朝活俳句アワード2022を読む 第3回 河本かおり「俳句の骨」

朝活メンバーの平均年齢を一人で引き上げている私にとって若い人の作品を理解できないことがままあります。それは私の資質の問題に留まらず、年齢層による経験の相違によるものかもしれません。

そんな私が安心して読めるのが友定作品なのです。それは俳句の骨となる部分で理解できたからなのでしょう。

しりとりに喇叭ふたたび石蕗の花 友定洸太
喇叭という語には進軍喇叭や起床喇叭など戦争にまつわるイメージがあります。しりとりというあどけない遊びの中でふたたびでてくる喇叭の語は平和な社会を闇に落とす不穏な存在です。日陰に植えられることの多い石蕗の黄色い花と喇叭の金色が不気味に重なります。

山茶花や雨の染みこむスニーカー 友定洸太
雨の染みこむスニーカーは歩きやすい靴を選び長時間歩いていたことしめします。冬の雨に冷え歩き疲れた体に山茶花は癒しとなって映ったことでしょう。

プロパンガスボンベごろりと彼岸入り 友定洸太
暑さ寒さも彼岸まで。プロパンガスボンベをごろりと動かすように季節が入れ替わる音が聞こえそうです。

水筒に波音のして花あやめ 友定洸太
菖蒲と同じ漢字で書くショウブとアヤメですが、ショウブは池沼など水辺、アヤメは畑など乾燥した場所に育ちます。水筒の中の水音を波音と感じるのはあやめが水を恋焦がれてのことでしょうか。

ふくらんでそれぞれ夜行バスを待つ  友定洸太
ふくらんでいるのは着膨れているのか、希望に胸を膨らませているのか。夜行バスを待つそれぞれの胸中は如何許りか。


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