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日本語教師とは? 仕事内容、やりがいなど

1.日本語教師の仕事内容とは?

 日本語教師は、日本語がわからない外国人に日本語を教える仕事です。
 私は、日本の大学や専門学校に進学するため日本に来た中国人やベトナム人などの外国人留学生に、日本語学校で日本語を教えていました。かれこれ10年、日本語教師をしていました。


2.日本語教師の仕事で大変なこと

 2-1.日本語ができないまま日本に来る留学生

 外国人留学生は、母国(中国やベトナムなど)で少し日本語を勉強した後、来日してくるのですが、多くの留学生は、日本語の能力が低いです。ほとんど日本語ができません。
 「こんにちは」「おはようございます」といったあいさつや、「私は(名前)です」という簡単な文法はできますが、難しい単語や複雑な文法はできません。


 2-2.中国人留学生も漢字が読めない

 中国人は漢字の意味がわかっても、読めません。中国語と日本語では発音がぜんぜん違うので。また漢字には訓読みと音読みがあります。「石」の訓読みは「いし」、音読み「せき」です。母国で漢字を使っている中国人は日本語の漢字を読むことができません。

 なお、母国に漢字がないベトナム人は漢字がまったくわかりません。文字通り一から漢字を教えます。


 2-3.カタカナは中国人もベトナム人も書けない

 ひらがなについては、中国人、ベトナム人留学生ともに、少し読むことができる場合が多いですが、多くの場合、カタカナを正確に書けません。
 あ、い、う・・・を、ア、イ、ウ・・・と読むこと、書くことはできますが、たとえば、「チョコレート」をカタカナで書かせると、「チヨコレト」のように、小さい「ョ」や長音「ー」は書けません。小さい「ッ」も苦手です。「ペット」は「ペト」と書きます。
 来日当初にかぎらず、来日後1年たっても、ままならないことがあります。


 2-4.日本語を初級から教える

 このように来日したばかりの日本語の能力では、留学生は日本の大学や専門学校に入学することができません。もし入学しても大学などの講義、授業についていけないでしょう。
 このため、日本語学校では、日本語教師がほとんど一から日本語を教えます。
 日本語教師は、日本語を初級、中級、上級とレベル分けします。多くの留学生が初級の日本語レベルで来日します。
 また、外国人の日本語能力を測る日本語能力試験という、公的機関が実施している試験がありますが、この日本語能力試験は、日本語のレベルを、低い順から高い順にN5、N4、N3、N2、N1とそれぞれのレベルの試験を行っています。
 多くの留学生が最低のN5レベルもしくはそれ以下の日本語レベルで来日します。
 日本語のレベルを、感覚的におおまかにいうと、初級≒N5、N4、中級≒N3、N2、上級≒N1といった感じです。

 留学生が日本の大学や専門学校に入学することができる日本語のレベルは、一般的にN2以上といわれています。


 2-5.限られた期間で日本語を教える


 留学生が日本語学校で日本語を勉強する期間は一番長くて2年間です。短い場合1年3か月です。これは留学生のビザ(在留資格)を管理する行政当局(法務省の出入国管理の部署)が法律に基づいて決めています。この決められた在学期間(最長2年から最短1年3か月)の間に、日本語教師は、日本の大学などに進学を希望する外国人留学生に、大学などに入学できるレベルの日本語を教えなければなりません。
 日本語教師は、限られた期間に、留学生が希望する進学先に合格できるよう、効率よく効果的に日本語を教える必要があり、この点が、大変です。

3.日本語教師として働くやりがい
 

 3-1.日々成長する留学生

 このように日本語教師はなかなか大変ですが、来日当初、日本語をほとんど理解できなかった留学生は、授業で日本語を学び(アルバイトでおぼえた日本語あるでしょう)、日がたつにつれて、いろいろ日本語の単語をおぼえていき、日本人の日本語を話すスピードに慣れ、簡単な日本語で会話をしたり、正しい文法を使うようになったり、作文を書いたりするようになります。
 日本語教師は、いろいろ間違えながらも日本語で何とかコミュニケーションしようと四苦八苦し、でも、日々成長する留学生に間近で接します。


 3-2.進学サポートをして合格を勝ち取る
 

 日本語教師は、留学生の進学サポートをします。
 留学生は、受験シーズン(毎年9月から翌年の2月ごろ)になると、希望する大学や専門学校に入学願書を提出して、筆記試験や面接試験を受けます。
 日本語教師は、それぞれの留学生の勉強したい専門分野の希望をふまえて、大学や専門学校の情報を提供したり、入学願書の書き方を教えたり、間違えて書いた欄はないか確認したり、面接試験の練習もします。時には推薦文を書いてあげたりします。
 このように、日本語教師は、日々成長する留学生にたんに日本語教えるだけなく、留学生が希望の進学先に入学できるよう、一生懸命サポートします。
 これまでの努力が実って、合格する場合もあれば、残念ながら不合格になる場合もあります。


 3-3.卒業時に感謝のことば
 

毎年3月、卒業時、「先生、いままでありがとう。」と感謝の言葉をもらった時は、これまでの苦労が一瞬にしてやりがいにかわります。
 日本語教師のなかには、卒業後も「教え子」と連絡をとりあい、近況報告をもらっている先生もいます。
 日本語教師はやりがいがあります。


4.まとめ
 

 日本語教師は、外国人留学生に日本語を教える仕事です。
 来日・入学当初、ほとんど日本ができない中国人、ベトナム人留学生が多いので、日本語教師は初級から日本語を教えます。
 日本語はひらがなだけでなく、漢字、カタカナがあるので、留学生の多くは身につけるのに四苦八苦します。進学サポートも必要です。
 でも、その分、留学生が希望の大学や専門学校に進学できたり、留学生から卒業時に感謝の言葉をもらったりしたとき、やりがいを感じます。


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