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「電気料金」2024年度は再エネ賦課金が2.5倍に急上昇

先日経済産業省から2024年度の再エネ賦課金の単価が発表されました。
キロワット時あたり3.49円とのことで、昨年2023年度の1.40円に比較すると2.5倍の大幅増額となっています。

https://www.meti.go.jp/press/2023/03/20240319003/20240319003.html

ではなぜ再エネ賦課金がこれだけ高くなったのでしょうか。

経済産業省の説明によれば再エネ賦課金は、「①FIT再エネ電源の買取費用(円)」から「②回避可能費用(円)」を引いたものを「③FIT再エネ電源の販売電力量(kWh)」で割ったものとあります。

回避可能費用は火力発電の化石燃料コストを指すので再エネ賦課金は簡単に言うと

再エネ電源の買取価格から火力発電の化石燃料コストを差し引いたもの

となります。

したがって、再エネ電源の買取費用が高くなる、もしくは、火力発電の化石燃料コストが安くなる、のどちらかが起きた時に、再エネ賦課金が上がることになります。

それでは再エネ賦課金のここ数年の推移を見てみましょう。下のグラフをご覧下さい。

買取費用は変わらず。火力発電の燃料コストが大幅に低下。

経済産業省発表資料より作成


2023年の再エネ電源の買取費用4兆7,477億円と比較して2024年は1%増の4兆8,172億円とさほど変わりありません
。これは再エネ電源の導入が近年急速に鈍化していることと、出力抑制が増加していることが要因です。一方で、火力発電の化石燃料コスト想定を示す回避可能費用は2023年の3兆6,353億円から2024年の2兆1,322億円と4割下がりました。したがって、再エネ電源の買取費用はさほど変わらず、回避可能費用が大幅に減ったことによって、再エネ賦課金が2.5倍に上がったということがうかがえます。

また、2年前の2022年の再エネ賦課金3.45円は、2024年の3.49円と0.04円しか変わりません。2年前の水準に戻ったとも言えますね。

電気代全体としてどうなのか。

家庭用の電気料金の請求案内をご覧頂くと、再エネ賦課金の他に、燃料費調整額という項目が加算されています(下の画像参照)。

電気料金の案内にある燃料費調整費と再エネ発電賦課金

燃料費調整費は、電力各社の火力発電の電源構成に応じて、毎月定められる燃料調整単価によって算出されます。この燃料調整単価の月別の推移を見てみましょう。下のグラフをご覧下さい。

電力各社の燃料調整単価(低圧)

各社とも2022年2月のウクライナ戦争以降の燃料高によって燃料調整単価が上昇しており、2023年2月にピークアウトし、2023年秋季以降は落ち着いています。
例えば東京電力では2024年の燃料調整単価は2023年平均に比べて3円引き下げられています再エネ賦課金は2.1円上がりますが、燃料調整単価は3円下がっているので全体としては上がっていません。
先ほども振れましたが再エネ賦課金は火力発電の化石燃料コストと逆相関の関係なのでこのような効果が起きています。

再エネ賦課金を下げることはできないのか。

再エネ賦課金を下げるには、回避可能費用よりも安い再エネを作るか、FITやFIPなどの国の制度に頼らない再エネを増やすかのどちらかです。

例えば、最近の太陽光買取価格は10円/kWhを下回る上限価格が設定されており、回避可能費用よりも安い再エネ電源となる可能性が高いです。

https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/fit_kakaku.html

パシフィコ・エナジーは再エネ賦課金を上げない価格水準での再エネ電源の建設・稼働にチャレンジしています。我が国のエネルギー安全保障の向上並びに各家庭に安全・安心・安価なクリーンエネルギーを届けるために引き続き努力を続けて参りたいと思います。



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