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おばあちゃんのスカーフ

スカーフが好きだ。
カバンにつけたり、首に巻いたり、髪に結んだり。
好きなブランドのものだったり、美術館でみつけたり、蚤の市で眺めたり。ついつい増え過ぎてしまいそうなところを気持ちを抑えて、色やサイズのできるだけ違う、ほんとうに気に入ったものだけをお出迎えするようにしている。

いっしょに暮らしていたおばあちゃん。
いまはもういない、おばあちゃん。
おしゃべりが好きで、お出かけも好きで、私のことをとっても愛してくれていて、長い話を煩わしいと感じる時もありつつも私も大好きだった、おばあちゃん。
だんだんとお出かけしなくなっていたからか、持ち物を片付けていることがあって、夜に「おやすみ」と声をかけに部屋に顔を出したら、たくさんのスカーフを差し出してきた。
私はまだ中学生とか高校生とかそれくらいだったとおもう。スカーフなんて「オトナ」の着けるものだと思っていたし、自分が使っているところなんて全然想像できなかったから、私はいらないって答えたのだと思う。一枚ももらわなかったから。

おばあちゃん、悲しかったかな。
スカーフ、いいものだって言ってた気がする。お気に入りだったのだろうな。
一枚くらいもらっておけばよかったかな。それとも、持っていても見るたびに寂しくなって使えないかな。

譲り受けなかったけどね、おばあちゃん、クローゼットの自分のスカーフを見るたび、切なく思い出すよ。

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