50オンナが歓楽街で働きだしたお話④

「あぁ、そういえば…」
いよいよむかえた出勤日当日。
まだお客さまがいらっしゃる前に
思い出したようにママが口を開く。
「名前どうする?」
「名前どうする…?」
意図が飲み込めずおうむ返しのど緊張チャッキー。
「お店での名前ね。なにか源氏名つける?
それとも本名でいい?」
でた!源氏名‼︎
自分の名前が男女どちらでも通用する名前で
違う名前にも少し憧れはあり…
しかしなんだか源氏名という響きがむずがゆく…
いまさら違う名前と言われてもなかなか思いつかず…
結局「本名でいいです」と。
なんかチャンスをみすみす逃した気分。

それを後日友人に話したところ
「リリーにすればよかったや〜ん‼︎」などと
爆笑しながら無責任な返答が。
リリーっていつの時代やねん‼︎
ちょっとサイケなイメージしか出てこんわい
‼︎

出勤日初日はとにかく覚えることだらけ。
まず上着をお預かりしてね。
このお酒のときはこのグラスね。
で、このお酒のときはこの氷ね。
自分たちがいただくときは
このグラスね。
おしぼり出して
お菓子はここにあるから
この器に入れて出してね。
ボトルはここにあるからね。
待て待て待て待て‼︎
そないに一気に言われましても
キャパ足りませんねん…

家に帰ってはイメトレ、復習の日々。
「え、それ真面目すぎない?」と言われようと
できない、では済まされないのがお仕事。
あと、少しの負けず嫌いの性格。
気分はもう部活。

なんだかんだで始まった
50オンナの歓楽街お仕事生活。
まだまだ序の口。
次から次へと思ってもみなかったことが
起こっていくのです…


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