日々の機微(123) 楕円のように揺れるイメージ 黒岩徳将『渦』小感
黒岩徳将さんの渾身の一冊『渦』が届きました。膨大な作句量を誇る黒岩徳将さんが、330句に絞ったということからも厳選の句集ということが伺えます。
届きたてホヤホヤの『渦』の感想を思ったまま、まとめてみようと思います。そして、いくつかこの『渦』から感じた特徴めいたことを書こうと思います。
読んだテンションの勢いで書くため少し荒々しいところもあるかもしれませんがご了承ください。
雲を見立てる
『渦』全体としては、ゴーヤチャンプルや青島麦酒など個性的な句材がいくつも登場して新しさを感じました。また、表現の抽斗が多彩でした。その『渦』の一章に次の二句があります。
蜘蛛の巣の中のはちきれさうな雲 黒岩徳将
建国の日のあんぱんのやうな雲 黒岩徳将
前者は蜘蛛の巣を通して雲を見るという視点の句です。遠景にありながら近景に迫ってくるような臨場感をもって描いています。後者は雲の見立てです。雲がおいしそうな「あんぱん」に見えています。「あんぱん」自体も昭和レトロさがあるので、
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