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ヤゴだらけの細江太陽光発電所【パシフィコ動植物図鑑】

宮崎県宮崎市の郊外に位置する細江太陽光発電所は96MWという九州で2番目に大きい太陽光発電所です。2018年から運転を開始しており、年間発電量は約1億kWhで一般家庭約2万4千戸分の消費電力量に相当します。

細江太陽光発電所の特徴はその広大な敷地です。敷地面積は約100haにも上ります。広大な敷地に降る雨を場内で貯めるために敷地面積約7ha、容量27万m3もの大きな防災調整池を設置しています。

この防災調整池とは急な雨が外部にいっきに流れ出すことを防止する目的で設置されるため、晴れた日は干上がってしまう性質があります。当社はこのエリアに多様な動植物が戻りやすくなるように、この防災調整池の真ん中をさらに1mほど浅く掘りこんで常時水が貯まるような浅い遊水地を作り、池の周辺の勾配を緩くすることによって動物が水を飲みやすくすると共に湿地帯を好む植物が生えやすいようにしています。

細江太陽光発電所の第一調整池設計図。水色の部分が遊水地
細江太陽光発電所の第一調整池。中央に浅い遊水池がある。

またサイトの上流部に位置する沢筋には水溜まりを人工的に設けてこちらも動植物用の水辺を作っています。

上流部に設けられた水溜まり
上流部に設けられた水溜まり


当社では除草剤や農薬の使用を行っておらず、人力で草刈りを行っています。そのためもあってか調整池の遊水池や上流部の水溜まりでは合計70種もの多種多様な水生生物が確認されました。その主役がトンボの幼虫であるヤゴです。

●発見されたトンボのヤゴ

2021年にパシフィコ・エナジーが独自に行った自然環境調査によれば遊水池や水溜まりで発見されたトンボのヤゴは23種に上りました。新たに設けた水辺と湿地帯にヤゴの餌となるアカムシ 、メダカ、おたまじゃくし、ミミズ 、ボウフラなどが豊富にあり、多くのトンボが集まってきて産卵したことがうかがえます。

遊水池や水溜まりで発見された23種のヤゴ

重要種のヤゴは6種が発見され、希少な種の生息地となっていることが確認されています。

コバネアオイトトンボ
グンバイトンボ
タカネトンボ
ヨツボシトンボ
ヒメアカネ

グンバイトンボなどの希少な種のほとんどが水質が良好な場所に生息し、水質の悪化に敏感で弱いとされています。当社では太陽光発電所内の草刈りに農薬や除草剤を使わないことによって良好な水質が維持できています。

今回の調査では発電所の運転開始から3年後のものでしたが、今後も時間が経つにつれてより多くの種が発見されていくのではないかと期待しています。そのために専門家からのアドバイスを受けて必要な対策を取り、良好な水質と水辺環境を守っていきたいと思います。

パシフィコ・エナジーは自社にて開発した発電所に関する記事をシリーズ化してお伝えしています。関連するこちらの記事も是非ご覧下さい。


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