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トーセイと名古屋鉄道の資本業務提携について

トーセイ(8923)と名古屋鉄道(9048)が資本業務提携をするという、びっくり仰天のニュースがありました。

トーセイは、良くも悪くも山口誠一郎社長のワンマン企業であり、現在に至るまでの躍進も山口社長の手腕によるところが大きいと思っています。その山口社長ですが、1961年生まれで現在63歳であり、第一線で活躍できるのはあと10年から20年といったところで、そろそろ後継者を育成していく必要があるはずなのですが、その気配が見受けられず(山口社長の著書「倒産から3つの上場へ 見えない扉をひらけ!」によれば娘さんがいらっしゃるようですが、その娘さんや娘婿が後継者として育成されている様子もありません。)、どうするつもりなのか気になっていたところでした。

ところで、トーセイは、以前はあまり株価対策に前向きではなく、業績が伸びれば、自然と株価はついてくるはずだというような考え方だったように見受けられたのですが、ここ数年は、株主優待の創設、自社株買いの実施、配当性向の段階的向上などの株価対策を積極的に行うようになったほか、IRでも、2022年11月期の通期決算からは、ファンド事業と管理事業の潜在的株主価値を自社で算出し、これに基づいて1株あたりの潜在的株主価値を算定して現状株価の割安性を強調したりもするようになりました。これらの施策は、プライム上場基準をクリアするためという目的もあったのだとは思いますが、もしかすると、トーセイを親族後継者に引き継がせるのではなく、M&Aなどによって他社に譲渡することを予定していて、そのための下準備として株価対策をはじめたのではないだろうかと思っていました。

とにもかくにも、山口社長の後継者問題については気になっていたところで今回のニュースがあり、やはり親族後継者に引き継がせるのではなく、山口社長の引退後は名古屋鉄道に経営権が移る可能性が高くなったものと思われます。上記したとおり、他社に経営権が移る可能性があるとは思っていたところではありましたが、想定していたのは大手不動産会社などであり、鉄道会社、しかも首都圏にさしたる基盤を有しないと思われる名古屋鉄道というのはびっくり仰天でした。しかし、言われてみれば、不動産部門を強化したい鉄道会社との相性はとても良さそうに思われるし、実は鉄道会社の不動産部門は、自社の沿線地域だけでなく、沿線地域外にも積極的に営業を展開していくこともあるようです(この記事によれば、沿線地域を対象とするのを両輪型、沿線地域外を対象とするのをポートフォリオ型というそうです)。

そんなわけで、今回の名古屋鉄道との資本業務提携は、実は絶妙なマッチングで、けっこう期待できるのではないかと思いますが、トーセイの一般株主としては、最終的にトーセイと名古屋鉄道が経営統合することになった場合に、我々はどのように取り扱われるのかが気になるところです。この点について、今回の発表には、「名古屋鉄道は、当社の少数株主を含む当社の株主共同の利益に最大限配慮することを合意しております。」というフレーズがあります。このようなフレーズを軽信してはならないことは、いなげや事件で学んだところではありますが、私としては、山口社長を信用して今までトーセイへの投資を継続してきたということもあり、少数株主のみが不利益を被るような不公平な取扱を受けることはないと信じたいと思います。とはいえ、今まで山口社長を信じてトーセイへの投資を続けてきたということもあり、私としてもトーセイへの投資の出口戦略をしっかりと考えておく必要が出てきたかもしれません。


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