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魔翻訳お魔とめ|七爺|第2章 不如归去(戻った方が良い。)

[お魔とめ]
・いよいよ、景七の七世目が始まる。まさかの、南寧王府の世子として、歳のころは十歳、ちょうど父である王がなくなった直後。
・ドラマ「山河令」にも登場した、のちの平安銀荘で景七の資産運用を預かることになる平安が、小姓として登場。まだ泣き虫の十四歳の少年。
・長年、畜生道だったこともあり、人の体に慣れない七爺は高熱を出す。
 その看病に訪れたのは・・・

※魔翻訳の魔が深くて、ほんとにぶっ飛ばしているところもあります。あくまで個人メモなのでご容赦ください・・


(転生を果たした)景七は、混沌としている中でただ眠い。
最後に見た白い顔(白無常)を思い出した。彼が最後にしたことがなんだったのか理解出来なかったが、最後のお別れかと思い出す。これには意味があるのだろうか?

意識が再びぼんやりとし、目が開けられず、しばらく時が経ってようやく体の手足の感覚が戻ってきた。六十年以上(黄泉の川のほとりに座っていたので)体感覚がない。突然目が覚め、ただ体が重く、頭の中に針があるように痛い。

誰かが周りを歩き回っており、声が少し遠くなり、口の中にスープを注がれる。
味覚が急に回復し、あまりの苦さに暴れ、ようやく目を開ける。

視線がぼんやりしており、何度か瞬きするとようやく見えるように。
(景七は)一人の少年に抱かれて、薬を飲まされていた。少年は、彼が咳をして目を覚ましたので、慌てて薬の椀をおろして、背中を叩く。
「早くお医者様を。王様が目を覚まされた。」

景七は、少年の顔を思い出した。平安だ。
六歳の時に父王に買われ、一生付き添ってくれた。少年の目は赤く、歳のころは十三、十四歳くらい。涙を堪えている。

「平・・」
景七は口を開くが喉が乾いて辛くて、まともに言葉が出ない。彼は数百年の間に何もかも忘れてしまったと思っていたが、この少年に会った瞬間から色褪せた思い出が潮のように戻ってきた。

彼は、ついに自分の名前を思い出した。景北淵。

後世の伝説では、幾つもの顔がある南寧王・景北淵は、かつて一生一人だけのために生きていた景北淵で、三十二歳のとき、心をその人の手によって葬られた。

平安は、彼がぼんやりしているのを見て、ただ病気で混乱してしていると思った。
「ご主人様、怖がらせないでください。どういうことですか?」
「太医(主治医かな?)はまだ来ないのか?」

景七は苦労して手を上げ、魂だった時よりも体を数百倍重く感じる。そして、平安の手を抑えるが言葉がでない。目を閉じ、軽く首を横に振った。平安はようやく目に力が戻り、注いだ水を慎重に彼に飲ませた。

景七はやっと掠れた声で「いつになったの?」といった。
彼は、その声の幼さに自分で驚いた。下を向いて自分の手を見ると、小さく痩せて、病気で気血の悪い色だ。

「申時(十五時くらい)です。ご主人様。
 霊堂で気絶して、もう二日間も過ぎました。」
平安はそっと目尻の涙を拭いた。
「王妃も、王も先に逝かれました。あなたはこの家の主骨なのです。何かあれば、私はあなたと共に逝きましょう。」
なるほど、十歳の時に父王が亡くなった直後くらいの時か。

景七は再び自分の手を見下ろした。体は重いが少し不思議な感じがした。何度も輪廻をすぎて、また原点に戻ったなんて、本当に・・・色々な思いが交錯する。

彼は、白無常を思い出したが、不思議な感じは薄れた。

時空を逆転させるーーー例え知らずとも、心中ははっきりしている。その魂を誘う使者はきっと大きな代償を払ったのだろう。私に償うために。

彼がその悪縁を起こした最初の生・一世を再び過ごすために?

景七は、平安がおしゃべりしながら不器用に彼を支えてくれて横になり、密かにため息をついた。道理で、この魂が大人を冷ややかにみて、言葉も少ないはずだ。

もう一度生きるとして、起こったことは、机の上の埃のように、破れた布一枚で消すことができるのだろうか?
人の心は石で造られたものではなく、埃で覆われていても清水で洗い流せば元通り綺麗になる。

しばらくして、太医が訪れ、脈をとり、診断をした。つまりは「吉人自有天相(善い人は必ず天から助けてもらえる という意味だそうな)」とのこと。

景七は、三世石のほとりに六十、七十年ほど座っていたが、これらの忍耐は当然である。薬湯を飲んだりしていたら真夜中になった。

景七は、「私が二日間昏睡していたなら、父王の初七日は明日だろう?」と尋ねた。

平安は不安を感じ「ご主人様、ご安心ください。王様の後事は皇様が直接されました。皇上は昨夜直接貴方に会いに来られて、ゆっくり休んでくださいと言われました。他のことは気になさらずに。」と伝えた。

平安が灯りを消そうとした時、ぼんやりしていた景七は振り返り、「やめて」といった。

平安の手が止まり、少し疑わしげに彼を見つめた。

景七は、一生懸命寝台から見を起こし、脇に寄りかかって、部屋を見渡したあと平安を見つめた。
計算すると、この時、平安はもうすぐ十四歳になる。体が大きくなったが、まだ丸い赤ちゃんのような顔立ちで、手足も伸びているがまだ幼い。
しかし、景七は、このような素直な子は希だと思い、大切に思っている。

平安と話すときはいつも涙声になる。彼は子供の頃はいつも泣いてた。しかし、この年、自分と一緒に南寧王府を支えなければならなくなった時、一晩で随分と大人になった。景七は皇の宮殿に引き取られ育てられていたので、王府の内情はよく知っていた。

平安は、一生を景七の家に捧げた。

平安は、景七がぼんやりしているのを見て、病気がひどくなってはいけないと思い、囁いた。「ご主人様、灯りをつけたままですとよく眠れないので、暗闇を恐れないでください。外に使用人がおりますので何かあれば起こしてください。」

(ここのジョークがよくわからず・・
 死んだ家畜を起こせるものか、という景七に、平安はが「私たちは生きてます」という、みたいな?)

景七は彼を見て大人のように笑った。
平安はその子供らしくない笑い方を見て、混乱していると思い景七の額に手を当てる。
「ご主人様、具合が悪いのでは? 太医を呼んできますか?」

景七は首を横にふり、感情を落ち着かせて、平安が横たわらせてくれた。

平安は布団を整えて立ち上がろうとしたが、小さな手に捕まった。

彼の王様が、仰向けに横たわり、目を閉じたまま、低い声で言った。
「平安、大丈夫、私がいるよ。」

彼の声は、小さくて軽くて、もちもちして(魔翻訳が可愛いのでそのまま)子供のような、甘えているような言い方だったが、その表情を見て、平安は思わず泣きそうになった。

景七は笑って、寝返りを打つと「早く休んで。」と言った。
灯りが暗くなって、あたりは静まり返った。

長い間眠っていたのか、景七は静かにベッドに横たわっていたが眠れなかった。窓の外から入ってくるかすかな光で寝台の帷がぼんやりと見える。しばらくすると、外の部屋から平安の大きないびきが聞こえてきて、景七は思わず笑い出した。

輪廻七世は、赫連翊、例えば平安、例えばこの大きな風景、寂しい南寧王府など、多くのことを考えるのに十分だ。

なぜあの時、あれほど赫連翊に執着したのか。

彼は何年も理解出来なかったが、目が覚めた瞬間に理解した。

(ここの下りが魔翻訳だとほんと謎でした。)
王殿下は、王妃を亡くしてから魂を失ったようで、皇上は兄弟を配慮して、世子・景北淵を宮中に上げて、皇子たちと一緒に育てている。
この王殿下がついに願い通り、十歳の子供を置き去りにしてこの世を去った。

天も大地も大きいが、家は、無い。

三百年前、赫連翊がこの世で自分の唯一の標であり、溺れた人の浮木のように、どうしても掴まなければならないもの・・一世のように、死を伴う。

景七は、平安がの穏やかないびきの音を聞いて、突然自分が天下一の白眼狼(温知らず の意味)だと思った。この数世の苦しみはその報いなのか?

ぐちゃぐちゃと考えたせいか、景七はぼんやりと再び眠り、目覚めると再び気分が悪くなり、まるでストーブに焼かれたように熱を出した。これを乗り越えたらよくなるだろう。平安を呼ばせて、自分を布団にくるみ、熱を我慢して汗をかいた。

ぼんやりと音がして、誰かが何かを壊したようだ、混沌としていた景七の意識が目覚める。平安がまた、失敗して何かを壊したようだ。

しかしこのとき、冷たい手が彼の額に当てられ、とても心地よかった。
「人がこんなに高熱を出しているのに、どうして仕えているのか?
 まだ太医は来ないのか?」と怒った声が聞こえた。

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