財務諸表監査について

内部統制の経営者評価ばっかりやってると監査法人と話がズレてきたりするので

財務諸表監査


経理としてその会社の中で働いている人間と複数の会社を担当している監査人では、残念ながら「企業活動」に対する理解が違うのが現実です(もちろん監査人も経営者とのディスカッション等を通じてここに対する理解を深めていますが、現場のメンバーレベルで考えると圧倒的に経理側の方が理解が深いと思います)。
その結果経理の視点からは「ビジネスに対する理解が足りない」と監査人に対して不満を抱きがちです。

それでは経理がすべての面で優っているかというと必ずしもそうではありません。経理は「企業活動」をスタートとしているのでそこへの理解が深い半面、ゴールである「財務諸表」そのものに対するアプローチが弱くなる傾向があると思います。
どうしても数字を作るほうに力をかけすぎて、できあがった数字を確認するまでは手が回らなかったり疎かになりがちです。

例えば仮に何かしらのエラーが監査人により発見された場合、「言われたから直す」で終わるのではなく「どうやってそのエラーに気付いたか教えてもらう」までやらないと意味がありません。もちろん監査人の立場上、詳細な監査手続を教えることはできませんがエラーに気付く方法は教えてくれるはずです。そこのフォローができない監査人は会社にとってあまり価値がないとも言えます。


JSOX(内部統制報告制度)対応

J-SOX運用の目標が「可能な限りの省人化・低コスト」になったことで、J-SOX対応の部署の人数の削減に伴い、これまで制度対応を孤軍奮闘で対応してきた担当者の方が別に部署に異動になるとともに、これまで内部統制とは全く無縁の業務をされていた方が、新たにJ-SOX制度担当部門のコアメンバーとしてアサインされる事態が発生していることに起因しています。

・前任者からの引継ぎで、これまでどおりの作業を続けてもらえれば問題はない
・困った時は監査法人にも聞けば教えてくれる

そういう引継ぎが多く、制度の概要は独学できるものの、自社の細かい運用ルールがどういう経緯でそうなったのか、についての理解があやふやなまま対応せざるを得ない状態が至る所で発生しています。

外部のコンサルも大手のBig4から個人の会計事務所までピンキリですが、専門家選びの際のポイントは以下の2つと考えています。

①2008年のJ-SOX導入時であったり、または、IPO時のJ-SOX導入に携わった経験があること
②導入支援だけではなく、実際にJ-SOXの監査を主任以上の立場で実施した経験があること

気を付けないといけないのは、外部コンサルも仕事を拡大させたい野心を持っていますので、「RCM」といわれるリスクコントロールマトリクスの見直しなどの追加作業の提案もセットで行ってくることも多いです。そこはきっちり線を引いて当初の目的(例えば、効率化)に寄与するところだけ力を借りることが大事だと思います。




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