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デジタルトランスフォーメーションと再生可能エネルギー事業の可能性

 DX部門の部門長の山中 宏治です。私は、京都のとある田舎町で育ち、幼少期は、毎日汗だく・どろんこになって遊んでいました。物心がついた10歳頃にはバブルは崩壊しており、その後やってくる日本の製造業の海外工場への移設と産業空洞化の波が父親の事業を大きく苦しめており、なんだか重苦しい10代を過ごしたのを思い出します。その重苦しい空気感と父親の苦しい姿をみて、大学進学まで理系であったものの、父の事業を継承せず、安定的な所得を得ることができる士業先生の道に進むことも考え、再度大学を受験し、文系の経済学部に入学をいたしました。

 大学に入るとまずは大学でしかできないことをやった方がよいなと考え、高校時代に野球部がなかったせいか、硬式野球の経験もない中、大学の体育会硬式野球部に所属、午前は授業、午後は部活動、夜は家庭教師等のアルバイトを行う日々を送るなんの変哲もない大学時代を過ごしておりました。結局、野球での成果もあまりでず、何かとびぬけたものがないまま就職活動を迎えました。時代は、小泉政権の構造改革の名のもとに、少し景気がよくなりそうな機運の中、金融・コンサル等を目指す友人が多い中、新しい事業にチャレンジしている総合商社での働き方に魅力を感じ、内定を頂戴し、社会人生活をスタートすることになりました。
※卒業間際・入社2週間前に骨折しましたが、入社を認めてくれた会社に感謝です。

大学卒業式・入社2週間前に左上腕骨を骨折


総合商社に入社
 
 総合商社の1年目は、アパレル業界におけるサプライチェーンマネジメント改革の中、大手SPAへサプライヤー業務を生業として、社会人生活をスタートさせました。入社当初は、1年間、ひたすら丁稚奉公という形で、伝票処理や予実管理等の地道な仕事で、同期が海外・国内出張にいく中、淡々と作業を繰り返す毎日でした。2年目には、営業担当として、お客様の事務所に常駐しながら、年間40億円の売上となるインナーウェア担当として、日々のデリバリーやクレーム対応に悪戦苦闘しておりました。徐々に競合等も力をつけ、コストカット、価値創造を求められ、その苦慮の先に、デザイナーも抱え、最終売れ行きが良いであろう商品をお客様に提示するという、デザイン~製造~納品まで行うODM(オリジナルデヴェロップメントマニュファクチャリングの略で、OEMの進化系)を実現しました。更に、表計算の計算式を活用し、お客様の商品の需要予測も行うなど、他社と差別化し、取引を維持・拡大に寄与していました。アパレル取引の経験や知識を梃子に、もともと入社時にやりたかったもう一つの業務である、不動産証券化ビジネスをしてみたいという思いが強くあり、7年目に社内公募制のチャンスを活用し、産業金融本部に異動、不動産の次はインフラを対象として、日本の空港への民間資金導入に寄与する業務に従事、英国での半年の研修では、欧州の空港民営化・LCCの増加という環境変化も体感させていただきました。また、2013年~2015年の2年間、国土交通省総合政策局官民連携政策課にてPPP・PFIの金融敵視点での企画・推進を担当、総合商社に所属しながらも、行政経験もできました。2018年より、金融Gの不動産事業本部の戦略企画室にて、G・本部の経営戦略業務に従事、全社・G視点での業務を実施することで、より、会社の内部と外部環境の変化に改めて注視することができました。

会社の準硬式野球部に所属
6か月の英国研修・長期出張の際、スコットランドにて

 そんな中、第4次AIブームもあり、世の中のパラダイムシフトが進行していく機運の中で、東南アジアのある都市への海外駐在を命ぜられました。海外駐在するか、退職して新しい事業に従事するかを悩みましたが、何事にも挑戦することが自分の生きがいであると信じ総合商社を退職、ロボティクスベンチャーや動作解析ベンチャー等で、AIを活用した新規事業の推進に従事しました。

 AI事業を推進する中、言語、画像、音声、等活用できるデータが整理・保存されていないことが多く、その整理が成功の鍵となることを学びました。これらの作業を、データの意味づけ、データクレンジングと言ったりします。現在のAIプログラムに、整理されてないデータを活用しても、想定される結果は産まれることがない。現在、言語・画像・音声含めた、生成AIが注目されていますが、前提となる条件設定をどこにおくかでAIの結果や効果は決まっていることは目から鱗でした。

 これまでのキャリアを鑑みると、新しい事業への挑戦が、自分のキャリアのステップや経験値の向上につながっていると認識しています。特に社会人でのキャリアでは、商流を変えるビジネスモデル、規制緩和によるビジネスモデル、技術革新によるイノベーションモデルを経験してきました。そこのキーポイントは、もちろん着眼点や挑戦でありますが、やはり、タイミングと連携性が重要になってくると思っております。人と事業と資金のつながりも踏まえ、今後の可能性を訴求する中で、再生可能エネルギー事業×イノベーション×規制緩和×商流変化というタイミングがきている中、パシフィコ・エナジーへ参画することを意思決定しました。

画像処理を活用したモーションキャプチャシステムの挙動計測デモ

パシフィコ・エナジーに入社

 パシフィコ・エナジーでは、現在、「規模の追求が可能」、「コスト競争力がある」、「ファイナンス可能」なビジネスの訴求を進めており、①太陽光、②洋上風力、③蓄電池、④電力トレーディングの 4 つの事業領域の内、特に④電力トレーディング事業の推進を進めています。
 
 電力は貯蔵できないため、常に電力システムにおいては、需要(消費電力量)と供給(発電量)を一致させる必要があります。電力トレーディングは、電力を売買する市場における取引活動を指し、電力供給事業者(発電所や小売業者)や需要家(企業や個人)は、電力トレーディング市場で電力の販売や購入を行います。
 
 電力トレーディングの社会的意義としては、エネルギー供給の安定性、競争と効率性の促進、再生可能エネルギーの普及、リソースの最適化、等が上げられ、これらの要素により、電力トレーディングはエネルギーシステムの効率性と持続可能性を高め、経済的な利益だけでなく環境への影響も考慮したエネルギーの供給を実現する上で重要な役割を果たすと考えております。 

 パシフィコ・エナジーは長期的な経済状況、天候や気温の見通しを鑑みながら需要を予測し、天気から日射量や風速を鑑みて時間帯ごとの供給力を予測し、供給が余っている時間帯に蓄電池で電力を充電し、需要が高い時間帯に電力を放電して提供することが蓄電池を活用した電力トレーディングの目的となります(卸売市場)。更に、蓄電池の特性を生かした調整力(調整力市場)や予備力(容量市場)の提供も電力システムにおいて大きな役割を果たすと期待されています。また、将来においては太陽光発電所においても、電力トレーディング機能を通じた電力市場への供給力の提供を見据えています。
 
 現在、独自の市場予測AIシステム・ツールを開発しており、上述のノウハウに加え、AIを駆使した、データ×エネルギーの事業モデルを構築・確立することを目的とし、ハードウェア(太陽光発電・蓄電池設備等)とソフトウェア(EMSや通信機器、社内デジタル・AIツール)の双方を活用し、再生可能エネルギー導入が進んだ日本の電力システムの安定化に貢献していきたいと考えています。
 
  DX部門では、これらの方向性をとらえ、攻めの部分として、電力トレーディング部と協調して、電力トレーディングシステムの早期構築をすすめるとともに、守りの部分として、ソーラーアセットマネジメント部門にて進めるBI(Business intelligence)ツールのメンテナンス・サポート、ならびにOperation Management packageのlaunchのサポートを進め、効率化・価値最大化を推進しています。
  
 余談ではありますが、昨今、DX等いろんな言葉があふれています。DXを進める中で大事なのは、現状の積み上げでなく、将来10年~30年後になっている、あり姿からみて現状がおかしいという視点が大事であると認識しています。

以下の思考プロセスと日々の業務とも比較し、あるべき姿の業務を遂行し、会社内外に貢献できるように尽力してまいりたいと考えております。
 ご参考:

出所:三菱商事(株)OBの植野大輔さん著「トランスフォーメーション思考」

 更に、余談ですが、運をつかむことができる人は、以下の5つを大事に行動・実行されているようで、自身も参考にしております。

1つ目は「行動する力」。失敗を恐れずに行動すること。たとえ失敗しても、やり直したり、取り返せたりする力。

2つ目は「視野を広げる力」。何事もいろんな見方や考え方を知り、物事を俯瞰で見る力を養い、いろんな知見を得て、信じる道を突き進む力。

3つ目は「なんでも面白がる力」。現状がつらくて苦しかったとしても、それだけで終わらせない。「見方や捉え方を変えたら、面白くなるかも!」と考えられる力。

4つ目は「楽しむ力」。これは「面白がる力」に似ていますが、どんな状況でも楽しめる力です。ただ、自分だけではなく、自分と周りのみんなが楽しめるように考えられる力。

最後の5つ目は、「感謝する力」。この力がないと前に進みづらくなり、苦しくなります。生きていること、仕事があること。そんな当たり前のことに、どれだけ感謝できるのか。周囲への感謝の気持ちを持つ力。

 メジャーリーガーの大谷選手は、これよりも洗練した9つ×9つのマトリクスの整理に従い実践されていると伺っています。10代の時からこれらの考え方を理解・行動されていたのかと考えると頭があがりませんが、個人としては、上述を参考にしつつ、心身を鍛える目的で、山登りを趣味にしております。

趣味の登山@屋久島_宮之浦岳

 最後に、入社当初は、アセットマネージャーも兼務しており、担当する地元の小学校の皆様に再生可能エネルギーの役割と可能性を説明させていただき、地元の新聞社にも報道いただきました。また、入社してからも、野球に助けられることは多く、大学時代よりも、社会人になってから、野球を通じた、社会との結節点を再認識しているところです。ですので、短期的にはその時に成功していなかったかもしれませんが、結果的に現在に生きいるところ、なんでも前向きに行動し、視野を広げ、面白がり、楽しみ、感謝し、目標に向かって邁進していくことが重要であると思っております。人生万事塞翁が馬ということわざも大好きです。大谷選手とまではいかないまでも負けずに上述を実践し、パシフィコ・エナジーでの事業の創造と社会への貢献を実現していきたいと考えております。

地元小学校卒業生とのご説明

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