見出し画像

大怪獣のあとしまつレビュー

※ネタバレ含むので観る予定の人は注意してください※



・冒頭〜序盤

 まず、冒頭でおそらく空を飛んでいる大型爆撃機(多分巨大戦艦、戦艦大和のような感じでいっているように感じた)を見て
 「2番艦が飛んでいるってことは怪獣が動き出したのでは?」
 と登場人物達が騒ぎ出す。

 しかし、予算の都合か何かでCGが制作できなかったのかその姿が登場することはなく(劇中の台詞で2番艦、というワードは3度ほどあったように思う)、なぜ2番艦なのか、というクエスチョンマークが頭に浮かび作品の世界に入り込むことが難しかった。

 また、出征する予定だった人物(おそらく徴兵制度がこの世界には存在している)が赤紙を見せびらかして女性達がわーきゃー集まってチヤホヤされているが、このシーンは果たして必要だったのか疑問、徴兵制度がある世界だということを示したかったのかもしれないがその後のストーリーには全く影響していないので。

 そしていよいよ主人公が招集をかけられ大怪獣のあとしまつへと向かう。
 冒頭シーンだけで判断するのは早いと思い、いよいよ大怪獣のあとしまつが始まる!どうあとしまつをするのか、三木聡よ見せてくれ!と期待はしたが

始まったのはあとしまつをどうするか、というテーマは置いてけぼりにされた政治家達によるダダ滑りコント

 正直政治家達によるいやいや管轄は国土交通省でしょう、厚生労働省でしょう、といった責任回避のやり取りは日本の政治問題に絡めたあるあるの共感で笑いを誘いたいという意思は伝わったのだが、余計な台詞やこれいるか?といったやり取りが長く、本来描くはずの

「それじゃ、あとしまつはどうしましょうか」

 という根本的なテーマには全く辿り着かず、主人公が指揮する特務機関に任せる、といった結論だけ出されシン・ゴジラのように官僚や政治家達が協力して解決策を巡らせ対処する、といったような'''そこに存在する人達の存在意義'''が全く感じられなかった。

 本来なら問題解決策を主人公と考えを巡らせ、時にはぶつかり、その中で省庁間の対立や問題がありそれらを乗り越えて大怪獣をあとしまつする、そんなストーリーを期待していたが、


  そんな描写は、ない。

 ああ、これはもうそういうものなんだなと諦め半分で見続けることにした。

・中盤〜終盤

 とまあ政治家達の薄寒いコント(内容はストーリーに全く関係なく触れるほどでもないので割愛する)が合間合間に挟まれ、現場では国防軍と特務機関が対立し問題の解決の糸口を探ったりするが、国防軍の存在も中途半端でわざわざ描く必要があったのかは疑問。

 国防軍の怪獣あとしまつ専門家が登場し、専門家がいるほどこの世界では怪獣をあとしまつしていたのか?という疑問が浮かぶが、そういう世界でもないようで、じゃあこのあとしまつの専門家とは?専門家なんているのか?初めてなのに?とこれだけで突っ込みが出てくるが疲れるので考えるのはやめて

初めてのあとしまつでもこの世界には怪獣のあとしまつ専門家は存在しまぁす!

 と三木聡が叫んでいるのだと思うことに……。

 で、この専門家が冷却作戦を実行するんだが主人公がもうすぐ春で暖かくなるのに無駄だ、凍らせても何も解決しない、みたいな反論をするも意固地になって冷却作戦の実行を命令。

 これはシン・ゴジラへのある種皮肉なんだろうけど、あの世界では核兵器を使わずに生きて動いている強大なゴジラをどう無害化させるか、そのために血液を凝固させて冷却装置の役割を果たしている血流を止める、そうするとゴジラはメルトダウン状態を避けるために炉心を止めて自らの活動自体を止める、結果として仮死状態になる、というゴジラの特性から導き出した解決策で、凍らせても溶けて意味がない、というアイロニー自体が破綻してしまっていて

シン・ゴジラをちゃんと見たのかという憤りすら湧いてしまった。


そもそも、もう動かない死体である怪獣を凍らせて何がしたかったのか、腐敗を止めて怪獣の死体から湧き出るガスの発生を抑えるにしても'''あとしまつ'''にはならないのだが……。


 あとはいつの間にか国防軍が出張ってきて指揮権剥奪されているんだけど細かい描写はなく国防大臣が勝手に命令していた、というような感じ。

 もうフリック入力するのすら疲れてきたが、あと少しだけ頑張ろうと思う。

 何やかんやあり、爆破の達人であるヒロインの兄貴を呼んで今では使われていないダムを爆破して水流で海まで流す(怪獣の死体は川に横たわっているため)という作戦立案をして実行するが水流で怪獣の体に穴が空きガスが噴出、あとしまつに失敗。

 結局ガスが流れ出るポイントに穴を開けてそこからガスを噴出させ、謎の町工場のおっさんが作った排煙装置で成層圏までガスを竜巻のように逃すという作戦を主人公が実行するのだが、やけに好戦的な国防軍がミサイルをぶち込み始め主人公は怪獣の死体から落下、地面に叩きつけられて見るも無惨な……姿にはならなかった。

 怪獣を謎の光が包み、怪獣が死んだ、という設定があったのだがその正体は主人公で、変身して巨大化(巨大化した姿の描写はない)、そのまま成層圏へ怪獣の死体を持ち上げてあとしまつはめでたしめでたし……。


えっ???
最初からお前が運べば良くない???
怪獣が横たわっている間、お前が駆けずり回ってわざわざ怪獣の死体に上ってポイントにチマチマ穴開けてガスを噴出させる意味、なくない???
今までの90分、なに???

 はい、びっくりしました。
 前に変身して怪獣を倒してからエネルギーを溜める必要があって変身することができず、その時になって変身することができた、とか、そういった流れがあれば主人公が四苦八苦して駆けずり回るのは分かるんですけど、そんな伏線は全くありませんでした。

 例えばセリフで
 「'''その時'''が来たら俺が何とかする」
 とか
 「まだあとしまつするには時間が足りない」
 といったような伏線となるセリフがあればまだ腑に落ちる……のだが、そういった伏線は


一切ありませんでした。

 とまあ、この映画が作品を通じて伝えたかったことは

 結末までの過程は全てが冗長だからラストがよければいいんだよ、何事も。

 ということなのだと理解しました。
 そもそもあとしまつから、ガスの発生を解決する、という方向へストーリーの軸が途中からズレていたし、劇中で怪獣の死体を観光資源にしようと提案されて首相が断ったり死体を送ってほしいとアメリカに頼まれて苦言していたり、登場人物達自体があとしまつの結末、方向性を全否定しており、ストーリーの方向性はズレたままだった。

 他にも、ゲロうんこ問題だとか、やけに多すぎて無意味なキスシーンとか、突如として発生したガスによるキノコ増殖問題とか、ストーリーに描く必要があるか?根本的に描きたかった世界観は何か?そもそもこの映画のストーリーはなんだったのか?
 てかヒロイン結婚しているのに主人公のことがまだ好きなの!と言い出すとんでもない人物で

結局イケメンかよ!

 と絶叫している自分が……。

 山田涼介が好きな人は見ても損はないと思いますが、山田涼介が好きじゃない人は

結論!シン・ゴジラを見ましょう!!!

 最後まで読んでいただきありがとうございました、正直何をどうレビューしたらいいかわかりませんでしたがめちゃくちゃな映画を見たい人には一応お薦めしておきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?