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おべんとう。

大好きな横井のおじいちゃまが
大学へ連れ出してくれた

おばあちゃまも一緒だ
手にはお弁当

近所の大学は原っぱもある
寝ころんですごす人もいる

建物の中に日差しをよけられる
場所はたくさんある

コンビニにカフェ
図書館

あえて
並木道のベンチに腰掛けた
ボクは嬉しくて

おじいちゃまと
おばあちゃまの真ん中だ

おばあちゃまが
ボクの手を拭おうと
おしぼりを出したが
転がって落ちた

「あらあら」

おばあちゃまは
サッと拾うと

「トイレの洗面で
洗ってくるわ」

と言い残し
立ち去った



ボクとおじいちゃまは
デリカキッチンで
買ったであろう
お弁当を選択しながら
フタを開けて
食べ始めた


「おばあちゃま
なかなか戻んないね」

「どうせ
あいつのことだから
洗面が不衛生だとかで
自宅まで帰って
新しいの取にいったろ」

「あぁそうだね
ボクもそんな気がする」

ボクはまだ
食べていたが
もともと食べることが
とてもはやいおじいちゃま

ほとんど
食べ終えて
お茶を開封し始めた

「あら?やだわ」

戻ってきた
おばあちゃまの声に
驚いて振り向いた

「もう。どうして
わたしのお弁当
食べちゃうんですか?
購入する時
ちゃんと
説明しましたよ?」

「どしたの?」
普段は
吉永小百合さんみたいに
上品でしなやかで
ゆっくりで柔らかい
おばあちゃまが

おっきな声出した

ボクはあまりにも
驚いて
吐き気がした

虐待の時のこと
思い出してしまうのだ

「おい。やめんか」
おじいちゃまが
止めようとした

「なんで。
何回も説明したわ
ボケちゃったの?
最近おかしいわよ?
悲しくなるじゃない!」

「わかった
ちょっと間違えただけじゃ」

「何がちょっとなの?
しっかりなさってください!」

ボクは泣けて泣けて
声を出して止めた

「どうしたの?
おばあちゃま!
怒らないで!
おばあちゃまぁ・・・あああん」

わーんわあーん
怖くなって泣いた

「ぱこちゃん
わしが悪かった
大丈夫」

どうやら
おばあちゃまのお弁当を
おじいちゃまが
説明を受けたのに
すっかり忘れて
食べてしまった
これだけのことだ

ところが
「これだけのこと」
なのは
おじいちゃまだけで
現実は厳しい

おばあちゃまは
50代半ば頃から
アレルギーが酷くなり
若い頃は何でも食べたのに

大好きな
お魚や魚介類で
アナキラフィシーなど
経験しており

食事はいつも
アレルギー対応の
食品のみなのだ
もう10年もそんな感じで
暮らしてる

そうなのだ
おじいちゃまが
それをすっかり
覚えられないというか
忘れてしまった

痴呆の進行を止める薬は
飲んでいるが

夫婦の間では
なかなか暮らしに
厳しい影響がたくさんある

ボクは残ってた
お弁当は
ボクかおじいちゃまが
明日食べるから

おばあちゃまは
何か食べれるもの
そこのカフェかコンビニで
見て来ましょうと

提案した

メソメソしてる
おばあちゃま
お弁当が
食べれなかったからではない

ボクには
ちゃんとわかった

おじいちゃまの
痴呆状況が悲しいのだ

しかし
おじいちゃまは
お弁当を自分が食べたから
子供みたいに泣いてるんだと
錯覚してる

そして
「おばあちゃま
わしが悪いです
でも
へそ曲げないで
こちらのお弁当も
美味しいと思うから
食べてください」


あああああん
おばあちゃまは声をあげて
泣きだした

「ば。ばあちゃま!」
ボクはあまりにお驚いて
おばあちゃまに抱きついた

「ぱこちゃん
おじいちゃまが
おじいちゃまが
あああああん」

事態は深刻だ

「おばあちゃま
もう大丈夫です
おじいちゃまは
きっと
おばあちゃまの
お弁当が食べてみたかった
それだけです

忘れたのではなく
わざと食べて
とぼけているだけです

さあ
行きましょう
何か冷たい
飲み物も
ついでに見て来ましょう」

ボクは
おじいちゃまと
おばあちゃまの荷物も

手引き車に詰め込んで
おじいちゃまに握らせ
2人と手を繋ぎ
真ん中を歩いた

大移動

いつまでも
涙を流す
おばあちゃまをみて
おじいちゃまは
聞こえないような
小さな声で
つぶやいた

「・・わるかったよ」
「ごめんよ・・」

ボクはおばあちゃまに
通訳した

おばあちゃまは
歩みをとめ
おじいちゃまに抱き着いた

おじいちゃまも
おばあちゃまを抱きかかえ
頭をよしよししてた


こんばんは。
先日から1人のおじいちゃま体調悪くて
7時頃から一緒にいますが
寝ちゃいました・・。
そこで夜カフェならぬ
夜記事です

今日はボクのおじいちゃまと
おばあちゃまのお弁当事件を公開

おじいちゃまおばあちゃま
たくさんいるので
それぞれの物語をかけちゃうなぁ

そして
はじめてボクの記事に辿り着いた
方々へ

コメント返信はできないかもです
自分のスマホやパソコンを
持ってないからです

それから
フォローいただいても
フォロー返しも
無理かもしれません

保護者らが
フォローするかたを
決めていますので
相互とかが無理です

DM、コメントすべての
SNS交流は保護者らが
目を通しています


また
ボクのプロフィール代わりの
記事があります





















読了ありがとうございます 世界の片隅にいるキミに届くよう ボクの想いが次から次へと伝播していくこと願う 昨年のサポートは書籍と寄付に使用しています 心から感謝いたします たくさんのサポートありがとうございました