香水探訪記④ 〜小話(肌との相性編)〜
切ない出来事がありました。
これ!という香水があったんです。
勿体ぶっても仕方ありませんね、ディプティックのオーデサンスです。
以前にムエットで試して大変良く、これに決めよう!今日買うぞ!ただ最後に念のため肌に着けてみようかな、と伺った店頭でもう勝者の余裕すら覚えながら肌乗せしたんです。
そうしたらどういうことでしょう。香りが違う…?
確かにオーデサンスのボトルから出たミストなのに、私の肌に乗った途端木の香りに…あなた誰よ?!
このトップノートのオレンジフラワーやビターオレンジがまるで無になり、つられて私も虚無、申し訳なさそうな店員さん。
「…木ですねえ」「ですねえ」
行きと打って変わり覇気なくしょんぼりと帰路につきました。
香水探しの旅をする中で、これまでも色々な壁がありました。コンセプトに合うか、鼻との相性はいいか、予算を超えないか…
そして今回新たに加わったのがそう、肌との相性です。
本当に、うっかり、失念していたんですよね。
何せコンセプトに合う香りがなかなか見つからず、より多くの香水を嗅ぐべくここ最近はムエットのお試しで打ち切ってしまってばかりいました。
ですが香水は肌に着けて使うもの。体臭という概念があるように各人少なくとも紙よりもオリジナルな香りを持っていますし、体温が違えば汗や皮脂量も違う。
ムエットで試した通りの香りになるとは限らないのです…!
今回オーデサンスはトップノート行方不明状態となりましたが、思い返すと過去香水をつけたとき決まってある変化がありました。
私の肌、香りに練乳みを足しがちなんでした!
例えばこちら。
ゲランのアクアアレゴリア グラナダサルヴィアですね。
ムエットで嗅いだ甘酸っぱくどこまでも透き通ったザクロの香りを気に入り購入したはずが、私の肌ではヨーグルトスムージー〜蜂蜜を添えて〜みたいな香りに。
いい香りです、ただ「こんなはずでは…」と困惑しました。
もう1つあります。
少し前に廃盤になってしまいました、ロクシタンのテールドルミエールです。
もう学生の頃大好きでたまらず超・愛用していまして、初めてフルボトルを使い切ったものでもあります。
そんな香りですがこれもまた練乳みが加わるんですよね。甘さと湿度が増し、もったりした雰囲気になる。ちょっと夏には重かった。
その代わり冬ニットを着る季節に非常に重宝しまして、毎年10月頃肌寒くなってくると「今年のテールドルミエールの解禁が近づいたな」とワクワクしたものです。
ああ………なんで忘れていたんでしょう。
きっとこれまでは今ほど「自分の相棒を!ベストな香水を探すぞ!」と意気込んでおらずいい香りだしまあ使えればいいか、くらいの軽いおつきあいだったため香りの肌での変化の記憶は脳の隅っこに追いやられていたんでしょうね。
旅はそう簡単には終わらないようです。
流石にオーデサンスに木になっちゃった記念日当日はショックを受けたものの、旅の継続には結構前向きです。
参加できなかった先日のサロンドパルファンの情報を拝見するに日本初上陸のブランドに興味を惹かれる香りがあるなど、まだ試していない未知の品との出会いが楽しみで仕方ない。
肌に乗せることを忘れずに!、今度こそ相棒を見つけるために長期戦で香水探しを続けます。