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seed

言うだけ言ってみようと思った我儘が通って
音を混ぜてもいいことになった
使われるかどうかは知らない
やりたいからやりたいって言ったらデータが来てしまった

素材を揃えて色を付けてリネームする
ボリュームを合わせていく
いつからこの工程が当たり前になったんだろう
物差がわからずに慌てていたのがつい最近に思える
道具を目の前に漠然と何か出来る気になっていたのが懐かしい
その後少しした後の無力感も良く覚えている

ノイズを切っていく
必要なノイズもある、
それはミステイクなのか
アートなのかが悩ましい

時折説明をしながら、軽口を叩きながら工程が進んでいく

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みたいな話も別になくなった、守るべきものなんてない
先週の自分より、今の自分の方がもう最新で
進化を遂げている、良くも悪くも変質していく
どっちも受け入れる事が大事だと思う

勝手に手が動く、正直考えていない
我慢が大事だと思う、早くメインを触りたい
それよりも先に地ならしをして、土台を固める
バンドでもリズム隊がクソだと全部がクソになる
これをしくじるとどんなに歌がうまくても残念ながら響かないと思う
そこにまず届かない

多分何かやるには絶好調だと思う
結果的に仕向けてくれた貴方に感謝している
モニター前の素材は何度も聞いてきた曲のパーツ
珍しい機会だとも思う
そんな珍しさが二回目、同じアーティスト
珍しい事が二度も続くと慣れてしまいそうだけれど
そうじゃなくてよかったとコンプレッサーの針を揺らしながら安堵している自分がいた
出世払い?色付けて返しにおいで
いい曲が、気持ちがちゃんと動く歌が産まれてほしいと思う

とは言え自分だって今日も明日もチャレンジャーがいい
出来る時間内で、最良の結果を叩きたい
伸び代を感じる裏で
滲む何となくの残り時間みたいなものもちらり
仕事外でスマートに出来てきた試しなんてない
プライドが前に矢面に出るものはでも、総じて楽しい

作品は残る、遊びだろうがセールスが振るわなかろうが
手に届く人によっては一生聞き続けるものになる
自分にもそういう作品はある
知られていなくとも大切にしている
たまに自分でプレイバックもする
まだ息が出来ると思うだったりもする

瞬きを忘れていた、目薬
ぼやけた目でセンドにオレンジに、リバーブを当てる
出したい色彩感は見えていて、景色も見えている

アタック音から握るピックの振りぬき、力具合
息遣いから出したい世界、声の揺れ方で場面をイメージする
人の子供を預かっている、自分のエゴだけにはしない
なのにセオリーではないスプリングリバーブを忍ばせている事に
ちょっと半笑いになった
悪戯心は人間関係にも楽曲にもやっぱり必要だと思う
そういえば昨日出した小料理の隠し味、だれも答えが分からなかったな
そんなもんの連続が積みあがる

季節感、寒さのなかの暖かさ
こういう画角からの映像でどうパンニングされて色味はこう
誰がしゃべっていて、誰が泣きながら笑っているのかだとか
気持ちは届くのかだとか、
生まれても採用されずに霧散した歌詞の想像だったり
君は何を見て、どうしようとしたんだい

そういうのを聞かずに少しずつ掘り出していく作業
実際にはマウスでカチカチしているだけの作業

全ては手触りと耳便り
AIでなんてろなんて話もある
産業なら仕方ない、ただ
取って代わられない所にいる自負も秘めている
そんな風にパンチイン職人たちも思ってたんだろうか

ただ今の話に嘘の下手なAIが理解できるとは思わない
ロジックで説明できない事が沢山積み重なって出来ている曲もある

似てるだとか似てないだとかはどうでもいい
今触っていたものはそういうものだと思っている
君がどういう気持ちで書いたかは知らない
出した先、受け取った側は受け取った人数分だけ気持ちがある

君には君の、僕には僕の悩みの種が重なって昇華されて
出来たものはどんな風になるんだろうね
面白いね

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