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インドネシアに行って88人の赤ちゃんを観察してきた!

こんにちは!ライターのかのです。

好奇心ドリブンで日本各地を飛び回るピープル赤ちゃん研究所。今度は好奇心の赴くまま、日本を飛び出してインドネシアに行き、たくさんの赤ちゃんと触れ合ってきたんだとか。赤ちゃんの生態は、万国共通なのか、それとも国によって違いがあるのか?どんな気づきを得られたのか、聞きました。

赤ちゃん観察メソッドは世界で受け入れられるのか?

ーーこの春、赤ちゃん研究所の皆さんでそろってインドネシアへ赤ちゃんに会いに行ったそうですね!なんでまたインドネシアへ…???

きむら:昨年のフェス後、今後の「ピープル赤ちゃん研究所」の活動を考えたところ、「より自分たちの赤ちゃん観察視点を磨きたい」という気持ちになりました。そこで「外国の赤ちゃん観察」をテーマにして、ピープルが進出しようと検討しておりご縁のあるインドネシアを訪問することにしたんです。

違う国のママやパパに「赤ちゃん観察メソッド」が受け入れられるのか伝わるのかどうかも見てみたいと考えていました。

ーかなりたくさんの赤ちゃんと触れ合ってきたそうですね。

こいた:はい。10日間滞在して、家庭訪問、2回のワークショップ、孤児院訪問などで、0歳の赤ちゃん合計88名に会ってきました。

ー88名!

こいた:「たくさんの赤ちゃんを一気に観察する」のは普段はなかなかできないことでしたので、たくさんの気づきを得て帰ってきました。

ウケるはずの赤ちゃんモビールが全然ウケない!?

ひらい:最初にお会いしたのは、ジャカルタから少し離れたブカシ地区のお宅の赤ちゃんです。

私は「国に関係なく赤ちゃんはみんな一緒だろう」と考えていたのですが、たとえば、日本の赤ちゃんにはみんな興味を示す「赤ちゃんモビール」を出してみたところ、ジャカルタの赤ちゃんは誰も手を伸ばさないんです。

ーしょっぱなから、期待を裏切られちゃったんですね。

こいた:インドネシアの赤ちゃんって、日本の赤ちゃんに比べて、動きが少ない印象でした。

これには文化的な背景があるようで、赤ちゃんの周りに両親だけでなく、祖父母、ナニーさん(シッターさん)のように、常にたくさんの大人がいるんです。そしてとても有能な抱っこ紐文化があって、赤ちゃんがぐずると大人がすぐに布でくるんで抱っこしている。

2か月の赤ちゃんもスリングですやすや

こいた:赤ちゃんが自分から移動して、モノをとりに行くほどほおっておかれていないと感じました。

ひらい:1歳すぎて自分で歩けるぐらいの子も基本的に抱っこされているようです。

こいた:だからなのか、インドネシアの赤ちゃんは、とても表情が豊かだと感じました。たぶん、動く必要がない分「見ること」にエネルギーを使っているのだという仮説を持ちました。

ひらい:このように、「あれ?なんでちがうの?」というところは面白い点でもありました。

家の構造一つとっても、入口のすぐそばに客間のようなスペースがあって、そこで座っておしゃべりをするんですね。では普段赤ちゃんはどんなところで過ごしているんだろう?とか。知りたいことがどんどん湧いてきました。

インドネシアの赤ちゃんの周りには大人の手がいっぱい

ーインドネシアでのはじめてのワークショップが「スターチャイルド」さんですね。

こいた:はい。スターチャイルドさんは日系の保育園で、18名の赤ちゃんに対して、ワークショップを実施しました。日本語話者の方中心でしたが、それ以外の方もいました。インドネシアでは富裕層の方はお子さん1人につき、1人のナニーがついていたりするので、保護者も含めるとかなりの人数になります。

18組のお子さんと同時にワークショップを実施するというのは、私たちにとっては最大の規模でした。赤ちゃんの行動をひたすらメモして、言語化するという感じでした。普段保育園に通っていて、みんな知り合いだからか、パパママどうしがたくさんおしゃべりしていて、いつもとは違う場だったなと思います。

ただただ13組を観察するのは忙しかったですね…。

ーいつもの赤ちゃん研究所さんは、赤ちゃんや親御さんをワークショップに招く側だけど、ジャカルタでは相手の方に踏み込んでいく感じですね。

はなむれ:スターチャイルドさんのワークショップの後に、「Buumi」さんというプレイスペースで有料のワークショップを実施しました。1日3回。1回あたり12組程度で、参加者は現地の方だけです。Buumiさんは富裕層向けショッピングモール内にある、とてもおしゃれなプレイスペースです。

ー写真を見てみると、こちらも人が多いですね…!

はなむれ:赤ちゃんに対して差し出される大人の手がすごく多いんです。鏡に興味を示していたら「こっち側も見えるよ」とか、これは舐めちゃだめだよとか。いいとか悪いとかではなくて、数が違って、関わり方も日本とはちがっているのは印象的でした。

大人は左からナニーさん、ママ、おばあちゃん

0歳にして社会的からの影響を受ける赤ちゃんたち

ージャカルタではどんな気づきがあったのでしょうか?

こいた:まだ自分たちの中でも消化しきれていないのですが…。

赤ちゃんは本能のままに生きていると私たちは考えていましたが、実際はその場その場の環境に順応していて、社会的な影響をたくさん受けている存在なのだなというのが一つです。

インドネシアの赤ちゃんは、常に大人に抱っこされているから、情報を得る方法の中心が「見ること」なのだと感じました(※少し言い回し変えました)。一方、日本の赤ちゃんは、自分で動ける環境下にあるので、相手が触っているものに興味を持ち、積極的にそちらに向かおうとします。

「見る」赤ちゃん

こいた:赤ちゃんは0歳にして社会的な影響をもとに行動しているということに気づかされました。

ー親御さんのワークショップに対する反応も違っていましたか?

こいた:そうですね。インドネシアのお母さんたちにワークショップの感想を書いてもらうと「ファン!」「ハッピー!」みたいなストレートでポジティブな感想がとても多かったんです。一方、日本のお母さんたちは「うちの子どものこういうところを知ることができてよかった」みたいな、深い理解に根差すものが多い。

これは、お母さんの赤ちゃんに対する関わり方や気持ちに起因しているように思います。

日本のお母さんは、赤ちゃんの人間としての最初の時期を「自分が」育てているみたいな気持ちがあって、これは喜びでもありながら、プレッシャーでもあります。だから「赤ちゃんを理解したい」という気持ちがあって、私たちのワークショップにそれを求めていらっしゃるところがある。

インドネシアのお母さんは、たくさんのサポートが周囲から得られることもあって、そこまで子育てに対する責任を一人で抱えているという感じではないようです。それで、子供と過ごす時間が「楽しい」とストレートにいうことができるのだと思います。

ワークショップで楽しそうに過ごすお母さんたち

ー社会のありかたが親子の関係性にも影響を与えているということが短い滞在でも見えてきたんですね。最初の滞在国にインドネシアを選んだのはよかったのでしょうか?

こいた:未知すぎるところがよかったですね。

これまではある程度の文化的な基礎知識があったうえで日本の赤ちゃんと接してきましたが、インドネシアにはそういうものが「全く」ありませんでした。

自分たちの背景にある常識をとっぱらって、純粋に赤ちゃんの行動だけを見ることができたのは、すごくいい経験だったと思います。

ただ、たくさん見るので、発見はたくさんあるものの、どうしても深まっていかないという歯がゆさもありましたね。

そんな経験もしつつ、インドネシア以外の国の赤ちゃんにも触れてみて、さらに赤ちゃん観察を深めていきたいという気持ちも湧いてきました!

ーそうですよね。次はどこの国を目指されるのでしょうか…!?今日はありがとうございました。


ピープル広報のきむらさんによるジャカルタ滞在振り返り記事はこちらから!


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