我が家にいる霊の話

我が家には霊が棲みついている。
ちょっと唐突で訳のわからないことを書いたけど、お宅にも棲みついています!除霊師を紹介するので下記のリンクからどうぞ!とかそんなことを言うつもりもないし、夏の夜に「怖いよー怖いよー」とか言いながら語り出したりもしないのでそこは安心して下さい。

そもそも俺、霊感全然無いんですよ。
昔、好きな子がむちゃくちゃ幽遊白書が好きで霊界探偵に憧れたこともあったけど、中学の時に一度も子供が轢かれそうになるイベントが発生しなかったから諦めた。
そこから俺の霊界探偵の夢は潰えたので、魔族を目指すことにした。
これなら魔族大隔世でワンチャン俺にも可能性があるなと。
「俺の先祖ってゾンビかな?」って言えるなと。

話逸れたけど、そうそう、霊の話ね。
元々ウチは10年くらい前に建て売りで買った一軒家に住んでるんですけど、5〜6年前からその兆候はあった。
よくあるのが、赤ん坊が部屋の隅をジーッと見つめて、たまにニヤっと笑う。
あれがまぁ割と頻繁にあった。
その時は「この子急にニヤけたけど大丈夫かしら?」くらいにしか思ってなかったので、どちらかというとお子の将来の心配がメインで、霊のことなど1ミリも考えて無かった。

もうしばらくすると、今度は嫁が2階の部屋で人が動く気配を感じたと言い出した。
その時は子供たちはリビングでテレビを見ていて、俺はまだ会社にいたので、2階には誰も居なかったんですわ。
嫁はてっきり、俺が帰ってきてリビングに行かずに2階に行ったのかと思ってたらしく、帰ったら「どこ行ってたの?」と問い詰められた。

怖い。霊より怖い。
普通に仕事から帰ってきたらいきなり「どこ行ってたの?」と問い詰められる。
いやいや、仕事なんすよ!
仕事行って帰ってきただけなんですけど、なんか前兆演出とかもなしに問い詰めてきたもんだから別の可能性を色々考えた。
で、真っ先に思ったのが、これは浮気を疑われてると。

旦那が帰ってきて第一声がおかえりではなく、どこ行ってたの?ときたもんだから、これは暗に「お前の行動は筒抜けである」と釘を刺しに来たと。
釘を刺すついでにトドメも刺しに来た、と俺の頭の中のスーパーコンピューターが瞬時に演算した。
これはもう一瞬で最適解を出さなければいけない。
少しの間ですら致命傷になりかねない。
何故なら敵は既に百式観音の構えに入っている。
スーパーコンピューターが演算しているその狭間、俺は確かに聞いたのだ。
「そりゃ悪手だろ蟻んコ」と。

や、ちょっと待って。
なんか浮気してる前提で話がスイスイ進んだけど、全然違う!
浮気はしていない。していないのだ神よ。
この場合は観音様に訴えた方がいいのか?
嫁の包丁捌きが音を置き去りにしてるもんな!

とにかく、冷静に、努めて冷静に今帰ったばかりだということを(最適解を思考しながら)嫁に伝えたところ、2階に人の気配があったから既に家にいたことになっていたと。
で、ただいまと帰ってきたもんだから1度どこかに行って戻って来たと思われてたんですって。

なんかいるね。
これ多分2階になんかおるね。

で、ウチの嫁ってば態度はデカいし常にふてぶてしい感じなくせに、むちゃんこ怖がりなんですよ。(ちなみに嫁も霊感は無い)
昔付き合ってた時に友達と3人で心霊スポットに行ったんですけど、車から降りて2〜3分歩いたくらいで友達とダッシュで引き返してみたら、後から大泣きしながら戻ってきた。
その後普通に殺られそうになった。
あぶねー!
俺が心霊スポットになるとこだったあぶねー!

それくらい怖がりなので、とりあえず俺が2階の様子を見に行ったんですけど、特に何も無かった。
部屋にはいつも通り洗濯し終わった服が散乱してた。まぁいつも通りだよ。

で、主に夜になると俺が様子を見ては何も無いことを確認するという新しいルーティーンを何日かやってみて、結局何も起きなかったのでそのまま有耶無耶になってたんですけど。
今年の夏に今度は俺が体験しまして。

俺はいつも2階のロフトを寝床にしてて、平日は1人で、週末はたまに娘とか次男が一緒に寝たりするんですけど、その日はもの凄い疲れてて、週末にも関わらず早めに寝落ちしたんですわ。
で、ふと背中にピタッとくっついてくる子供の気配があって、いつの間にか次男が来たのかと思いながら薄目を開けたら、次男は俺の目の前で寝てたんですよ。
じゃあ娘か、と思いながら後ろを振り返ってみたら誰もいないんですね。
寝ぼけてたのかと思いながら再び寝落ちしそうになった時、また背中にくっついてくる感触を感じて。

あー、いらっしゃったかと。
そういえばいつだか嫁が2階によからぬ云々がと騒いでたなぁと。
眠気MAXの俺がかろうじてその事を思い出せまして。
ここで普通なら「ひゃあ!」ってなるんだけど、眠い時の俺は本当に寝ることしか考えない。
昔付き合ってた子とディズニーランドに行く約束をしてた時も、眠すぎてすっぽかした。
その後家まで乗り込んできた彼女から強烈なローキックを喰らったけどそれでも寝続けた。
それくらい眠い時の俺は全てにおいて寝る事を優先する。
なので、霊がひっついてきても虚無。全くの虚無。
ひっついてる霊に向かって一言だけ「眠いから大人しくしてて」と言い残して寝落ちした。

こうして、次男と俺と子供の霊とで川の字になって寝るというよくわかんない構図が出来た。
や、霊は寝るのか知らんけど。

で、おそらく子供の霊がいる事が濃厚になってきたのでちょっと調べてみたら、子供の霊というのは自分の家系に繋がる子が棲みつきやすいと。
それで思い出したんですけど、ウチの嫁は長男を出産した2年後くらいに流産してるんですよね。
割と妊娠初期に流れたので、落ち込みましたけどダメージは少なかった。
幸い嫁も健康だったので割とすぐ立ち直った。

で、それを思い出した瞬間この子だ、と。
ぶっちゃけ嫌な感じはしなかったし、別に何か被害を受けてるわけでもないので、もうこの子が気の済むまで居てもいいんじゃないのか。
寝床がいるなら俺のロフトに居てもいい。
そんな話を嫁にしたら一言。

「そういえば流産した子、ウチのトイレで流れちゃったんだよね」

あー、うん。そりゃウチに棲みつくわ。

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