けーせいのざくざくアクターズ考察① マクスウェルの謎

※この考察はメインストーリーまでのネタバレを含みます。未プレイ・プレイ中の方はご注意ください。

前置き

タイトルにもある通り、マクスウェルというキャラには謎が多い。成金な彼がどのような経緯で召喚士協会についたのか?どうしてあそこまでシノブを妬んでいたのか?

筆者はその中でも際立って「コレおかしくないか?」と思っている点がある。

それは小物さに対して立ち絵が豪華な事である。


……こう書くとスゴイ失礼なのは承知だが実際、変なのだ。

はむすた先生本人が描き起こしているのは、基本的に「はむすけ&どらごん」や「ちゅー納言でんでこ」のように、味方以外はカワイイ路線かコミカル路線で統一されている。その中でマクスウェルだけが浮いている。

その中で例外とも呼べるのはシノブパパや海神母のようなシナリオ上専用マップチップが必要な場面のあるキャラや、強いて言えば宇宙海賊キャプテンハンサムのポスターくらいだろうか。

立ち絵となると御影星のような重要ポジションのキャラであってもフリー素材の引用であり通常描かれる事はない。

彼の立ち絵は戦闘場面で一切用いられないにも関わらず存在する。どころかそのセリフですら立ち絵があるのにゴーレムに乗っていたり遠くからの発言だったりで立ち絵が用いられない場面も多く台詞の半数近くにわざわざ用意した立ち絵が使われない。

ぶっちゃけ必要性という点で考えれば立ち絵は全く必要無いのだ。にもかかわらず表情差分まで用意されている。


ここまで比較すると彼の立ち絵が浮いているのがわかるだろうか。特に差分、これが適用されているキャラは(メインストーリー時点では)参戦してくれる仲間キャラのみとなっている。

どうして彼は仲間並の待遇を受けている?

いや、逆に考えてみるのだ。

マクスウェルは元々は仲間としてデザインされていたのではないか?

しかしこう仮定した場合、当然いくつも疑問が湧きおこる。なのでこの考察はマクスウェル元仲間説を元にそれらの疑問に対する筆者の予想を答えていくものとなります。


どうして彼は仲間からリストラされたのか?

元仲間説を立てる上で最初に突き当たる疑問がコレだろう。彼の最期は色々と考えさせられるものであり、助けられるなら助けたかったと思うプレイヤーも少なくはなかった。

元々仲間をたくさん集めるゲームなのだから人手が増えるに越したことはないのに……と思うだろうがそれには明確な理由がある。


先に結論を書く。

本来の彼が物語上で果たすべき役割を彼の代わりに行った仲間がいる。だから彼には味方として果たせる役割が消えてしまったからだ。

ではその「本来のマクスウェルと同じ役割を担う仲間」とは一体誰か?

そのヒントとなるのは名前だ。


「マクスウェル」と検索すると上位に「マクスウェルの悪魔」という項目が出る。これが彼の名前の由来だ。

要点を挙げると、マクスウェルの悪魔とは熱力学に登場する思考実験で常温の空気を暖かい空気冷たい空気に仕分ける架空装置の事を言う。言い換えれば熱と冷気、これをざくざくアクターズのシステムに落とし込めば彼は炎と氷の2属性使いという事になる。

この設定が被っているキャラクターはただ1人、ローズマリーだ。

本編開始前、デーリッチと出会うまでのローズマリーもマクスウェルと同様皆に認められたいという動機で暴走していたりと2人の在り様は似通う部分が多い。

更に本来のマクスウェルがローズマリーのような人物だったと仮定した場合に腑に落ちる部分も多い。

家庭に不和を抱え、誰かに認めてもらいたいという欲求から不断の努力で2属性を習得したとする。そうして召喚士協会へと入会した矢先にシノブという年端もいかない3属性使いと出会ってしまった。そんな過去があったと考えるとシノブに異常な執着していた理由も、炎しか使えないエステルを見下していた理由も全てが納得できてしまう。

彼本来の物語を受け継いだキャラクターはローズマリーだ。そして同時に、本来彼が行うエピソードを彼女が行ったからマクスウェルは仲間に入れるだけの余地がなくなってしまった。


彼が仲間だった時の物語とは?

しかしそうなるとざくざくアクターズは完成に至るまでの間に相当な路線変更があったと予想される。

何せ最初の仲間が別人となったのだ。当然ローズマリーとマクスウェルを入れ替えただけで物語は成立しない。召喚士協会の者がはぐれと2人きりで行動しているのも不自然極まりないし本編開始直後に廃城でデーリッチとマクスウェルが2人きりという光景は流石にいろいろとマズいだろう。

そしてデーリッチもまた、隣に参謀役がいなければ1人の非力な少女でしかなく物語の主人公としては務まらない。

ローズマリーが仲間になったからマクスウェルが仲間でなくなった。言い返せば初期構想でローズマリーは仲間にならない。

つまり元々の主人公はデーリッチではなかった。

デーリッチもまた誰かの物語を受け継いだ存在なのだ。となれば本来の主人公は別にいる。誰だろうか?

彼女と同様に人を信じ問題に正面からぶつかる事が出来てはぐれ問題に関心を示し、世界各地を旅回っても違和感のない人物

そうなれば絞れるのはほぼ1択となる。

そう

ざくざくアクターズ最初の主人公はエステルだ。

彼女のイラストに描かれている鍵状の杖(キーオブサモナー)は本来彼女がデーリッチと同じ能力を所持していた名残だろう。

キーオブパンドラ本来の所有者であるブリギットの住む遺跡の居場所をシノブは知っていた。シノブがエステルに鍵を渡したから主人公は強力な転移能力を獲得した、という流れの方がデーリッチが鍵を取得する経緯よりもずっと自然だ。

本編において彼女はシノブの発案したゼロキャンペーンを元に各地を巡礼しそこで魔物の出現を解決して回っていた。つまり本来のストーリーはハグレを集める事ではなくハグレという召喚士が過去の召喚士の残した爪痕を解決する物語だった。

さらにさらに、そこから見えてくるものもある

召喚士協会4人組の内シノブを除く3名(エステル、マクスウェル、メニャーニャ)が最初期メンバーとしてマクスウェルの性能がローズマリーに近いものだったとするなら3人の性能は

エステル……炎属性、高火力

マクスウェル……氷・炎属性、回復技、バステ付与技

メニャーニャ……雷属性、バフ技、デバフ技

と、とても高い完成度を誇る構成となっている。

その上でエステルが主人公とした場合、活動拠点となるのはハグレ王国ではなく帝都召喚士協会だ。そうなる場合本編で仲間になるハグレ達を住まわせる居場所の確保は正直難しい。

しかし初期メンバーが完成されているのなら、別に彼らが仲間にならなくてもパーティ編成という点においては不自由する事はない。

なので本来のハグレ達は仲間というよりはエステル達に現地で一時協力してくれるゲストメンバー、そして基本的には仲間入れ替えシステムのない3人固定パーティが基本だったのだろう。

読者の多くはこの構造に見覚えがあるだろう、同氏の前作らんだむダンジョンだ。

つまり初期構想においてざくざくアクターズのシステムは前作同様のらんだむダンジョンシステムだったと推測できる。


いったんまとめ

ここまでの違いを考えると、初期構想と本編の違いは主に主人公ゲームシステムの2点で、それ以外には大きな変更点は見当たらない。

つまり世界観や登場人物、そして物語の道筋は初期構想も本編も大差は無いと思われる。

それらを踏まえ、次回の考察ではメインストーリーやハグレ達の詳細など細かい部分で元々はどうだったのか?を状況証拠から筆者が妄想していこうと思う。

と言う訳で今回はここまで。ご拝読ありがとうございました!


追記:その②が出来ました。


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