朝日杯FS回顧 ~まだ終わらんよ~

馬券も持ってねーのに「ユタカ!来い!」なんてモニターに向かって叫ぶことは、まーない。

おそらく直線を向いた時、もう勝つことを確信してたのだと思う。セリフォスを見ながら仕掛け、右ムチを軽く入れながら派手なガッツポーズもせず涼しい顔で競り落とした。

勝つ時はスマート。夜の方もスマート。

あ、スイマセン。

GⅠになってまだ4年のホープフルSを残しているが、もう事実上の全GⅠ制覇みたいなもんでしょ、これは。

自分が競馬を生業として働き始めたのが1988年、豊が初めてスペシャルウィークでダービーを勝った年。当時、全GⅠ制覇なんて時間の問題だと思っていた。が、人生なんてずっと平坦な訳がない。それはスター武豊も同じだった。もう競馬はユタカを中心には回っていない。それでも飄々と、淡々と、一つ上の52歳がこんだけ頑張ってんだ。オレももうちょい頑張らねーと。そんな気持ちにさせてもらった。やっぱユタカはかっこいいぜ。


ドウデュースは体幹自体は変わらなかったが、いくぶん踏み込みが深くなり、前の出も良くなってしなやかさが増したように感じた。前走のデキだとあそこまで余裕を持って並べてたかどうか?はわからない。ただ5月生まれの馬がここで変わってくるのだからノーザンFの馬って何かが違う。

スピードのあるハーツクライ産駒と言えばサリオスだが馬体はまるで違うタイプ。この馬の方がもっと背中が短く走りも小さいので競馬でコントロールしやすい馬だ。おまけに気性も素直なので距離がどうであれ破綻はしない。

遅生まれのハーツクライ産駒なので奥はあると思う。距離もダービーディスタンスまでは問題ない。ただ今年は資質のある馬がゴロゴロ出てきてるので、この馬がダービーを勝てるか?はわからない。

ジオグリフを除けば馬体の完成度が抜けていて、スムースに先行すればジオグリフにも勝てるだろうな、とは思った。

が、少し出遅れた時に押してしまって、これでスイッチが入ってしまい道中力みっぱなし。あれで直線バテないんだからこの馬の持久力はやはり高い。ただ、ここまで折り合いを教えてきた川田、藤岡佑らにしたら「ここまでせっかく折り合い教えてきたのに全部台無しじゃねーか!」な騎乗だ。チ、だから雑な外人は嫌なんだよ、ってなんて言ってるかもしれない。

おそらくCデムーロは掛かっても御せるという自分の腕に相当自信があるんだと思う。ただ正直モレイラほどの腕は無い。モレイラは激しく押していっても馬を制御して直線はさらに伸びるんだから化け物。Cデムーロは制御はしてるけどそこまで脚を溜められてない。その差。クリスチャンは掛かる気性の若い馬にはあまり向いてない騎手だと思う。

見ての通り背中が短い馬で筋肉豊富なダイワメジャー産駒。脚力とパワーで走る「本質的には1400mあるいは1200mを走るようなスピード馬だと思う」とコラムで書いた通りの馬。今回は掛かりながらも過去最高値のTP67。過去3走が苦手な瞬発力勝負をスピードの違いで捻じ伏せて来ただけ、なのでパフォーマンスが低かったということがわかると思う。キャリアの浅い2歳馬を競争履歴だけで判断すると間違う。そういうことだ。

春はNHKマイルCを目標に進めていくはずだが、例年通りの高速決着になると坂上は厳しくなると思う。瞬発力勝負が得意のダイワメジャー産駒なんてほとんどお目に掛かれない。目指すべきはスプリンターズSなのだとは思う。いずれにせよ陣営がどういう選択をしていくか?次第になる。

ジオグリフは体幹が2→3と来て今回が5。使う毎に馬体がしっかりしてくるので本当にいい馬だと思う。ただ馬体がしっかりしてきたことで芝馬としてのキレ味を失ってきているように感じる。血統的な本質がダート馬なので、正体が出てきてるというか。直線かなり余力はあったように見えるけど、上がりとしては勝ち馬と一緒で初戦の爆発的な脚を見ると体がしなやかならもっとキレたのではないか?と思ってしまう。

ただ敗因はそこではなくてなぜ前半あれだけ抑えたのか?ということ。いろんな想像ができる。将来のことを考え折り合いを重視した、ノド鳴りの不安があるので前半は無理できなかった。いずれにせよここで強気な競馬はする気がなかったのだと思う。

目指すのは皐月賞だろうが、おそらくルメールはこの馬を選ばないんじゃないかな。そしてノド鳴りの不安がある以上、常に軸としては買えない馬にはなったと思う。良い馬なんだけどね。

ダノンスコーピオンは母方がサドラーの中距離血統なので中距離馬ということだと思う。幸いロードカナロア産駒にありがちな硬さが出てないのでこのまま成長していけば重賞は勝てる馬になると思う。スピードがあって制御も利くので競馬がしやすいタイプだが、2着馬を捕まえられなかった辺りがこの馬の現在の実力。

アルナシームは今回、ノーズバンドとメンコ、ハミも調教からeハミに替えて折り合えるように工夫をしてきた。道中は馬群の内でなんとか我慢が利いてる状態。騎手のコメントにもあったように進路が馬場の悪い内しかないので4着は仕方がないと思う。まあ難しいタイプだ。ポジションは取れない馬だし、どこかで持っていかれる危なっかしさは健在。器用に立ち回ったりすることはできないので馬券を買いずらいタイプの馬。

馬体的にはもう少し背が伸びるのではないか?と思っていて、そうするとポテンシャルは大きく上がる。気性も馬体も成長すれば、結構いい馬になると思う。


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