガー・スプリンクル・デイ当日、僕と過ごしてくれませんか?」 ******  彼女は以前より朗らかになって、以前よりも分からなくなった。  それでも俺のやることは変わらない。  目的は最初からひとつなんだから。 *  彼女が少々『おかし』くなってから、どうやって接していたかも思い出せない。それでもシュガー・スプリンクル・デイは彼女といる必要がある。そのため早々にカラシをつけてしまったわけだが。  コツコツと椅子の足を小突かれるような振動に思考の阻害をされ