チャンピオンズＣ回顧 ～明暗～

いやー、強かった。スローペースでこの馬の脚の速さを存分に活かせる競馬になったにせよ、最後の１Ｆの脚が段違い過ぎた。

下が暫定のＴＰ（タイムポイント）だが84って数字は近年見たことがない。クロノジェネシスやアーモンドアイが82か83くらい。おそらくオルフェーヴルの最後の有馬記念がウインバリアシオンを８馬身千切ったので、それで88くらいだと思う。予想コラムで「帝王賞を圧勝した価値は高い」と書いたけど、今回はおそらくそれ以上の強さ。この馬の本質的な適性としては2000ｍは少し長い感じがする。

そしてこれだけのスピードと持久力があるということは、おそらくフェブラリーＳも勝ってしまうと思う。完全に世代交代。今年の３歳ダート馬たちが弱いので、足元さえ無事ならば長期政権になるんじゃないかな。

チュウワウィザードは昨年までとはいかなかったにせよ、明らかにデキが悪かった前走から比べると格段にデキが上がった。Twitterで『チュウワウィザードに「無印にしてサーセンでした」って謝る準備しとく』って書いたのはこのデキを見てのこと。

ほんと競馬は知れば知るほどパドックで馬見ないと決断できなくなるな。

まあ前日コラムである以上、前走のデキを基準にして書くのは仕方がないと思ってる。帳尻はパドックで合わせればいいのだ。そのために地方競馬の映像まで残してあるのだ。昨年のこの馬のパフォーマンスがMTPトップの81。強い馬が良いデキで出てくれば結果を出すのが競馬だ。テーオーケインズとの馬連が610円。馬単なら1100円。これを買うか、買わないか、という判断だけになる。

戸崎はかなり上手く乗ったと思う。道中外々を回らずにロスは最小限だったので直線脚をしっかり使えた。でも勝ち馬にあの競馬をされたんじゃ、枠がどうこう言う話じゃない。どう乗っても２着までだ。

12.5-10.9-11.5-12.5-12.5-12.4-11.8-11.8-11.7-11.9

逆にソダシは本来のデキになかったのだと思う。今回のラップを見ると、ソダシはかなり楽なペースで逃げられたのに４コーナーであれだけ簡単に並ばれてしまうのはダート適性云々以前の問題に見えた。脚力に頼った走りをする馬なので後肢に力が入らないとパフォーマンスがかなり落ちるタイプだが今回は動きが大人しすぎた。

考えてみれば、目標は秋華賞であったはずだがアクシデントもあって凡走した。次の明確な目標レースが見当たらず、ちょうどチャンピオンズＣがあるので試しに使ってみるか、的なノリだったのかもしれない。ここを目標として進めてきたチュウワウィザードとは真剣味が違うということだ。それがハッキリ明暗として出たと思う。

ソダシが明確に目標レースを明確に決め、前走以前のようなデキに戻った時に、改めてこの馬のダートの性能を見ることができるのではないか。ただ問題なのはこの敗戦で人気落ちるといいんだけどなぁ、ということだけ。

カジノフォンテンは内に控えて揉まれる競馬なので力は発揮できなかったことはあるが、仮に番手で競馬が出来たとしても、これだけ筋肉が多過ぎる馬体だと中央の速い時計には対応できなかったと思う。地方馬の取捨選択の一つはこういうところを見るべきだと勉強になった。

インティも例年通りのデキだったが、豊が行かせてしまって「おいおい、今までの伏線はなんだったんだよ？」って突っ込みを入れてしまった。番手で掛かり気味になって直線は失速。溜める競馬をしてたら２着争いくらいしても良かったように思うんだがなぁ…。

カフェファラオは気持ち緩いかなという仕上げに見えた。ただそれ以前に1800ｍではパフォーマンスが落ちるのはわかっていたし、この枠から外々回る競馬もわかっていたので今回、陣営としては捨てレースだろうと思う。フェブラリーＳでちゃんと作り直してくるんじゃないかな。

アナザートゥルースは７歳にしてＴＰ最高値を叩き出す競馬。好位の外でスムースに乗れたこともあったが、今、生涯最高のデキにはなってるのだと思う。

サンライズノヴァとエアスピネルらも唸るようなデキの良さだったのだが、残念ながらここ、東京のマイル戦じゃないんだよねぇ。また府中でお合いましょう。

他でオーヴェルニュが直線壁で外持ち出すロスがあったり、スワーヴアラミスが内で少し詰まったり、勝負に絡めないところでいろいろあったけど、それぞれ得意の条件の重賞に回れば好走するでしょ、というデキ。

今年一番Paddock Labで前走とのパドック比較ができるシステムを導入して良かったと思ったＧⅠレースだった。この１年で馬が成長途上だったり、足元の影響だったり、疲労だったりで一戦一戦でデキが違う、ということが見える化することでよーくわかった。以前だと現場で馬を見るだけなので、こうはいかない。間違いなく自分たちは進歩してると思う。ただし自分たちの技術はまだまだ途上。それをもっと研ぎ澄ますことが必要だ。