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divide

六本木、アマンドの裏にあるビル
エレベータを上がりインターフォンを押す

「こんばんは。」
「お待ちしておりました。」

蜘蛛のオブジェ、黒基調の店構え
髑髏のコースター、髑髏の灰皿

髑髏のTシャツを着た放送作家志望の担当が飲み物を促す
適当な会話とウイスキーを頼む

広々した店内の奥にカーテンで隠れた部屋
聞き覚えのある声
少しして、私の中の神様は分断された

音楽と言っても色々ある、僕の中では2極
金を得るための音楽と、自分の為の音楽
前者は簡単、自分の切り売り
後者も簡単、自分の切り売り
部位こそ違うけれど、切って売る事は一緒

広い視点でモノを見れるならきっと一極集中出来たのかもしれない
使命感を以て何かを振りかざす事が出来たのかな
世界の為に僕はこんな事に憤っている
貴方の為に僕はなんてろ、なんて事を言っていたのかもしれない
本当にそうなんだろうか、全然想像がつかない

0から1を作る作曲
きっかけはそもそも自分で何かを作りたかった訳じゃない
別に理屈を学びに専門の大学に行ったわけでも
師事してどうの、みたいな事もない
気が付いたらその技能が必要だったっていうだけで
好き勝手にやり続けたらなんだか今になった
元は弦が切れない、一本だけ鳴ってりゃOKと思っていたベースで
弦をぶっ叩いてでかい音が鳴ればいいだけ
集まった音が重なっていい感じになればそれでいいと思ってた筈
だからベースそのものが好きなのかも定期的に疑問が浮かぶ
その割馬鹿みたいな値段のアップライトが家に来たばっか
その癖万能型の人間を自負している、意味がわからない

なんで音楽をするんだろうと考える
生きる為
思考実験
ライフログ
楽しいから
今書いてて楽しいが最後に来た
何の為に音楽をするんだろう
手が止まる
ちょっとぼんやりしたら出てきた
そうね、でも
言いたくないな
にんまりさせる訳にはいかぬ

効率良く、一般的な生活レベルまで稼ごうと思うなら
全然違う方向に行くべきで
解ってて外れないのはなんかあるんだろうね
先の見えない馬鹿みたいなジェットコースターも
最早楽しんでいる

ある人は自分の音楽を守る為に別で稼ぐと言っていた
そっちの世界ではバンドも家族的なようで個々バラバラに生きていて
作ると決めたら集中してモノ作りをはじめて、産んでまた散っていく
不思議なようでそれはとても自然なようにも見えた

誰かの様になりたい、みたいなものがない
憧れはあっても、一緒になりたいとは思わない
じゃあ自分軸で何か、と言われるとそれも怪しい
でも出来た時には感涙もするし
やってきて良かったと思う
凄く危うい癖にそういう気持ちにはとてもなる
次はもっといいのが欲しい
作るものもそう、見る景色も、見せる景色もそう

正しさはまるでわからない
でも正しさなんてその時々でいつも変わる
だからそれでいい気がした

素晴らしい音楽の定義もわからない
ロジックが出来る癖にクソみたいな曲しか書けない奴や
小手先でロジックに振り回されてるやつも履いて捨てる程いるし
その逆も同じ数いる、なんかもうそういうのも全部結局好みっていうか
そういう事じゃない気がする
歌詞がわからん、聞いてないとかも全然いるよね、
俺はその気持ちが全然わかんない
結局素晴らしさも人の数だけあって
chat gptで感動する奴もいれば
その辺の酔っ払いの戯言が刺さるもいる
素晴らしい、は数字で測る割にそれだけじゃなかったりするし
結局なんだかわからない
だからあるべき姿もよくわからない

何のために存在してるのかもわかんない
空気の振動に対して何を思う事があるんだ?
かこつけて水売ってるようなもんだ、だからチンピラなんだろう

って思うとすげえ我儘っすね
我儘に生きてきてしまいました
これからも我儘に生きていくと思います

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