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1ヘッドフォロー

Pacific Dainagonです。

今回は珍しく牌理についての記事を書いてみようかと思い、「1ヘッドフォロー」と題しまして、自分が以前から気になっていた「トイツが1つしかない時のメンツ手でトイツにフォロー牌が付いている手牌」について書いていきます。

トイツのフォロー牌(ヘッドフォロー牌)とは、サムネイルの牌姿の4sのような牌です。
トイツが1つしかない手牌では、トイツ部分がメンツになったとしても雀頭がなくなってしまうため、基本的にシャンテン数は進まず、ヘッドフォローは直接の受け入れには機能しません。
そんな「1ヘッド」の手牌で、ヘッドフォローがあった方が良い場合はどんな時なのか、どんな場合はなくても良いのかについて考えていきます。

注※
本記事では1シャンテンの手牌しか扱いません。さらに注意として、良形が確定している1シャンテンの時にヘッドフォローを切ってしまっても大した問題はありません
本記事では配牌~4巡目ぐらいの序盤、他家への守備を考える重要度が低い場面を想定しています。ですので、本記事で「ヘッドフォローを残すべき」としている場合は、基本的に「序盤なら安牌よりも優先して残すべき」ぐらいにお考えください。

それでは、「1ヘッドフォロー」がある手牌について、パターンに分けてまとめていきます。
こういった記事を書くのは初めてなので分かりにくい部分があるかもしれませんが、どうぞ最後までお付き合いください。



①暗刻がある手牌

まずは暗刻がある手牌において、1つしかないヘッドにフォロー牌がある場合です。

図1(西は完全安牌とする)

図1は69sと36pの1シャンテンで、唯一のヘッド候補である3sにフォロー牌の4sがくっついてリャンメン+トイツの形になっています。

25s引きでこの部分がメンツになりますが、その場合1シャンテンなのは変わらぬままで、シャンテン数は進んでいません
それでは、このヘッドフォロー牌4sは必要なのでしょうか。

結論から言ってしまえば、この4sは持っておいた方が良い牌です。
少しまどろっこしい言い方をしたのは、図1は現状の手牌でもリャンメンリャンメンの1シャンテンであり、4sを切ったとしても十分な手牌です。
そのため、絶対に必要な牌とまでは言えません。

ではなぜ必要ではないのに持っておいた方が良いのか、それはヘッド部分がメンツになった時に受け入れが格段に増えるからです。

牌理の基礎知識として、大体の手牌でヘッドレスに受ける選択は受け入れが一番広くなるというものがあります。ターツがメンツになる受け入れに加え、ターツ部分が重なってトイツになっても手が進むためです。
図1の場合において、受け入れがどれぐらい増えるのか見てみましょう。

図1の手牌
図1に5sを引いた手牌

図1の手牌では4種16枚の受け入れがありますが、そこにヘッド部分がメンツになる5sを引いた場合、打3sとして8種28枚と倍近くに増えているのが分かります。しかもこの場合、全ての受け入れでリャンメンテンパイが確定する、所謂暗刻ヘッドレスという形です。69s36pを引くと暗刻の8mをヘッドにしてピンフも付くようになりますね。
この強力な変化を捉えるため、4sは基本的に残した方が良い牌となります。

上記の理由から、暗刻がある1ヘッドの手ではヘッドフォロー牌は残した方が良いです。
図1からは基本的に西を切りましょう。



②暗刻が役牌の場合

①で暗刻がある1ヘッドの手の時はヘッドフォローを残した方が良いことが分かりましたが、暗刻が役牌の場合はどうでしょう。

図2

図2は、図1の手牌から8mの暗刻が發の暗刻に替わった手牌です。
この手牌の場合でもヘッドフォローの4sを残すことで、25s引きで暗刻ヘッドレスの良い形にすることができます。

しかし、①でも触れたように、暗刻ヘッドレスの形は良形テンパイのために暗刻を1枚外してヘッドにする受け入れがありました。

図2‐1

図2‐1は、図2から5sを引いて暗刻ヘッドレスの形になり、更に9sを引いた手牌です。發を切ることで36pのリャンメンテンパイとなります。

ですが、せっかく發で役が付いているのに、發を切っては打点が下がってしまいます。しかも図1と違い、ヘッドが役牌になってしまっているのでピンフも付きません。45pのどちらかを切れば發を活かすことができますが、せっかく良形テンパイが見込める手であったのに単騎テンパイになってしまいます。
さらに注目したいのは、図2‐1では、發も活かしてリャンメンテンパイする受け入れは78s45pの4種12枚です。それに対し、図2から4sを切ると發を活かしたリャンメンテンパイが確定し、受け入れは69s36pの4種16枚と図2より多くなっています。つまり、發を活かす前提ならば暗刻ヘッドレスにしない方が良いのです。

ここで考えなければならないのは、図2から図2‐1の変化が果たして嬉しいのかどうか?ということです。
図2‐1からは基本的に發を切ってリャンメンリーチを打つのが正解になるかと思いますが、できることなら役になっている發は切りたくありません。そうなると、「發を切りたくないのだからヘッドフォローも必要ない」と言えます。

ここから逆説的に言えるのは、發を切っても十分な手であればヘッドフォローを残す、つまり「暗刻の役牌を切っても打点が確保されている手であればヘッドフォローを残した方が良い」ということではないでしょうか。
例えば、

図2‐2

図2‐2の牌姿は図2‐1と変わりませんが、5sが赤5sに、1mがドラになっています。この手ならば、發の役がなくてもリーチ・赤・ドラのリャンメンリーチが打てるので、速度上昇のメリットが大きいです。
このように、暗刻の役牌を切っても十分な打点があれば、受け入れを重視してヘッドフォローも残した方が良いと言えるでしょう。

それでは、十分な打点とは実際どの程度の打点なのでしょうか。
ここからは私感になりますが、ドラの枚数ごとにヘッドフォローの重要度を分けてみたいと思います。

ドラ0の場合は役牌による打点上昇の幅が大きいので、基本は役牌が出て行かないようにヘッドフォローは残さなくて良いと思います。

ドラ2以上の場合は役牌を切ったとしても打点が担保されているので、速度最優先でヘッドフォローも残した方が良いでしょう。

ドラ1が一番悩ましいですが、この場合は役牌を切ったとしても裏ドラ次第で満貫が見込めるものの、やはり出和了で5200が確定するのも非常に大きいです。また、役牌が暗刻の場合は仕掛けも利くので、打点を下げて門前の速度を取る優位性が少しだけ下がるのではないかと思います。ですので、ここではどちらでも良いとさせていただきます。待ちの強さや点棒状況などの影響を受ける度合いも大きいため、状況に応じて使い分けていただければと思います。

まとめると、

(ドラ0)重要度:低-残す必要はない、基本安牌と入れ替えて良し
(ドラ1)重要度:中-どちらでも良い
(ドラ2以上)重要度:高-基本残す方が良い

このような使い分けが良いのではないでしょうか。①では残した方が良かったヘッドフォローの価値が変動しているのが分かります。これは、①では1ヘッドの形が暗刻ヘッドレスになることで速度上昇の恩恵だけを受けられたのに対し、②では同時に打点低下の損失も受けているためです。

上記のことから、役牌が暗刻の手でヘッドフォローを残すかどうかは手牌の打点次第と言えます。図2からはドラ0なら打4s、ドラ1なら状況次第、ドラ2以上なら基本的に打西が良いでしょう。



③順子手(ピンフ形)の場合

①②では暗刻ヘッドレスへの変化による速度上昇がありましたが、暗刻がないピンフ形の手の場合はどうでしょう。

図3

図3はピンフの1シャンテンの手牌です。4sを残すことで25s引きでヘッドレス1シャンテンになり、ヘッドレスの形は受け入れが広くなることを確認しました。

図3に5sを引いた手牌

ヘッドレスになった場合の受け入れ枚数も①で見た場合と同じ、8種28枚です。図3の時点では69s36pの4種16枚なので、やはり受け入れは広くなっていますね。それではやはりこの4sも残すべき牌でしょうか。

実はこのピンフ形の手の場合は、4sの重要度は非常に低いです。私はこのヘッドフォローが大嫌いで、本記事はこの形について書くために書いているようなところがあります。

とは言っても、大して言うことはありません。なぜピンフ形1ヘッドの手でヘッドフォローが重要でないかと言えば、ヘッドレスになった時に単騎テンパイになってしまう可能性が高いためです。

上のヘッドレスの手牌では、受け入れ自体は28枚あるものの、その内リャンメンテンパイになる受け入れは78s45pの4種12枚だけです。28分の16で単騎テンパイになるので、単騎になる可能性の方が高いことが分かります。
図3で打4sとすると、受け入れの4種16枚全てでピンフのリャンメンテンパイが確定するので、ヘッドレスにした場合よりもリャンメンでテンパイする受け入れは多いです。

ヘッドレス形で9sを引いた手牌、しょうもない

役なしの単騎リーチなんて打ちたくはありませんね。そのため、図3からは基本的に打4sで大丈夫です。ピンフ形の手では、ヘッドフォローの重要度は非常に低いと言えます。

重要度が低いとはいえ、一応終盤は形式テンパイを取るために受けの広いヘッドレスにする場合があったりします。
アガるためにはあまり必要ないヘッドフォローですが、テンパイを狙うには効率が良いことは覚えておきましょう。



④連続形・複合形ターツがある場合

ここまで3つのパターンについてヘッドフォローを残すべきかどうか考えてきましたが、手牌に連続形や複合形のターツがあると話が変わってきます。

最初に、①と同じように数牌の暗刻がある手牌について見てみましょう。

図4

図4は、リャンメンリャンメンの1シャンテンです。現状4種15枚の受けですが、ここに25sを引いてヘッドレスになるとどうなるでしょうか。

図4に5sを引いた手牌

ここまではヘッドレスでも28枚受けでしたが、ヘッドも作りやすい連続形があることで33枚に受けが増えています。図4の時点では15枚だけだったので、受け入れが倍以上になっていることが分かります。
一般的な完全1シャンテンでも20枚受けなことを考えると、これだけの枚数ならさすがにテンパイできそうな気がしてきますね。もちろん暗刻ヘッドレスなので、どんなテンパイでも良形が確定します。

図4の連続形が複合形に替わった手牌

ピンズが上図のような複合形の場合でも同様に、受け入れは10種33枚となります。45566のような一盃口形の場合は少し減りますが、それでも9種29枚と通常のヘッドレスよりも多くなっています。
このように、暗刻ヘッドレスと連続形・複合形は相性が良いため、ヘッドフォローは通常よりも更に残し有利となります。



次に、②と同じ役牌が暗刻の場合を考えます。通常のメンツ手ではヘッドフォローが必要なかったドラ0の時にどれぐらい変わるかを見ていきます。

図5

図5は、發が暗刻の1シャンテンです。やはり發以外に役がないのでなるべく發は切りたくないですが、ここからヘッドレスになるとどうでしょう。

図5に5sを引いた手牌

先ほどは役牌を活かそうとすると単騎テンパイになってしまう可能性が高かったですが、今度は14mを引いても58pか69pのノベタンに取れるので、単騎待ちになってしまう受け入れは33枚の内47pの7枚だけです。この単騎になる受け入れを除いても26枚の受けがあるので、これぐらいなら受け入れ枚数が増えるメリットの方が大きそうな気がしてきます。
単騎でテンパイしてしまったとしても、發を切ればリャンメンリーチが打てますし、役があるので取りダマにもできますね。

図5の連続形が複合形に替わった手牌

今度はピンズが複合形になった場合です。
連続形の場合と同様、發を活かすと単騎待ちになる受け入れは33枚中58pの7枚だけで、8割近くは役牌を残して良形でテンパイできます。

このように、ドラ0であっても連続形や複合形があると通常よりもヘッドフォローを残す選択が優位になります。連続形・複合形があることによるヘッドの作りやすさが役牌暗刻を切るパターンを減らしてくれることで、ヘッドフォローの価値が上がっていますね。



それでは、ヘッドフォローにほとんど価値がなかった③のピンフ形の場合はどうなるでしょうか。

図6

不安で仕方がありませんが、しっかり受け入れも確認していきましょう。

図6に5sを引いた手牌

ヘッドレスに受けた場合、ドラ0の役牌暗刻の場合と同じく14m引きはピンズのノベタンにできるので、単騎待ちになる受け入れは33枚中47pの7枚だけです。

ですが役牌暗刻の場合と違って、ピンフ形の場合はノベタンテンパイになるとピンフの役が消えてしまうので、打点的な価値が下がります。そこで、ピンフになる受け入れ枚数を数えてみましょう。
上図では、23m5689pの6種18枚でピンフになり、図6時点と比べて3枚増えています。14mの2種8枚でもノベタンテンパイになるので、そこまで悪くはありません。
よって、ピンフ形の手であっても連続形がある場合は通常よりヘッドフォロー残し優位となります。

とはいえ、暗刻がある場合と比べるとそこまで大きな差が生まれるわけではないので、「残さなくて良い」から「残しても良い」になるぐらいだと思っていただければ良いかと思います。

図6の連続形が複合形に替わった手牌

ピンフ形の手に複合形のターツがある場合はどうでしょうか。
この場合も、単騎待ちになる受け入れは33枚中58pの7枚だけです。

ピンズが連続形だった時は、ノベタンテンパイでピンフが付かないのがマイナスポイントでした。しかし、実はこの複合形の場合では、14m引きで36pのピンフテンパイに取ることができます。複合形になっているピンズの部分を亜リャンメンと見ることで、ピンフになる受け入れが増えているわけですね。もちろんピンフは付かないものの、状況次第で47pのノベタンテンパイに取ることもできます。

それでは実際にピンフになる受け入れの枚数を数えてみると、1234m3467pの26枚、つまり単騎待ちになってしまう58p以外の全ての受けでピンフが付くということです。
そうなると、連続形の場合に取り上げた「ピンフが付かないこと」によるデメリットは解消され、むしろヘッド固定した場合の受け入れ4種15枚よりもピンフになる受け入れが格段に増えているので、複合形含みのピンフ形の場合はヘッドレス優位、つまりヘッドフォロー残し優位となります。
同じピンフ形なのに差が出るのは、見落としがちな人もいるのではないでしょうか。


ここまでで、連続形・複合形ターツがある時は通常よりもヘッドフォローの価値が高くなることが分かりました。基本的に、連続形・複合形ターツがある時はヘッドフォローを残しましょう

ただし、ピンフ形の場合のみ連続形と複合形で差が生じました。そのポイントだけもう一度おさらいしておきましょう。

(連続形含みピンフ形)通常よりヘッドフォロー残し優位、ただしどちらでも良いレベル
(複合形含みピンフ形)ヘッドフォロー残し優位

以上のようになります。パターンに応じて使い分けられるようにしていきましょう。



⑤手牌に愚形が残っている場合

ここまではターツが全て良形の場合を見てきましたが、愚形ターツが残っている時はヘッドフォロー残しがかなり優位になります。
詳しく見ていきましょう。

図7

図7は1シャンテンですが、ペン3mの愚形ターツが残ってしまっていますね。なるべく良形待ちでリーチを打ちたいので、どうにかしてこのペン3mを解消したいです。
このような時に、リャンメン+トイツ形のヘッドフォローは非常に有効になります。

どのように有効になるのかと言うと、まず愚形ターツ部分の縦重なりでヘッドを振り替え、ヘッドフォローを残してあった部分のリャンメンを活かせるようになります。図7においては、12m引きがそれに該当します。

図7‐1

図7‐1は、図7から2mを引いた場面です。ここから打1mとすると完全1シャンテンになるのが分かるでしょうか。
図7の場面では受け入れは3種12枚だけでしたが、図7‐1のような完全1シャンテンになると6種20枚に増えます。ヘッドフォローを残すことによる大きなメリットです。

図7に5sを引いた手牌

そしてこちらは、図7に2mではなく5sを引いた手牌です。やはり3sを切るとヘッドレスなので、一番広くなりますね。図7時点の3種12枚から受け入れが倍になっています
さらに注目したいのは、ヘッドレスに受けずに亜リャンメンを残して打1mや打2mとした場合でも、図7時点より受け入れが増えている点です。単純にペンチャンが亜リャンメンに替わり少し強くなるのと、ペンチャンを1枚落として手牌に残ったもう1枚の縦重なりでもテンパイするため、そこそこの受け入れ枚数になります。
また、良形になる受け入れを比較すると、打3sの場合は123mの3種10枚、対して打1mの場合は、実は5種17枚全てで良形テンパイになります。良形テンパイ率では圧倒的に後者なので、敢えてヘッドレスに受けない選択肢も出てきます。

打3sと打1(2)mのどちらが良いかというのは、愚形リーチを許容できる打点があるか、もしくは巡目や点数状況などの要素によって変わってくるので、形だけではなかなか断定できません。愚形残りの場合は、ヘッドレスと亜リャンメンを使い分けていきましょう

また、上図では5sを引いたために亜リャンメンができましたが、2sを引いた場合は亜リャンメンにならないので、ヘッドレスに受けざるを得ませんね。

図7に2sを引いた手牌

やはりこの場合、ソーズが亜リャンメンでない分打1(2)mとすると受け入れが少なくなってしまいますね。打3sとしてヘッドレスに受けても123mの3種10枚でしか良形テンパイせず、24枚ある受け入れの半分以上で愚形テンパイになってしまいます。
ですが、今度はソーズの形が中膨れになっているので、ペンチャンを払うことでここから更にソーズの良形変化を期待することもできます。
上図から打1mとして、3sが横に伸びた形を見てみましょう。

図7から、ツモ2s、打1m、ツモ5sと進んだ手牌

打1mとして5sを引いた手牌です。この形は、④で見た複合形含みの暗刻ヘッドレスと同じですね。つまり、とても強い形です。
受け入れが3種12枚しかなかった図7から2手でここまで変わるのですから、こういった変化も見逃さないようにしたいところです。

ですが、これも瞬間の受け入れ枚数を犠牲にしているので良し悪しがあります。巡目に余裕のある序盤や、愚形リーチを打ちたくない点数状況の時などは、こういった変化も視野に入れましょう。

ここまでをまとめると、愚形ターツが残っている時はヘッドフォローを残すことで嬉しい変化が多いため、ヘッドフォローは残すべきと言えます。今見たのは数牌暗刻の場合でしたが、これについては役牌が暗刻の場合でもほぼ同じように言ってしまって良いのではないかと思います。

次にピンフ形の手の場合を見てみましょう。

図8

図8はピンフの1シャンテンですが、愚形のペン3mが残ると役なしになってしまいます。
この場合も愚形ターツ部分、12mが重なると完全1シャンテンになるので、それだけでもヘッドフォローの価値はあると言えそうです。

図8に5sを引いた手牌

更に上図は、図8から5sを引いた手牌です。3sを切るとヘッドレスですが、ピンフ形のヘッドレスは弱いという話でした。受け入れは広くなるものの愚形になってしまう可能性が高く、やはり積極的に打3sとはあまりしたくありません。
ここで考えたいのは、ヘッドレスにせず打1(2)mとする場合です。ヘッドレスより受け入れは狭いものの良形テンパイが確定するため、暗刻がある場合では一長一短といった感じでしたが、ピンフ形の場合ではどうでしょう。

ピンフ形の場合、ここで愚形部分(12m)を払うことで、ピンフが確定するようになります。愚形払いで打点が伴うようになるので、暗刻があった場合よりも亜リャンメンを残すメリットが大きくなっています。
ですので、ピンフ形の場合は亜リャンメン残しが優位になるため、上図からは基本的に打1(2)mとするのが良いのではないかと思います。図8と比べて受け入れが増えてピンフも確定するので、良いことづくめですね。

ですが、亜リャンメンができた場合はこのように嬉しいものの、上図で5sではなく2sを引いた場合はかなり悩ましいです。

図8に2sを引いた手牌

暗刻がある時はヘッドレスに受けると3m引きでも良形テンパイになりましたが、ピンフ形だと良形になる受け入れ枚数は12mの2種6枚のみと非常に少なく、受け入れのほとんどで愚形テンパイになってしまうため、ヘッドレスに受けるメリットが小さいです。

やはりここでも、打1(2)mとする選択肢が挙げられます。ピンフになる受け入れは瞬間2種5枚へと減ってしまいますが、その後の変化が期待できます。

図8から、ツモ2s、打1m、ツモ5sと進んだ手牌

打1mとして5sを引いた手牌です。ソーズで複合形ができたことで、こうなるとヘッドレスが活躍します。
受け入れが格段に増え、単騎テンパイになる14s引き以外の全ての受け入れでピンフが確定するようになります。ここまで変化すればヘッドフォローを残した甲斐もありますね。
5s引きは恐らく一番嬉しい変化ですが、例えば1s引きでもヘッドが作りやすくなり、24s引きでも今度は一盃口なんかも見えて来ます。

ここで更に、裏目の67p引きについても見てみましょう。マンズを切らず打3sとしておけば67p引きはテンパイでしたが、ここではどうなるでしょうか。

図8から、ツモ2s、打1m、ツモ7pと進んだ手牌

テンパイではないものの、ヘッド候補ができたことでくっつき1シャンテンの形になっているのが分かるでしょうか。
1mがフリテンなので2mを切ると、3sと6pのくっつきでテンパイします。くっつき1シャンテンは広い反面愚形になりやすいデメリットがありますが、ソーズの中膨れを残したおかげでかなり良形になりやすくなっています。468pの3種11枚を除いた7種22枚で良形テンパイし、さらに7pを引くと三面張にもなったりします。
依然としてそれなりに愚形テンパイにはなってしまいますが、それでも図8の時点と比べると格段に良くなったと言えるのではないでしょうか。

以上のように、愚形が残っている時はヘッドフォローを残すことで受け入れの増加や形が良くなる変化が多いため、愚形が残っている時はヘッドフォロー残し優位となります。
良形確定1シャンテンの時と比べても変化によるメリットが大きいので、愚形残りの場合は序盤でなくともヘッドフォローを残すのが良いと思います。

くっつき1シャンテンの手牌で別の1ヘッドフォローの形が出てきているじゃないかと思われた方は、一旦スルーしていただけると助かります。
くっつき1シャンテンの場合は後ほど別の項目で取り上げます。



⑥ターツにドラが絡む場合

「ターツが全て良形でピンフ形の1シャンテンだからヘッドフォローを切ってしまおう」と思っても、ヘッドフォローを残すことでドラを受けられたり、もしくはヘッドフォローがドラそのものである場合には、どうすれば良いのでしょうか。

図9

図9はピンフの1シャンテンですが、ドラが5sであり、ヘッドフォローの4sを切るとドラが使えないためほぼピンフのみのテンパイになることが確定してしまいます。

このような場合には、基本的にヘッドフォローは残した方が良いでしょう。
単純にドラを引いた時に使えるだけでなく、他のターツが重なった時に無理なくドラ受けを残した完全1シャンテンにできます

図9‐1

図9‐1は、図9から5pを引いた手牌です。ここから打4pとすることで完全1シャンテンにできるだけでなく、自然な手順でドラ受けを残せていますね。このように無理なくドラを使える可能性があるので、瞬間の受け入れには機能していなくても変化を見逃さないように注意しましょう。

次に、ドラそのものを引いた場合を見てみます。

図9‐2

図9‐2では直接ドラを引きました。やはり3sを切ってヘッドレスにするのが一番広いですが、ピンフ形ではヘッドレスは強くありません。
ここは打7(8)sとして、ピンフドラ1を確定させるのが良いのではないかと思います。打7(8)sでも受け入れは5種17枚あり、図9の時点での受け入れ4種16枚よりも1枚多くなっています。この手の場合はソーズを残すと6sの受けが被ってしまうので、45pよりも78sを払っていきましょう。

また、ここでドラではない2sの方を引いてしまった場合は、形を維持してツモ切るのが良いと思います。現状でも十分な形なので、ドラが使えるようになっていないのであればそのままピンフを確定させてしまって良いでしょう。


次に、ヘッドフォローがドラそのものの場合を見ていきます。

図10

図10では、ヘッドフォローの4sがドラになっています。やはりこの場合も、ヘッドフォローは残した方が良いと言えるでしょう。

まずは、純粋にドラが重なった時、ヘッドを4sに振り返ることでドラを2枚使うことができますね。一番嬉しい変化ですが、これはドラがヘッドフォローの場合に限りません。

さらにヘッド部分以外のターツ、78s45pが重なった時、ドラを使える完全1シャンテンになります。こちらは先ほど見たパターンと同様ですね。
5sを引いて亜リャンメンになる場合も先ほどとほぼ同様ですが、次にドラを引いた時にリャンメンで受けられるなどのメリットがあります。

図10‐1

図10‐1は、図10からツモ5s、打7s、ツモ4sと進んだ場面です。ピンフ形のヘッドレスですが、複合形含みの良い形ですね。
ここから打8sとして、23456s3456pの9種28枚受けになります。
ドラをもう1枚引いても使えて、45p重なりはドラドラの高目一盃口テンパイになります。25s引きは単騎テンパイになってしまいますが、それでも5s引きは一盃口ドラドラで5200ダマの仮テンパイにできるので、悪くありません。

他にデメリットとしては、亜リャンメンの36s待ちが残った時に弱く、しかもこの場合は3sがドラ表字牌なので36s待ちは最大5枚しかありません。このように最終形が弱くなってしまう可能性があることは覚えておきましょう。
基本的にはドラを使えることによる打点上昇のメリットの方が大きいと思いますが、例えばアガりトップのオーラスなど、打点が必要ない時はドラよりもアガりやすさの方が大事になります。状況に応じて使い分けていきましょう。

また、図10から2sを引いた場合は、ドラを使えるものの亜リャンメンになりません。
この場合はヘッドレスに受けてしまうのが良いのではないかと思います。

図10‐2

図10‐2から打3sとすると、あまり良くなかったピンフ形のヘッドレスになってしまいますね。しかし、ドラを活かすには他に切る牌がないという状態です。この場合78s45pの4種12枚で良形テンパイになりますが、一方4種16枚で単騎テンパイになってしまいます。
愚形残りの場合には愚形部分を払って変化を見ましたが、全て良形の場合は現状のままヘッドレスにしてもそれなりにメリットがあるので、形を崩さない方が良いと思います。ドラを使えている分単騎テンパイでも多少リーチを打ちやすくなっていますし、仮テンから嬉しい変化もそれなりにあります。

更にピンフ形ヘッドレスでは、この後メンツ部分が重なったらヘッド固定するという技もあります。

図10‐3

図10‐3では、図10‐2でピンフ形ヘッドレスの形にした後、1mを引いてきました。
ここでは2(3)mを切って、1mをヘッド固定してしまうのが良いと思います。
こうすると純粋なリャンメンリャンメンの1シャンテンなので、受け入れは4種16枚、全てで良形とピンフが確定します。受け入れは減ってしまいますが、良くない形だったピンフ形ヘッドレスから元のリャンメンリャンメンに返って来れました。

このように、ピンフ形ヘッドレスはメンツ部分をヘッド固定することで、リャンメンリャンメンの1シャンテンにすることができます
図10‐3で言えば、123789m4sどれを引いても嬉しい変化となるわけです。
ドラを使えた先でこうした変化も豊富にあるので、図10‐2からはヘッドレスに受けてしまうのが良いのではないかと思います。つまり、ヘッドフォロー残しが優位となります。

また、ここではピンフ形のみ見ているため少し複雑になっていますが、暗刻がある時はとりあえずヘッドレスに受ければ良いのでもっと単純になります。


更に、ヘッドの部分以外のターツにドラが含まれている場合でも、ヘッドフォローは残した方が良くなります。

図11

図11では、ピンフ形1シャンテンで5pがドラになっています。ドラも使えていて一見4sは必要なさそうに見えますが、どのように使うのでしょうか。

この場合のヘッドフォローは、ドラを縦に引いた時に活きてきます。
下の図11‐1と図11‐2は、それぞれ図11から打4s、打西とした後にドラの5pを引いてきた手牌です。

図11‐1

図11‐1では、ドラの5pを使い切りたいため打西として完全1シャンテンに取ります。しかし、ドラを使い切るには69s引きでシャンポン待ちにしなければならず、しかも36pを引くと絶対にドラを切らなければならなくなります。ドラを使い切ってリャンメンテンパイする受け入れは、6種20枚の内3s5pのたった4枚しかありません。

図11‐2

対して図11‐2では、打4pとすることでドラドラを確実に使える完全1シャンテンに取ることができます。全ての受け入れでドラを使い切れるので、6種20枚全てでドラドラ以上のリャンメンテンパイが確定します。

このように、ドラが重なった時のヘッド振り替えがあるため、ヘッドの部分以外のターツにドラが含まれている場合も、ヘッドフォローは残した方が良くなります


以上のように、ターツやヘッドフォローがドラに絡む場合はヘッドフォロー残し優位となります。様々な変化のパターンを取り上げましたが、それぞれ使い方を覚えておきましょう。



⑦くっつき1シャンテンの場合

最後に、くっつき1シャンテンの場合のヘッドフォローについて触れます。

図12

図12のような形が所謂くっつき1シャンテンです。3メンツ+ヘッドがあり、浮き牌にくっついたらその部分が待ちになります。
このくっつき1シャンテンの形は、受け入れが非常に広くなります。

図12の受け入れ

打4sとすると一番広く、11種40枚でテンパイします。ここまで見てきたヘッドレスよりも広いですね。打3sだけはヘッドを壊してしまいくっつき1シャンテンにならないので、ここは切らないように気を付けましょう。

さて、そんなくっつき1シャンテンの弱点として、愚形待ちになりやすいことはご存知の方も多いんじゃないかと思います。
図12から打4sとした場合、良形になるのは68m56pの4種16枚のみで、他の24枚は全て愚形テンパイになってしまいます。

それでは、ヘッドフォローの4sを残して打7mや打6pとした場合はどうなのでしょうか。
打7mとした場合、受け入れ枚数としては打4sと比べて4枚少なくなりますが、良形になる受け入れは35s567pの5種17枚となり、打4sの場合よりも1枚多くなっています。また、枚数以外のメリットもデメリットも色々と存在するので、詳しく見ていきましょう。

打7mのメリットとしては、一番嬉しい3s引きで三面張ができます。打4sの場合は三面張になることはないので、これは明確に嬉しいですね。
次にデメリットとしては、まず5s引きの亜リャンメンが良形としては弱い待ちになってしまうことがあります。良形受け入れの内3sの2枚が強化される代わりに5s4枚が弱体化しており、上記のメリットが薄れてしまっていると思います。
更に、2s引きで単騎テンパイになってしまうこともデメリットです。カンチャンやシャンポンなら4枚待ちですが、単騎は3枚しかありません。愚形の質も下がってしまっていますね。

以上のような理由から、あえてヘッドフォローを残すメリットが小さいため、くっつき1シャンテンでは基本的にヘッドフォローを切るのが良いと思います。


次に、連続形含みのくっつき1シャンテンを考えます。
ここまでは連続形があるとヘッドが作りやすい分ヘッドフォロー残し優位でしたが、くっつき1シャンテンの場合はどうでしょう。

図13

図13は、ピンズが四連形になっているくっつき1シャンテンです。
ピンズの部分は、4pを切ると7pくっつきもなくなってしまうので、まずこの47pは切らないようにしましょう。

さて、受け入れ枚数を見ると、やはりヘッド固定の打4sが一番広くなっています。しかし、この連続形含みの形だと、他の打牌と良形テンパイ枚数に少し差が出てきます。
47pは切らないとして、リャンメン固定の打3sも良くないという話をしたので、4sと7mの比較になります。

まず4sを切った場合、受け入れは一番広いですが、良形になる受け入れは68m3s3568pの7種24枚です。けっこう多いですが、やはり半分以上は愚形になってしまいます。

次に7mを切った場合、打4sより受け入れは4枚減るものの、良形になる受け入れは6枚増えて235s345678pの9種30枚になります。先ほどは2s引きで単騎テンパイになってしまったのが、ピンズが四連形のためにノベタンに受けられるようになっており、ノベタン受けから入った時でもソーズをリャンメンで使えるのがかなり大きいです。

打7mは受け入れが4枚減るとは言え、それでも45枚の受け入れがありますし、受け入れが減るデメリット自体もかなり小さいです。
愚形テンパイを拒否できるということはメリットにもなりますし、それと引き換えにこれだけ良形になりやすくなるのであれば、ヘッドフォローは残すのが良いでしょう。


図13‐1

ちなみに、四連形の部分が亜リャンメンであった場合もヘッドフォローを残すのが良いのではないかと思います。
四連形でない分受け入れ枚数は全体的に減っていますが、打7mとした時の良形テンパイ枚数は23枚と、やはりそこそこの受け入れ枚数と良形率を両立できています。


また、このくっつき1シャンテンに関してはご存知ゆうせー(@getawonarashite)さんが参考になる動画を上げてくださっているので、そちらも見ていただければと思います。




おわりに

以上、1ヘッドフォローの手牌について見てきました。

冒頭にも書いた通り、ヘッドフォロー牌はすぐに安牌と入れ替えてしまう場合も多く、必ずしも必要な牌ではありません。
私自身、「ピンフ形のヘッドフォローが嫌い」というところからこの記事の執筆を開始しており、それよりも安牌を持ちたい!という人も多いと思います。

ですが、そんなヘッドフォローの価値を正しく認識しておくことで、アガりたい時、アガれなくても良い時、後手を踏んでも戦いたい時、様々な状況により即した判断ができるようになるのではないでしょうか。

この記事を読んだからと言って、麻雀が劇的に強くなったりすることはありません。ですが、麻雀について考える時に、この記事が視野を広げる一助となれたのなら幸いなことだと思います。


それでは、今回はここまでとなります。
拙い部分もあったかと思いますが、最後までお読みいただきありがとうございました。

Pacific Dainagon

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