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やわらかな羊の毛の

あちらこちらに建っているビルも、木の位置も、歩道も、ぐんと伸びた橋も。殆どが変わらない。

変わってしまうのは、常に、生きているもの。
葉や、草花や、皮膚、命があるもの。
眼、脳、心臓、そして心。

つかみどころがないのは、生きているもの。

植物が陽のほうに伸びてゆく素直さやしなやかさをこうだと決めつけてしまうのなら、あの木々に励まされることは、ないのでしょう。葉や蔦が、めいめいにのびている。毎年、毎日、毎秒、変わっていく。

心につかみどころがないのも、似たようなことですので。いずれはわたしの生きたいほうに、自然と向いてしまうのだと。ただ、それだけの事だよと、手肌に馴染ませて放っておきたいと、思いました。

それが、生きものの分からなさで、面白さなんだと可愛がれたのなら、自分のなかで絡んでいる糸も面白がりながら解いて、柔らかな羊からやり直せるのでしょうか。

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