究極のスーパーサブ、木村拓也

読売ジャイアンツでプロ野球選手を歴てコーチに就任し、ノックの練習中に突然倒れて帰らぬ人となった名選手、木村拓也の野球人生を奥様の木村由美子さんが綴った「一生懸命、木村拓也、決してあなたを忘れない」中央公論新社刊をご紹介します。木村は「選手は試合に出てなんぼだから守備にはこだわらない」というポリシーのもと、ショートでも二塁手でもたとえ外野手でさえもどんなポジションでも起用されるなら守備についた本の帯付にも書いてあるように、球界一のスーパーサブでした。
 僕が一番記憶に残っている出来事も記されています。それはある日のヤクルト戦でキャッチャーが頭部死球を受けて三人用意していたキャッチャー全員がいなくなるという事態が起きた時、投手以外ならどこでもこなせる木村は自らブルペンに行き、10年ぶりのキャッチャーを志願して無失点のリードという快挙を成し遂げたのでした。そしてこの本は几帳面で真面目な木村の努力で器用に守備でも打撃でも取り組んだ姿を描いています。
 僕はどんなことでも文句を言わず、食わず嫌いをしないでひたすら努力していく大切さをこの本から学びました。プライドとはこだわることではなく何でも挑戦してやってみることだと、つくづく思い知らされた一冊です。

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