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綺麗な夢

水色。みずいろが綺麗。夕焼けの前の少しだけ涼しげな気配を予感させる空の中みたいな。
かっこよくペールブルーって言いたいけど、もう少し薄い。スカイブルーって言うのかもしれない。うすい絹が何層にも風に舞っていて、雲が生地になって、
ずっと続く層が、やわらかく手に触れるみたいで、頬に触れるとくすぐったい。まるで水の中で白と水色の絵の具が混ざっていくみたいに、ひんやりとした場所を無意識にさがす清涼感。

透明が混ざるから、見つめたくなる。悲しみの中の穏やかな落ち着きと、喜びの中のしずかな微笑みが、ゆっくりゆっくり振り向くたびに、波打つ感情がそっとシンクロしていく。悲しいのは、うまく話せない事で。嬉しいのは、何も言えなくても、彼女が微笑んでくれる奇跡。どこを探しても言葉がなくて、今のわたしには、いつまでも考えたとしても、伝わる言葉がわからない。なにも、言えないのにって、わたしの身体の中は、ごめんねごめんねって、涙でいっぱいになる。優しさは、確かに目に見えないけど、優しくない人を責めない彼女は、わたしには例えられないくらい輝いて見えた。きっと、命の輝きは、本当はこんなに眩しいのかもしれないと、ただただ静かに、心の中で果てしなく盛大に感動したのかもしれない。ただそこに居るだけで、彼女は、罵られる。わたしは、許せなかった。なにか、彼女の為に出来ることがあったらいいのに。わたしには、なにもない。それでも、嬉しいのは、それでも微笑む彼女が、涙が出るほど、美しいことかもしれない。生きている間に例えるものを知れたらいいのにと思うくらい強い。肩の力が抜けて、まだ息の仕方を知らなかったような、くすぐったい気持ちが、ゆっくり肺の深いところへ入っていくみたいに、息を吸うだけで小さな彼女の背中が風景の中に描かれる感覚が、嬉しい。わたしなんかでは解けない謎が、どうしてかキリリと佇む、彼女の頬のあたりから、ほろほろとほぐれていくように、いつも目の前に広がるものを、彼女はやわらかなペールピンクで、いつまでも包み込んで微笑んでる。

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