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石神井とアメダス

 2022年の夏は、統計開始以来、過去2番目の暑さで、東京でも35度以上の猛暑日が16日と過去最多であったらしい。記録はネット調べだが、厳しい暑さが続くなぁという印象はあった。反対に、春と秋が短かったいう感想は多くの人が持っている。
 東京で天気が報道される時、「練馬区」が紹介されることが多い。練馬が特別暑いせいだと思っていたが、取り上げられる理由の一つは、気象庁が代表地点として練馬区内にアメダス観測所を設置しており、気温のデータとして「練馬」の地名がよく表示されるということだ。アメダス練馬観測所(練馬地域気象観測所)は、石神井台の「石神井松の風文化公園」内にある。

 松の風文化公園が出来たのは2014年4月1日。すでに石神井で暮らしていたが、富士街道沿いにあるこの場所はきちんと訪れたことがなかった。ここは古くからの住人には旧「日本銀行」のグラウンドとして知られている。ここは三宝寺池に隣接しているから、石神井公園が拡張したものと勘違いしていたが、別物で、テニスやバスケットのコートがあるスポーツ公園だ。運動に縁がなくても、夏は広場の芝生を見るだけで気持ちがいい。石神井公園は終日中に入れるが、ここは開園時間が決まっている。

夏の松の風文化公園

 石神井台のアメダスは、同じ練馬区の中で移設されている。以前の観測所は武蔵高等学校・中学校の場所にあった。アメダスの移転が2012年年末なので、公園の開園前ということになる。観測所の歴史は、「武蔵学園百年史」の「アメダスの練馬観測所移転の経緯」でネット公開されていて、これより詳しい内容は他で読めないのではないか。1942年以来という、武蔵気象部のたゆまぬ計測には頭が下がる。移転の理由は観測設備のある周辺環境の大きな変化が理由とのことだ。

 今の移転先がどうなっているかと言えば、公園の中にも特別な表示はない。公園のはずれにこんもりと土が盛られ、網で囲まれ立ち入りは禁止されているものの、設備の外観は拍子抜けするほどだ。「気温・風向・風速・降水量、日照時間」を調べている。特徴的と言えば、空高く伸びる「風見鶏」の鉄棒で、プロペラが見えた。様々なことが自動で計測されているのだろうが、単純に見えると言えばその通りだと思う。

公園のはずれにあるアメダス

 真夏の練馬のニュースを見ると、たいてい子供連れの母親が汗をかきながら苦笑いしている。練馬の中でも石神井は池も緑もあるから、いくぶん涼しいだろうと思っていたが、これだけ近所なら、差は小さいだろう。
 盆地でもないのになぜこうも暑いのか? 練馬が東京で一番暑いのは、涼しい海風が流れにくく、流れても都心を通過した熱風を伴っているから、とのことだ。そう聞くと「練馬には住むものか」とも思うが、都心で働いて夜帰る頃には暑さが収まっていると感じることが多い。練馬は緑が多く、日差しをアスファルトやコンクリートにため込む「ヒートアイランド現象」の影響が少ないそうだ。夜になっても熱を吐き続けるオフィス街の方が、石神井よりも厳しい熱帯夜が続くというのは本当なのだろう。

晴れた空にのびる風見鶏


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