お勉強のために通読して感想文を書いてみる
はじめてのすごい長編記事、超力作?
Ⅰ はじめに
「IT研57号」とは、改正「監基報315」が適用される監査において、ITに関する実務上の留意事項をまとめたもの
「IT研57号」の発行に伴って、「IT実6号」と「IT研53号」は廃止になる
ちなみに改正された「監基報315」はこっち
Ⅱ 総論
Q1 ITの利用から生じるリスク
情報処理統制を自動化するなら、設計と実装と運用がちゃんとしてないとだめって話
Q2 自動化された情報処理統制の無効化リスク
「監査人はプログラムの要件定義が会計処理上適切な内容であることを確かめるための手続を必要に応じて実施することになります」って書いてあるけど、実務的にはどんな風に開発プロジェクトに関与していくものなのか
Q3 用語の整理
システムって用語をハードウェアとソフトウェアにしか使わない人もいるけど、実はユーザやマニュアルを含めた概念なんだよね
Q4 情報処理統制とIT全般統制
「業務処理統制(Application Controls in IT)」という用語は「情報処理統制(Information Proccesing Controls)」に置換されたわけだけど、これにはどうゆう意図があったんだろう
自動計算(手作業でやってた計算をプログラムで自動化したもの)については言及されていない
Q5 監査人が理解すべき企業のIT環境
「ITの利用から生じるリスクとアサーションレベルの重要な虚偽表示リスクの関連性を考慮しつつ、…」っていうとこがいまいち解らない
どういう関連性があるのか謎の謎
Q6 企業のIT環境を理解する際の留意点
なんか色々と理解する必要があるらしい
Q7 監査業務にIT専門家を関与させる際の留意点
IT専門家に作らせた監査調書は、監査人がちゃんと査閲しよう
Q8 アプリやインフラを理解する際の留意点
業務プロセス上の入出力とかの情報は重要だと思うけど、ユーザ数とかトランザクション量とか、ソフトウェア構成、ハードウェア構成、ネットワーク構成って要るのか?何に使うのか
Q9 パッケージソフトの計算処理の妥当性等を検証する際の留意点
これってパッケージじゃなくてスクラッチでも同じことが言えるのでは?
Q10 計算処理の妥当性等を簡易な手続で検証できる場合とは
つまり、パッケージ標準機能しか使ってない場合
Q11 グループ監査においてどの程度にIT環境を理解すべきか
連結プロセスは、連結パッケージ(という名のExcelファイル)を親会社に連携するにあたって、どんな手作業と自動処理をしてるかっていうこと?
グループ全体統制って何
Ⅲ 情報処理統制
Q12 ITを利用した情報システム及び関連する内部統制を理解するための手続と留意点
を理解しよう
Q13 データを含めた処理の流れやシステム帳票の生成過程を理解する方法
情シス部門に聞いても、「システムを開発運用するためのドキュメントしかない、監査のためにドキュメントなんて作らない」とか言われちゃうけどね
でもこれを整然と、流れに穴を作らずに把握しとかないと、文書化も評価もできない
「承認プロセスがワークフロー化されていた場合には、以下のような事項も実施します」で「ログインに係る認証機能の観察」とか書いてあるけど、権限設定だけじゃなくて認証機能まで見ることを求めてる?
Q14 開発中のシステムについてIT全般統制の識別評価は必要か
何故これが「財務諸表全体レベル及びアサーション・レベル」の「リスクになるのか、よく分からない
稼働中のシステムの評価とは違って、プロジェクト監査的なこともしなきゃいけないってことなのかな
Q15 自動化された情報処理統制の評価手続
要するに、「合理的な心証を得る」ための理屈付けが大切ってこと
自動計算もITAC扱いになっている
飽くまでも「心証を得る」ための手続なんだよね、でもなぜ得られるのかを理屈で説明しなければならないという難しさ
ソースコードのレビューとか、読んでも解らんだろと思う
再計算も、処理パターンなんて膨大にあるのにどれくらい確認する気なんだよとも思う
この日本語(「~全ての情報処理統制を識別し、評価することは求められていません」)の意味が解らない。「全ての情報処理統制」は見なくていいなら、どれだけの情報処理統制を見ればいいってことなのか?
なので、監基報315を辿ってみた
たしかに同じようなことが書いてある(「~全ての情報処理統制を識別し、評価することは求められていない」)
「重要な取引種類、勘定残高又は注記事項に関する取引の流れやその他の情報処理活動を定めた企業の方針」っていうのが謎なのでさらに調べてみると…
要するに、「重要な取引種類、勘定残高又は注記事項に関する取引の流れやその他の情報処理活動を定めた企業の方針」=「固有リスクが高い取引/勘定科目/注記事項に関する内部統制」ってことらしい
この内部統制に関する「全ての情報処理統制」は見なくていい…と言っているが、やっぱり「じゃあどれだけの情報処理統制を見ればいいのか?」ってなるよね
どういう意図で書いたのかご教示願いたい
Q16 紙面への押印ではなく電子承認である場合の留意点
Q17 電子署名やタイムスタンプ機能を用いた電子契約における留意点
電子署名法を参照
Q18 売上を自動計上するシステムにおけるITACの評価
なんか色々書いてあるけど、なんで売上の勘定科目についてだけ特筆してあるんだろって感じ
Q19 インターフェースの有効性を検証する方法
1番目は実質的に不可能な気がするから置いといて4番目やるのが普通なのかな
インターフェイス処理っていったらエラー処理は当然組み込まれてると思うけど、3番目で済ませちゃいけないのは何で?
Q20 アプリが作成した情報を利用する場合の留意点
当たり前のこと言ってるだけな気がする
Q21 アプリが作成した延滞債権リストや滞留在庫リストを利用する場合の留意点
このQAの意義が解らない、Q20の具体例を挙げてるのか?
Q22 EUCの留意点
EUCでやってる処理のリスクによって評価手続は変わるってこと
ITGCの有効性を確保できないっていうけど、サンプルたくさん見ればそれで済む問題なのかな
(そもそもITGCに依拠してサンプル件数減らせないなら、ITACじゃなくてPLCとして評価すればいいんじゃないって感じもある)
そもそも設計書も残ってないのに第三者がコード読んでけるかって話、IT専門家ってそんなすごいのか
Q23 「自動化された情報処理統制」について前年度からの変更がないことを確かめる監査手続
このQAに基づくと、「変更がない」を立証するのは実務的に不可能だろうなって思う
まず「ITACに影響を及ぼす個々のプログラムを全て特定」っていうのが難しすぎると思う、複数のソースコードを再利用して1つの処理を構成してるっていうのが現代のアプリだから
Q24 「ITの利用から生じるリスク」とアサーションの関連性
リスクがリスクに影響を及ぼす…
従来のすべて手作業だったときはアサーション阻害リスクのみだけだったけど、自動化したことによって、「IT利用リスク」が生じて、それが「アサーション阻害リスク」の原因になってるとも考えられる、ってこと?
例えば、未承認でデータが変更されてしまう(正当性インテグリティが阻害されてる)なら、架空のデータが作れちゃうので、それは実在性アサーションを阻害する要因のひとつになってるよね、って感じ?
感覚的に、会計士がいってる「網羅性」(アサーションとしての「網羅性」)と、ITAC評価担当者がいってる「網羅性」(情報のインテグリティとしての「網羅性」)って意味が違ってる気がするんだよな
アサーションを直接立証してる感覚がないので理屈も組めないというか…
結局、ITACの評価手続って、アサーションからではなく、情報のインテグリティ(網羅性、正確性、正当性)から導かれてる気がする
担保したい情報のインテグリティに応じて、各ITAC(インターフェイスとか自動計算とか)が設計実装運用されてるんだから、立証すべきはアサーションではなくて、情報のインテグリティなんじゃないのか
Ⅳ IT全般統制
Q25 財務諸表監査上、IT全般統制を評価する意味はどのようなものでしょうか。
ITGCとはITプロセス(=情シス部門の業務プロセス)に関する内部統制
Ⅴ パッケージ・ソフトウェア
Q26 ERPが利用されている場合の留意点
アドオン開発部分については、自社開発(スクラッチ)と同様のITAC/ITGC評価が要求される
有名なパッケージ製品なら、内部統制絡みの機能もよく設計実装されてるだろうし、標準機能に業務プロセス(その企業として特段強みになっている業務設計でない部分なら)を合わせたほうが統制評価コストは下がるのだろうか
カスタマイズ地獄に陥ってシステム導入自体が混乱してる話しか聞いたことない
Q27 会計帳簿の作成などに市販の簡易なパッケージ・ソフトウェアを利用している場合の留意点
サイバー攻撃によってデータが破壊されて決算報告を延期した事件もあったし、⑥みたいなITGCも重要だよね
Ⅵ 外部委託
Q28 ITに関する委託業務
Q29 一般的な委託業務の形態
Q30 委託業務に関する内部統制を評価する場合の留意点
監基報402に従う
CSP(クラウドサービスプロバイダ)も委託先に含む
Ⅶ 「自動化されたツール及び技法」とCAATs
Q31 「自動化されたツールと技法」及び「コンピュータ利用監査技法」
いまどきどんなPCにもExcelはインストールされてるし、CAATs(コンピューター利用監査技法)してない現場なんてないけど、やり方がめちゃくちゃで有効性効率性が出てなかったりするだけ
監基報315では敢えて「自動化されたツールと技法」という用語を使っているけど、これはRPA、ドローン、AIのような未来の技術を意図したものらしい
Q32 リスク評価手続における「自動化されたツールと技法」の利用法
サンプリング試査ではなく母集団データ全体に対する精査、可視化、分析、再計算ができる
Q33 仕訳テスト及び連携して実施すべき取引テストを実施する際にCAATsを利用した方がよい場合
そもそも仕訳テストが何なのかイメージできてなかった
・仕訳テストは、監基報240第31項(2011年)で公表された監査手続
・経営者による内部統制の無効化に関係したリスク対応手続
Q34 リスク対応手続(運用評価手続・実証手続)におけるCAATsの利用法
昔から、運用状況評価と実証テストって何が違うの?って疑問だった
財務諸表監査ではなく内部統制評価をやってると特に
これって「再実施」なの?
2番目と3番目については、これらが自動化された情報処理統制としてシステムに組み込まれてたとしたら(貸倒引当金の自動計上、減価償却費の自動計上)、計算の正確性を確認するためにITACとして評価しなきゃいけない、って理屈なのかな
Q35 CAATsを利用した監査手続を実施する場合、どのような監査調書を作成すればよいか
こんなのちゃんと調書に残してる現場ってある?
そもそも評価実務は担当者の試行錯誤による属人的なプロセスだし、手続を再利用可能な形式で文書化するなんて、今の技術じゃ無理(というかコストかかりすぎる)でしょ
Ⅷ 不備対応
Q36 IT全般統制に不備があった場合の取扱い
MMRを直接的に低減しているのはITACなので、ITGCの不備が即刻SD(「重大な不備」)やMW(「開示すべき重要な不備」=旧「重要な欠陥」)に該当するわけではないんだよね
Q37 情報処理統制等の整備状況が仕様書等により評価できない場合に想定されるリスクの評価及び対応例
仕様書がなくても、運用状況評価して実装されてそうなら整備状況評価も有効ってことにしよう、って話
仕様書がないのに(要件定義フェイズで「アサーション阻害リスクやIT利用リスクを低減するために、○○機能をコントロールとしてシステムに組み込みます」という明示がないのに)、なんかITACっぽい機能が実装されてました…ってことはあるんだろうか?
意識されずに結果としてITACが実装されてたとしても、明示的に要件定義で組み込まなかったというのは、やっぱり開発保守プロセスの不備ってことなんだろな
余談だけど、仕様書とか設計書の記載のうちどこがITACに該当する部分なのかっていうのを文書化して明文化するのってめちゃくちゃ大変だと思う(というかできてる例を見たことがない)
だいたいは調書に「○○.xlsxのシート△△の××を参照」とか書き残すけど、他の人(あるいは調書作成者本人も)が後から見たらどこだっけ?なんでこれで整備状況が有効とか結論付けられるんだっけ??ってなるのが王道パターン
もっと上流工程から品質管理の一環として、ICFRとのトレーサビリティを担保しとけば、整備状況評価も運用状況評価も省力化できるんだろうけど(ICFR経営者評価を前提とした要件定義レビュー、設計レビュー、テストなどの文書化)、そういう活動って聞いたこともない
Q38 UATが実施されていない場合に想定されるリスクの評価及び対応例
UATなしでリリースされるとかあり得るのか?
Q39 データベースの会計データを直接修正する手続に不備が存在した場合に想定されるリスクの評価及び対応例
アクセス管理はITGCのトピックひとつ
まずはアプリ以外からのDBMSへのアクセスを遮断しないとね
Q40 開発担当者・保守担当者と運用担当者の職務分離がない場合に想定されるリスクの評価及び対応例
職務分離はITGCのトピックのひとつ
ワークフローシステムとかライブラリ管理システム自体の統制機能がITACとして評価されることってあるのかな
Q41 特権ID管理が不十分な場合に想定されるリスクの評価及び対応例
特権ID管理はITGCのトピックのひとつ
普通は特権IDは封印しといて、機能を制限した管理用IDを別途作成してそれを運用するよね
Q42 監基報315付録5「ITを理解するための考慮事項」の「適用の柔軟性」における「ITの利用から生じるリスクの影響を受ける可能性が十分に低い場合」の柔軟な適用について
よく分からないけど、あまりITを利用してないなら、リスクが低いので、ITAC/ITGCとかじゃなくて、手作業の情報処理統制として文書化評価してねって感じかな
おわり
長かった。。けど勉強になった
知識インプットばっかではなく、実務で使えるようにならないとね