ビル・ゲイツ氏、パキスタンのポリオ患者数が「ゼロ」になったことを称賛

2022年2月17日にVoice of Americaに掲載された、Ayaz Gul氏の記事（以下は原文の日本語訳）

マイクロソフトの共同創業者で慈善活動家となったビル・ゲイツ氏は、木曜日にパキスタンでイムラン・カーン首相と会談し、同国のポリオ撲滅の進展を認めました。

ゲイツ氏は、初のパキスタン訪問で、隣国アフガニスタンでのウイルス感染を抑制し、世界的な成果を維持する必要性も強調しました。

野生型ポリオウイルスが子どもたちを麻痺させ続けている国は、パキスタンとアフガニスタンの2カ国だけですが、パキスタンでは1年以上、1件の感染も報告されていないそうです。

ゲイツは訪問の最後にイスラマバードで記者団に対し、1990年代初頭、この病気によって年間約2万人のパキスタンの子どもたちが不自由な生活を送っていた南アジアの国は、ポリオを撲滅するチャンスを迎えていると語りました。

写真：マイクロソフトの共同創業者で慈善家でもあるビル・ゲイツ氏が、
パキスタンのアリフ・アルヴィ大統領から2番目に高い市民賞
「Hilal-e-Pakistan」を受賞（2022年2月17日、イスラマバード）

ゲイツ氏は、「まだ終わってはいませんが、これまでで最も良い状況であることは間違いありません。症例がゼロになった年はなかったのですから」と語りました。

しかしゲイツ氏は、アフガニスタンと国境を接するカイバル・パクトゥンクワ州の下水サンプルから、つい最近の12月もポリオウイルスが検出されたことに注意を促し、パキスタンがこの勢いを維持し、警戒を怠らない必要性を強調しました。

Thank you @ImranKhanPTI for the productive discussions on the steps being taken in Pakistan to eliminate polio. I’m encouraged by the country’s commitment to eradication and am optimistic that if everyone remains vigilant, we can #endpolio. pic.twitter.com/cMAw3ZfDxr

— Bill Gates (@BillGates) February 17, 2022

ゲイツ氏は、カーン首相の保険担当顧問であるFaisal Sultan氏とともに講演し、「2022年にパキスタンで行われる措置によって、おそらくポリオ撲滅を成し遂げることができると思います」と述べました。

ゲイツ氏は、ビル＆メリンダ・ゲイツ財団の共同議長を務めており、政府と国際機関による世界ポリオ撲滅イニシアティブプロジェクトの一翼を担っています。

パキスタンのアリフ・アルヴィ大統領は、貧困やポリオなどの疾病と闘うゲイツ氏の功績を称え、同国で2番目に高い市民賞である「Hilal-e-Pakistan」を授与し、テレビ放映された式典に出席しました。

ゲイツ氏とSultan氏は、アフガニスタンにおけるポリオの感染は、パキスタンの撲滅プログラムや世界的なポリオ撲滅の成果にとって引き続き課題となるものであると述べました。しかし、ゲイツ氏は、アフガニスタンのワクチン接種率が3年以上低下していましたが、ここ数カ月で上昇していることを指摘しました。

ゲイツ氏は、8月にタリバンがアフガニスタンを支配して以来のポリオ撲滅活動についてコメントを求められた際、「アフガニスタンでは、過去3年間よりも多くのワクチン接種が行われています。…しかし、まだそれほど高い水準とは言えないので、どのように支援するかを理解するという点で、やるべきことがあるのです」と言いました。

国連によると、2021年11月から12月にかけて、紛争のために2018年から接近できなかったアフガニスタンの子どもたち260万人に、医療従事者がポリオの予防接種を実施することができたといいます。

Sultan氏は、パキスタンはタリバン当局と緊密に連携し、共通の国境の両側で共同作業を通じてポリオの感染を食い止めると述べました。

アフガニスタン当局が2021年に報告した野生株ポリオの症例は4件で、前年の56件から減少しました。

Sultan氏は、「私たちは、ポリオ撲滅のための同期したキャンペーンを継続できるよう、彼らと直接対話し、話し合いを続けています。なぜなら、互いに隣接する2つの国は、疫学的に見て、ポリオ撲滅に密接に関連していると考えているからです」と説明しました。

木曜日、世界ポリオ撲滅イニシアティブ（GPEI）の報告によると、マラウイでは、リロングウェで麻痺を訴える3歳児に1型野生株ポリオウイルス（WPV1）の感染例が検出されました。

「解析の結果、このウイルスは2019年10月にパキスタンのシンド州で検出されたWPV1と遺伝的に関連していることが判明しました」と声明を発表しています。

また、声明では、世界に残る2つの流行国、パキスタンとアフガニスタン以外でWPV1が検出されたことは深刻な懸念であり、ポリオ予防接種活動を優先させることの重要性を強調している、と指摘しました。

GPEIによると、今回の検出はパキスタンからの輸入例であるため、2020年8月に正式に記録されたWHOアフリカ地域の野生株ポリオウイルス不在の認証状態には影響しないとのことです。

写真：2022年2月17日、イスラマバードで記者会見するビル・ゲイツ氏（左）とパキスタン保健担当首相顧問のFaisal Sultan氏―ビル＆メリンダ・ゲイツ財団

Translated from:
https://www.voanews.com/a/bill-gates-hails-zero-polio-cases-in-pakistan-/6446649.html