グラデーション(短歌15首)
そっと踏む紅葉のじゅうたん背も張っていつもと違う紺色のコート
かじかんで伸ばした指先夕映えに翳してみれば大きな紅葉
赤黄色パプリカの波野菜は海魚は泳ぐレンジは三分
秋葵夫人の指は緑色星のたまごは土にて眠る
連れてって!手を貸したげる特別にエサもサカナも素手で触れるし
お留守番決死の覚悟で言い聞かせだって君は猫なのだから
交差点触れた指先熱孕む青空には月隣には君
きっぱりと塗り分けられた白と黒雪の儚さ日陰の強さ
白い指その先っぽだけ捲らせて私と同じ色しているの?
晴れ渡る青空の下黒の車ティアラは光今日はお祝い
明日の晩水槽の前待ち合わせそのとき教えて魚の名前
見れない眼ギムレットはまだ早すぎる涙の味はジンに隠して
真夜中の軽いシーソー一人乗り「またいつか」などあるはずもなく
午前四時孤独は画面に奪われて砂嵐さえ今や昔の
煌めくは蟹座のそばの宝石の星の名前は君にしようか
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