小泉安曇の短編集1

木に括られた仔象9.5(ジャングルジュース)

Part Ⅰ < 森 >

蒸し暑い森を抜け出すために、盲楼とする意識の中で堪を頼りに抜け道を探している。

一人の少女を背負いながら、頼りない足取りで。

森のなかのすべてのものが、金属を思わせる材質だ。

樹木のひとつひとつはまるで重金属の様で、アルミニウムみたいだ。

葉脈や年輪の模様は基盤の回路図様であたかも電気を通している様にキラキラと光っている。

この熱気は機械が発熱する時のものと似ている。

あの、TVを何時間もみていた後の様な。

この森の樹は葉や実を落とさないのだろうか?

何ひとつそんなものは見当たらないけれど・・・・・。

この森の地面は、螺子やナットの様なものに敷かれている。

僕の素足にそれらは背負っている少女の身体の重さが、僕の重さに加わって、容赦なく喰い込む。

モノクロームの世界・・・・・・。

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