見出し画像

「自分のために生きなさい」

昨日は、

印鑑を作るために、80歳くらいのおじいちゃんに会いに行った。


普段なら予約の取れない印鑑屋さん。

その噂はずっと聞いていたし、

きっと自分には縁のないことだと思っていた。

だけど、急に2日前に行くことが決まった。

突然訪れた。向こうから、その機会はやってきた。


スターウォーズに出てくるヨーダのような、

神様みたいなおじいちゃんだった。

おじいちゃんは印鑑を見ながら言った。

「あんたの父親の母親がここにあんたをよこしたんだ。

 それがあんたについている先祖だ。」

「あんたは過去に男で失敗しているけど、

 何にも悪くないんだよ。

 その男があんたの器に合わなかっただけだ。」

そして同時にこう言った。

「あんたは奥が深くて、締まりがいい」

一瞬戸惑った。

でもそのあとすぐに、

前の夫に、そして、過去に付き合ってきた人に、

自分が気持ちよくならないのは、

私のせいだ

というような言葉を言われたことを思い出した。

そう言われるまでは、すっかり忘れていた。


でもこうしてそう思い出すてってことは、

深く深く傷ついたから、

自分でもわからないように

自分の奥底に

深く深く

眠らせていたのだと思う。


そんなこと

一生誰にも

自分でも

どうすることもできないし、

自分の中に眠らせたまま

生きていくんだと思ってた。


どうしてそんなことがわかるのか?

わからなかったけど、

その言葉がスーッと

自分の中に入っていくのを感じた。

「男は小さい生き物だから、そう言っちゃうんだよ。もし次、誰かにそう言われたら、お前のがちっちゃいんだよ。って思っておきなさい。」

「それを言っちゃ男は立ち直れないから、

 言葉はせずに、そう?って笑って言ってあげな。」って。

おじいちゃんと一緒に笑って、

それが聞けてよかったって、

過去に傷ついた自分も、

そしてそれをずっとどこかでひきずって

いた自分も、

癒されていくのを感じた。

今まで生きてきた中で、

もらった最大の褒め言葉だった。

最大の自己肯定だった。


そして、同時に言われた。

「過去の経験は、忘れなさい。いい経験させてもらったと思って。」

忘れることはできないかもしれないけど、

もし今後

自分のことを責めそうになったら、

おじいちゃんからもらったこの言葉を自分に言ってあげようと思う。

「これからは自分のために生きなさい。あんたは優しすぎる。他人のために生きることはしちゃいかん。」

過去の私は、

自分のために生きるってどういうことなのか?

よくわからなかった。

自分のために生きている感覚も、

他人のために生きている感覚もなかったから。

離婚した時、

あの時から

自分のために生きる という生き方があることを知り、

この3年で

それがどういうことか少しずつわかってきたつもりだった。


それでもまだ、

その言葉を聞いてドキッとするのは、

まだ他人のために生きてしまおうとする

自分がいるんだと思った。

「今ならまだ間に合う。」

そう言われた時、

ある人の顔が思い浮かんだ。

それは私が大切にしてきたご縁だった。

その人の元にいつづけることは、

自分のために生きることを止めているのかもしれない。


そう思った。

それを知った時は、

とても悲しく、

そして衝撃的な出来事だった。

でも、

どこかで、誰かにそう言われたかったのかもしれない。

そんな風にも思った。


すぐには受け止められずに、一晩眠って、今。

これを書いていて思うのは、

昨日の出来事は、夢だったんじゃないか?って思えるくらい

遠い昔のように感じる。


そして同時に、

昨日まで身を置いていた世界が

色褪せていくような

もう、

自分の居場所ではないような

そんな感じだった。


きっと昨日までの私は、

もういないんだろう。


朝目覚めた瞬間から、

新しく生まれ変わった私で、

自分のために生きていく。


それが、

どれだけ素晴らしいことなのか?

自分の人生で、

毎日で、

一瞬一瞬で、

新たに証明していくんだと思う。


おじいちゃんありがとう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?