乃木坂46「インフルエンサー」に見る

秋元康が見た2017年のインフルエンサー?

秋元康さんの目は鋭い。「インフルエンサー」という言葉が流行りだした2017年、乃木坂46のシングル17作目として世に出した曲こそが「インフルエンサー」。きっと秋元先生ならその特徴を描いているはずだ。

さっそく歌詞を見てみましょう。

①インフルエンサー、それは「どこで」「何を」しているのかついつい気になる存在

いつだって 知らないうちに
僕は見まわしている (何度も)
君がどこで何をしているか
気になってしまうんだ
(落ち着かなくなる)

SNS上で常に発信を続けるインフルエンサー。彼女彼らの言動・投稿内容に共感した瞬間から、どこで何をしているか気になってしまうわけだ。電車の待ち時間も、トイレの中でも、ついついスマホを見てしまう。だって、あなた(インフルエンサー)が何かを発信しているかもしれないから。

②インフルエンサー、それは「わたしたちの道しるべ」

声くらい掛ければいい
誰もが思うだろう (できない)
君がいる場所がわかったら
僕には地図になるんだ

インフルエンサーはいわば「遠くて近い存在」。実際にリアルに会うことができるクラスの友達、会社の同僚ではない。でも、どこか自分が共感できる感覚・憧れるセンスを持つ、同じベクトルの感性を持つという意味で心理的な近さを感じる。

今日はどんなファッションをしているのか、どんなメイクをしているのか、どんな場所で時間を充実させているのか。インフルエンサーの日々の発信内容は、自分が憧れる姿や追い求めるセンスに近く、明日の自分の生き方を示す地図、ということだ。

③インフルエンサー、それは「発信を通じて気配を感じさせ、コミュニケーションをとれる」存在。

気配以上 会話未満
恋はいつも余所余所(よそよそ)しい
胸騒ぎが聴こえないように
世界から言葉なんか
消えてしまえばいい

コロナ禍前から、若者が1日1時間以上視聴するというTikTok。有名TikTokerは、自らの声や作品を1分の動画で発信し続ける。ファンたちは、ステイホームの中でも、動画やライブの中で「気配以上」のものを感じ、コメントやいいねを通じて「会話未満」のコミュニケーションをおこなう。

いよいよサビですね!!

④インフルエンサー、それは「私たちの365日を定義する存在」

地球と太陽みたいに
光と影が生まれて
君を探してばかり
距離は縮まらない
(HEY!HEY!HEY!)
重力 引力 惹かれて
1から10まで君次第
存在するだけで
影響 与えてる
インフルエンサー

太陽は、太陽系の真ん中で光を発する、その周りで、惑星たちは回り続ける。われわれの地球と太陽は、近づくことも、離れることもない。

インフルエンサーは太陽であり、日々の投稿という光を発する。その光を受けて、私たち地球は、自らの24時間、昼と夜、四季、365日を決めている。いわば我々の日々は、インフルエンサーの発信が決めているのだ。

では、2021年の今インフルエンサーで売る時代は続くのか。

そこは次回に回したいが、一つだけ触れていない歌詞だけ。

「ブンブンブン ブンブンブン ブンブンブン」

要は、ブームを起こすことができる存在、ということは間違いないのだろう。



#日経COMEMO #インフルエンサーで売る時代は続くのか

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