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再び石神井の「かいぼり」

 東京都は、池の水を抜き泥などを除去する「かいぼり」に取り組んでいる。2021年1月半ば、石神井池(ボート池)側の「かいぼり」を見たことがあったが、この時はコロナ禍の最中であった。厳しい状況でも黙々と自然環境の整備に取り組まれたことには頭が下がる。かいぼりには水質の改善の他、外来種を駆除し、生態系の回復を狙う意味もあるという。

 今回は三宝寺池側、「水辺観察園」がメインであった。ここで行うのは2018年以来のようだ。水辺観察園と言えば、希少植物が身近に見られることのほか、カワセミが枝の上に佇むなど、公園の中でも特に自然の景観が美しい場所だ。ここにかつてプールや釣り堀であったが、当時の様子については私は知らない。
 前日までの好天気から一転、その週末は寒空であった。事前に募集していたボランティアも加わり、大勢が関わっていたが、以前の石神井池の作業に比べれば、場所を絞った印象はある。それでも少し前から近くの木道を閉じて、生き物を素手で細かく仕分けている方もいて、毎年出来ることではなさそうだ。

事前の準備の様子

 外来種と聞いて、ブルーギル、アメリカザリガニであれば納得するのだが、コイまで含まれるのは以前から意外に感じている。「鯉」と漢字で書くとどれも日本古来の魚のようにも思うけれど、厳密に区別があるらしい。
 三宝寺池のほとりにある「厳島神社」隣の「浮見堂」で対岸の景色を眺めていると、たくさんのコイを見かける。今後もやはり駆除の対象なのだろうか。関西に住んでいた頃、最寄りの用水路では、コイがひしめきあって泳いでいた。ああした魚がどこから集まってくるのか不思議だが、実にタフな魚である。
 当日、専門家に話を聞いたが、一度カイボリをすると、水がないのだから、外来種は捕りきれるそうだ。しかし、五年ほどで再び姿を見せている。三宝寺池は釣りが禁止されているが、誰かが持ち込んだにちがいない。

池で捕獲された生き物たち

 かいぼりが行われた日、厳島神社の近くで、大きな鳥を見つけた。急いで写真を撮ったが、こちらが拍子抜けするぐらい、おとなしい。調べてみると、どうも「ハッカン」というキジ科の鳥のようだ。
 ハッカンは中国南部、インドシナ半島、ミャンマーなどに分布する。江戸時代初期に日本に持ち込まれたそうだが、これだけ慣れているということは、少し前まで人に飼われていたのだろう。誰が与えたか分からないが、くちばしのところに餌らしきものもあった。

ハッカン

 逃げ出したり、あるいは手に負えなかったりの理由で、野にペットが放たれる。繁殖力が旺盛の場合、役割がかわって邪魔ものとして駆除されるのでは、連れて来られた生き物としてもやりきれないだろう。
 外来種も含めて生態系、仕分けは残酷だという意見もあるだろうが、野生化したインコのフン害が各地で問題になっている。池であればカイボリは一つの解決策だと思うが、空の方はそうもいかない。
 石神井公園にハッカンがいることは噂になっているようだが、広い公園に一匹だけ取り残されているとしたら、やはり不幸だ。

かいぼり作業中


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