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【有料記事】Die Reise geht weiter.(完)【「堕ちた神父と血の接吻」番外編】

※「堕ちた神父と血の接吻」後日譚です。
三部作の三話目になります。


 さすがに、脚の悪い彼を廃坑に連れて行くわけにはいかない。
 その場で落ち合う場所を決め、私が戻ってヴィルを呼びに行く運びとなった。

「すみませんねぇ……。わざわざ手間かけさせて……」

 公演開始直前の二人を気にしつつ、ヴィルの父親……ゲオルクさんは礼を言う。
 名を聞いたことで、かつて救貧院にいた人物だと気付いた。私がまだ助祭だった頃、ハインリッヒ司教様の代理として慰問を行ったこともある。……が、当然、名乗り出るわけにはいかなかった。

「いえ。……家族が離れ離れになるのは、悲しいことですので」

 そう伝え、ヴィルの待つ廃坑に向かう。
 ゲオルクさんから見えない程度の距離に来たところで、歩く速度は自然と早足に変わっていった。

「……ッ」

 分かっている。親子の再会は喜ばしいことだ。
 それなのに、足に不安が絡みつく。胸中に、懸念がじわじわと膨れ上がっていく。

 私はヴィルに罪を犯させた。血塗られた過去は、決して消えはしない。

「あっ」

 木の根に足を取られ、よろめく。
 片腕しかない身体では満足に受身が取れず、派手に転んでしまった。

「……う、ぐ……」

 痛みはあるが、どこか傷めていたとしてもすぐに癒えるだろう。
 木にもたれながらどうにか立ち上がり、再び歩み始める。

 下手に休息を取れば、不安に押し潰されてしまう気がした。

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