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日々よしなしごと~合理性と無神経~

喫茶店をしてるといろんなお客様がいらっしゃる。当店意外に若い男子のお客様が多い。若いご常連さんが就職や自分の夢の実現のために、この土地を離れる時は、親が子を送り出すような寂しさを感じることもある。でもそんなお客様が帰省の折に立ち寄ってくれると、とてもうれしいものだ。喫茶店冥利?につきる。

さて先日、当店に女子3人のご来店があった。それぞれ当店近くのあるカフェのテイクアウトドリンクを手にお持ちで。あらら、と思いつつも悪びれなく入って来られたのでなんだか呆気にとられたまま、そのままいらっしゃいませとお迎えする。ご注文をうかがうと案の定それぞれケーキのみのご注文。

このお三方、ごく普通にそのドリンクを飲みつつケーキを召し上がり、若い女子らしいおしゃべりに興じてお過ごし。あまりに無頓着(つまり世間知らず?)なので、高校生かなと思ったので、お帰りの際に「高校生ですか?」とお聞きしたら、元気に「大学生です!」と。思わずそうですか‥とマスクの中で苦笑いしてしまった(失礼!)

もちろん、この無頓着というか無神経さにいい気持ちはしなかったが、彼女たちには特に何も言わずにお送りした。

私たち世代(とあえて言う)には無神経極まりないと感じるこの出来事を思わずfacebookに投稿した。そして多くの方からコメントを頂いた大部分は「失礼だ」「勇気あるね」「大胆!」というコメントに加え、お店のため彼女たちのためにも、ちゃんと当店は持ち込み禁止ですとシンプルにぴしゃりというべき!と強く言う人もいた。

その中で、高校生の娘さんに聞いてみたという方のコメントが興味深かった。その娘さんは、顔をしかめながらそれはダメでしょ。コーヒーとケーキ別のお店のにするなら外で食べるべき。もし注意するときはSNSのレビューで文句書かれる時があるので、言うのであれば「感情に任せず毅然と愛情をもってさらりと」とアドバイスをいただいた・・・・今どきはSNSで何でも発信できるからね。

それにしても、若い人がみんな無頓着(という無神経)なのではないということがわかったのはめでたいにしても、この境目はいったいどこでつくのか。というか、それ以前の問題かも、と思い出したのが少し前にあった出来事。

おずおずと入ってきた高校生らしき女子二人。「イートインできますか?」と聞かれ、イートイン??何か持ってきたものをここで食べてもいいかということ? と戸惑いながら「どういう意味かしら?ここは喫茶店なのだけど」とトンチンカンな答えになった。聞くとケーキが食べたいと思って来たというので、それならばととりあえず、メニュー見てね、高いかもしれないので無理しなくていいですよと伝えた。しばらくメニューを見て二人でひそひそ相談していて、やっぱりやめます、という。もちろん無理に引き留めるつもりもないので、穏やかに笑顔でお送りした。

今回の女子大生といい女子高校生といい、カフェやましてや喫茶店などに入ったことがない、あるいは慣れていないのかもしれない。そしていわゆるショッピングセンターにあるフードコートと、こういうお店の区別が明確についてないのではないかと思った(かなり無理な想像だと思うけど・・・)

さらにもう少し踏み込むと、パブリックとプライベートの区別もあいまいで、それは空間としても、自身の行動の中でのパブリックとプライベートでの行動というのもあいまいなのかもしれない。

あるいは単に「合理性」なのかな。つまり、今回の件で言えば、当店入り口に「持ち込み禁止」などという案内はしていない。だから持ち込みもしても、何か注文さえすればいいんじゃない?という合理性。

この合理性から言えば電車の中でのメイク。やっている本人は、あくまでプライベートな行為だし通勤時間を有効に使えるし、だれにも”迷惑”をかけてないし合理的! パブリックな空間でも、”迷惑”さえかけなければ”どんなプライベートな行為も問題ない。もし、それで誰かいやな思いをしていたとしても、それはその人の問題だし・・・なんて考えすぎだろうか。

もうひとつfacebookでの投稿にもらったコメントに、中国では基本的にお店では持ち込みOKなのだと。そうでない場合は断りの案内をしているそう。なるほどそういう文化もあるのだと目からうろこだった。これはまさにビジネスの中で合理性に徹した考え方かもしれない。

では、私たち日本人が、この女子たちは無神経で失礼だ、世の中を知らない、と思う背景ってなんだろう。恥の文化? 相手を敬う心? 商売の暗黙のルール?

日本人独特の感性かもしれないこの感覚も、ひょっとしたら変わってきているのだろうか。合理性と無神経は時にセットでやってくる。今はまだその無神経さが気になるが、それも価値観が変われば、感じなくなるのかもしれないが・・・


とはいえ、こんなお客様ばかりになっては嫌だなと思うし(日本人なので)、またこのようなことがあったら(あるのかな?)友人が言うようにきっぱりと「当店はお持ち込みはご遠慮いただいています」と言うしかない。そして万一理由を問われれば、こう答えることにしよう。

当店は、当店のメニューがありお客様にはそのメニューの中でお選びいただいた上で、お過ごしいただくお店だからです。

めっちゃシンプルだ!

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