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【ビキューナ】一度は触れてみたい、神の繊維と呼ばれる最高級の獣毛

広く一般に知られる最高級の毛繊維といえば、やはりカシミヤですよね。
カシミヤはカシミヤヤギという種類の産毛のことのみを指し、他の山羊たちから採られた毛をカシミヤと呼称することはありません。
ウールというのはヒツジ・アルパカ・アンゴラ(ウサギ)・ラクダから採取される毛の総称ですが、一般的には羊毛を指す言葉として用いられます。

カシミヤが何故高級毛繊維として扱われているのかというと、ウールは羊一頭から採取される量が3〜4キロ程度であるのに対しカシミヤは150〜300グラム、さらにそこから不純物を取り除くと半分の100〜150グラム程にしかならないといわれています。
故にカシミヤは「繊維の宝石」なんて呼ばれたりもします。

近年では毎年ユニクロからも出されるように比較的安価なカシミヤのマフラーやセーターが手に入るようになりましたが、その理由としてカシミヤの中でも1〜9の等級があり、ランクの低いカシミヤを利用していることや、単純に使用されている繊維の量を抑えていたりなど様々な工夫によりあの低価格帯を実現できているのです。

さて、そんな繊維の宝石と呼ばれる素材のさらに上をいく【神の繊維】があるのは皆さんご存知でしょうか?
探そうとしなければなかなか出会える代物ではありませんそれは

ビキューナ/ビクーニャ

と呼ばれるアンデス山脈に棲息するラクダ科の動物の毛です。
標高約4000〜5000メートルの厳しい環境下でも耐えうる体毛はきめ細かく大変保温性に優れており、上品な光沢も秘めています。

古代インカ帝国では王のみ手にすることが許され、インカ帝国滅亡後から1970年にかけて乱獲されたことによりその数は激減。その希少価値はさらに高いものとなっていったのです。

カシミア100%のプレタポルテ(高級既製服)のコートがおよそ50万程度とすると、ビキューナの場合それが大判のマフラーで20〜30万程度、オートクチュールのコートともなると最低500万はくだらないとされるようですから、その希少性はよく分かりますよね。

さらにビキューナの毛が採取されるのは2年に1度のみであり、1頭あたり100〜200グラム、コート一着を仕立てるのに35頭分の量が必要とされています。
高級テーラーのKITON(キートン)やCesare Attolini(チェザレアットリーニ)などで仕立てられたビキューナのコートであれば既製服でも300万円。一つの資産を身に纏うようなものですね。

自分自身も実際に触れたことがあるのは2.3回程ですが、いつまでも触っていたくなるくらい指先に吸いつくような肌触りは忘れられません。

もし見かける機会があれば是非一度手にとって、世界最高級の手触りを実感してみてください。

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