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石神井公園で草刈り

 西武池袋線・石神井公園駅南口の再開発は、確実に進んでいるようだ。工事のゲートが開いたところからのぞきみると、瓦礫と元は何の建物があったか分からない更地が見える。先日の裁判で一度は「待った!」がかかったとは言え、この現状を見せられると、高層ビルの建設が止められるとは思えない。国立の方では富士山を隠した完成前のマンションが解体になったらしい。きわめて異例のことだろう。

関係者以外「立入禁止」

 一方、石神井公園の中は相変わらず景観が保たれている。公園をざっくり分けると、三宝寺池側と三宝寺池からの流れを堰き止めた石神井池(ボート池)側に区別されるが、石神井池が出来たのは1934年だ。三宝寺池の植物群落が国の天然記念物に指定されたことをきっかけに新設された。いわば人工の池ということになろうが、水源である三宝寺池の湧水も枯渇しているから、こちらも純粋に自然ものだとは言えなくなっている。

 7月7日、石神井池では、NPO法人や子どもたちを含むボランティアの手で行われたのが「湿地de草刈り」だ。当日は大変な暑さであった。
 石神井池は人工の池なので、陸の部分と池の部分がある。水が存在さえすればいいというものではなくて、水鳥、ドジョウ、カエル、最近盛んに飛び始めたトンボにとって、浅いぬかるみが広がっていることが大切らしい。ヒキガエルはふだん林に棲んでいるが、産卵にはそうした場所が必要になるとのことだ。
 陸と池の中間部分に湿地を出現させ、生き物の生息地を確保しようという取り組みである。

 今回の場所にはヨシやガマなどが繁茂していた。背の高い植物が群落すると、他の植物が生育出来ない。水に浸かったところも、倒れた枯草や土砂の堆積をほっておくと、2~3年のうちに陸地化するという。
 草取りは鎌による手作業で行われ、ベテランは池の深いところまでつかって、堆積物を掘り起こしたりする。
 同じような草刈りは、以前、年初に荻(おぎ)に対してもあった。見守っておくだけで武蔵野の自然が現出するというわけではなく、正しい知識を持った人の手が関与することで、ようやく今のような緑を楽しむことが出来るというわけだ。
 この日は七夕だったが、東京都知事選挙の日でもあった。結果は報道の通りだが、争点の一つでもあった神宮外苑の樹木においては、「切る・切らない」の決断とは別に、維持管理の大切さは考えるべき視点だと思う。

この後、カルガモの親子がやってきた

 石神井公園では、アメリカザリガニの防除も行われている。池では少し前からワナを見かけるようになった。「石神井 水辺しんぶん」(発行:東京都東部公園緑地事務所)によると、水草には水を透明に保ったり、水生昆虫に棲みかを提供したりの働きがあって、公園ではアメリカザリガニによる水草の被害が報告されている。
 最近は散策の途中、池でニシキゴイを見かけることも多い。「風流」と感じるかもしれないが、同様の理由で、環境へのダメージは深刻らしい。
「外来生物だって生き物じゃないか。残酷だ」という意見も聞く。しかしながら、もとは誰かが持ち込んだわけだ。人間だけでなく、ゆくゆく捕獲されるコイにとっても迷惑だと思うが、どうだろう。

泳ぐニシキゴイ


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