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石神井の「チルコロ」

 10月最後の日曜日、石神井公園商店街銀座通りで「チルコロDEハロウィン」が開催された。チラシに「第29回チルコロ石神井つどいの市場」とあるように、このイベントは以前から行われ、地域に根付いている。しかしながら、自分は「チルコロ」の名がつく祭りが3月と10月末の年二回あることを正確に知らなかった。たいていは当日にイベントがある(あった)ことに気づくことが多い。
 詳しい方に教えてもらうと、新聞に折り込みを入れたこともあったそうだ。もともとは有志の集まりから始まったとのことだが、今は「石神井公園商店街振興組合」が主催している。
 コロナで開催が中止だった年もあり、今年はだいぶ前からチルコロに行く気でいた。厳しい時期を経て、あちこちに立っている今年の幟が、どこか誇らしげに見えたのは、気のせいだろうか。

「パークロード石神井」の幟

 朝のうち降った雨も収まり、当日は大いににぎわった。厳戒態勢の渋谷とは違って、石神井のハロウィーンで仮装を楽しむのはおおむね子どもたちと親である。何より子どもが元気なほど未来は明るい。
 お酒を提供する店が多かった気もしたが、今年、石神井公園通りに洋菓子店をオープンした「居酒屋とおるちゃん」は、人気のバスクチーズケーキを並べていた。

飾りではなく、売り物のようでした

 駅の南側の商店街「パークロード石神井(銀座通り)」のそばでは再開発が予定されている。ここは以前、バスが店頭をかすめ、歩行者の横をすれすれに走っていた。近年は東側の道路が広がり、過密な交通事情が解消されたものの、今度は大鷲神社の社殿ある場所に「道路232号線」を通し、駅の南側にも高層ビルが建てるようである。「再」再開発と言った方がいいかもしれない。
「ライオンズマンション石神井公園」がA棟とB棟に分かれていることには、前々から不自然なものを感じていた。「道路232号線」なるものの想定ルートを調べると、そのマンションの間を抜けるようにも見えるが、想定内だったのか、建物自体が建替えになるのだろうか。先の「とおるちゃん」もラーメン店「麺処 井の庄」も、地下一階のライオンズプラザ内にある。
 かたや街を活気づけるためのイベントがあるのに、そこを通りぬけるために道を造る試みは、そんなに重要なことなのかなぁ。そもそも子どもが減っているので、交通量だって減っているし。ただし、利点もあるのだろう。

石神井公園駅南側

 再開発の動きは上石神井駅の周辺にもある。古くからの店舗が更地になる様子は、やはりやるせない。西武線では長らく高架化が噂されているが、練馬区では、あっちもこっちも剛腕がふるわれている。
「チルコロ」は呪文のような不思議な言葉の印象しかなかったが、イタリア語で「輪」「仲間」「循環」の意味らしい。「サークル」ということだろう。イタリア語とは知らなかったが、街づくりにあっても、望ましい考え方だとは思う。

夜の石神井公園駅南側


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