見出し画像

麻雀上達を妨げる悪癖

Pacific Dainagonです。

今回は、私が今まで実際にやってしまっていた「悪癖」と、なぜそれがいけないのか、その解決方法についてお話させていただこうと思います。
雀魂で言えば雀豪ぐらい(天鳳3~4段ぐらい?)までの方には役立てていただけるのではないかなと思います。

どうぞ最後までお付き合いいただければ幸いです。


その1 字牌抱え過ぎ!

この言葉はもはや聞き飽きるほど聞いた人も多いことでしょう。恐らくこの「字牌抱え過ぎ」問題に直面している人は、本当に初心者の人よりもむしろ、少しずつ勉強を始めている人の方が多いのではないかと思います。
ルールを覚えたばかりの初心者の人はベタオリなんかはあまり考えず、自分のアガりだけを見て字牌を躊躇せず切るからです(個人的な想像です)。

少し勉強をして押し引きなんかを考えるようになると、安牌として字牌を持っておきたいという考えが出てきます。もちろんそれは悪いことではないのですが、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」ということわざがあるように、やりすぎは良くないですね。

字牌は数牌と比べて受け入れ枚数が圧倒的に少ないので、攻めを考えたとき字牌を残すより数牌を残す方が良い場合がほとんどです。字牌を抱えてしまうことによってアガれたはずの手がアガれないと加点ができないだけでなく、他家にアガられて失点するリスクも大きくなります。

「じゃあどれぐらいならやりすぎじゃないの?」「字牌を抱える基準は?」と気になると思いますが、そういう方に「とりあえず序盤は字牌切っとけばOKです」とこれまたよく聞く言葉だけ伝えても不完全燃焼になりそうなので、私の考える安牌を抱える基準を、実戦譜の例と共に書いておこうと思います。


画像1

まずはこの手、メンツは1つしかなく愚形だらけですが、この北は残しません

1pや7mを切りたい方もけっこういるような気がしますが、1pを残すと12p受けが、7mを残すと8m受けと一気通貫の含みも残ります。孤立牌もドラの7pと4sでくっつきやすい優秀な牌なので、12mを落としての良形変化も期待できますね。愚形だらけとはいえ、アガれないこともない手なので、ブクブクに受けちゃっていいと思います。

また、1pが2人に現物で3pのワンチャンスになっているのも良いですね。ブクブクに構えても、他家に通りそうな牌を考えながら打てると良いです。


画像4

次はこの手、先ほどのように愚形だらけですが、今度は7巡目になってもまだメンツがありません。この南は配牌時点から持っていた牌ですが、これは抱えていて良いと思います。

捨て牌2段目に入って愚形だらけのメンツなし3シャンテンのこの手は、かなりアガるのが厳しいです。今回はダブ南なので打点的な要素もありますが、1枚切れ字牌は安牌としてかなり優秀なので、巡目的にも守備を考えてブクブクにはしない方が良いでしょう。


画像2

さて、次の牌姿ですが、1メンツあって愚形だらけでなんとなく1枚目の牌姿と近いですね。ということでこの西も残しません


画像3

ではこれはどうでしょうか。先ほどの牌姿の3巡後に、手が進まないままもう一度西をツモって来ました。私はこの西は残します
実戦では、ここで2pを切って西を残しました。

考え方としては、3巡目でこの手なら十分アガれそうなので打点アップや良形変化の可能性も残したいですが、6巡目では変化を待つのにスピードが間に合わないかな、という感じですね。捨て牌2段目になると大体リーチや仕掛けが来るようになるので、その辺りからは守備を意識し出すと良いかと思います。
ちなみにこの手は愚形だらけで門前ではちょっと厳しいので、ここまでは一気通貫になる可能性も残していましたが、ここからは789の鳴き三色を本線に、三色に不要な牌は基本先切りするような方針で進めました。


と、ざっくりこのような感じですがいかがでしょうか。ポイントとなるのは

・アガれそうな手か
・浮き牌を残して変化を待てる巡目か

というところかなと思います。序盤ターツが足りるまではブクブクにして、良形ターツが揃ったらスリムに、愚形が残ったらまだブクブクに、捨て牌2段目からは自分の手の進行具合を見て守備も意識する、というのが基本的な進行になるかと思います。

自分の手を過小評価して安牌を抱えてしまうとアガりを逃してしまう可能性があるので、基本序盤は強気に行くぐらいが良いでしょう。


その2 役牌ポン!

二つ目は、「役牌をポン」することについてです。麻雀は役がなければアガれないゲームですから、役牌がトイツだったら誰だって「ポン!」と言いたくなります。もちろん鳴いた方がいい場合は多いですが、そうでない場合もあります。

鳴かない方がいいのに条件反射で鳴いてしまうと守備力が下がって、自分は全然アガれそうではないのに先制リーチを受けて、安牌がなくベタオリもできないなんて状況に陥ってしまいます。

「副露判断」というのはかなり難しいテーマではありますが、役牌のポンについてはその中でも割と初歩的な部類かなと思うので、いまいち判断が付かないという方は参考にしていただければと思います。
それでは実戦譜から例を見てみましょう。


画像6

まず1つ目の牌姿ですが、トイメンから中が切られたこの場面、これはポンして良いでしょう。

すでにターツの数は足りていて鳴かなくてもまあまあアガれそうですが、ドラもないので門前でリーチしたところでほとんど打点上昇が期待できません。他家にアガられる前にさっさとアガって失点リスクを回避しましょう。


それともう1つ大事なのが「トイツの有無」です。
なぜかと言えば、メンツはチーして作れるのに対し、雀頭は鳴いて作ることができないので、自分でツモるしかなく作りにくいためです。鳴いて手牌の枚数が少なくなると不安定になるので、雀頭にできそうなトイツはすでに手牌にある状態から鳴いていった方が良いでしょう。


画像7

2つ目の牌姿、トイメンから白が切られましたが、これは鳴かない方が良いと思います。

やや微妙なところではあるのですが、この手は白をポンした後3mや6mなどの鳴きにくい中張牌もポンしないとアガれなさそうで、不安定で安い上に安牌もありません。

こういう役牌以外に安牌のない安手のときは、役牌からではなく数牌から鳴いて、アガれそうな手になるまでは役牌は鳴かない所謂「役牌バック」で仕掛けていくのが良いかと思います。

中張牌トイツが多い手は鳴きにくく鳴いても不安定なので、安牌を抱えながら進行したり、鳴かずに七対子を目指したりするのが良いでしょう。他家に先制されたら役牌トイツを切って潔く降りましょう。


画像5

3つ目の牌姿です。ターツが足りておらず今あるターツも全て愚形ですが、上家のこの白はポンして良いと思います。

悪い配牌ですが、大前提として基本的にどんな配牌だろうとアガりには向かう方が良いです。自分の手が良いほど大きなリスクとも見合い、自分の手が悪ければなるべく少ないリスクでアガりを目指すのが麻雀の基本です。

そしてこの手を見てみると、門前でのアガりはかなり絶望的ですが、愚形だらけとはいえ一応ターツが4つと5p6sという強い浮き牌があるので、鳴くことができれば多少アガりの可能性が見えるかな、といったレベルの手です。

悪い手なのでリスクはなるべく負いたくありません、ここでのリスクとはつまり放銃リスクですね。安牌がないと放銃リスクは格段に上がりますが、今回は安牌候補の東をトイツで持っているので、リーチが来ても安全にベタオリできそうです。
よってこの手はリスクが少ない手であり、白はポンしないとアガれなさそうということで、この白はポンして良いかと思います。

気を付けてほしいのは、白をポンした後、ターツが揃うまでは57mや3sのチーはしない方が良いということです。
この手は先制されたらベタオリするので、アガりが遠い現状の手からさらに手牌を短くするのはリスクばかり上がってしまう行為です。ターツがそろってアガりが見込めるようになるまでは、これ以上に鳴くのはやめておきましょう。


画像8

最後に、こちらの牌姿から發を鳴くかどうか考えてみます。一盃口の一歩手前のようなこのピンズの形はかなり雀頭を作りやすいので、發をポンしても雀頭の心配はなさそうです。

この發は鳴いても良さそうですが、私は鳴かない方が良いかと思います。

大きな理由は2つ、「鳴かなくてもアガれそう」であり、「鳴くと打点の期待が全くできない」ためです。

まずこの手は3mか東を切ってすでに1シャンテンであり、良形も確定しているので門前でもかなりアガれそうです。ドラは使えそうにありませんが、發が暗刻になればマックスで「リーチ・發・一盃口」と、裏ドラやツモで満貫まで狙える手になる可能性があります。

リーチのみになってしまう可能性もありますが、鳴かなくてもアガれそうな手ならわざわざ満貫の可能性を潰す必要はありません。なのでこの手の場合は、「打点上昇の期待ができるため鳴かない」というのが良いかなと私は思います。


まとめると、役牌ポンをする時に気を付けることは

・リーチの打点上昇はどれほどか(ドラの有無)
・鳴かないとアガれなさそうか
・鳴いた後、守備力はあるか

といったところかなと思います。
鳴かないとアガれなさそうだから鳴くというのは当たり前にやっている人が多いかと思いますが、打点を上げるために鳴かないというのはけっこう見落としがちな人もいるのではないでしょうか。

「鳴けるから鳴く」のではなく「鳴いた方がいいから鳴く」、そしてなぜ鳴いた方がいいのか、理由も考えながら打てるようになりましょう。


その3 押し過ぎ!

押し引きの判断というのは、誰しも最初はとりあえず「先制リーチされたらベタオリ」というところから入るのではないかと思います。
ですが、「リーチに対しては降りられるけど、鳴いてる相手にいつ降りるべきか分からない……」という人は多いのではないでしょうか。私自身もこれでかなり苦しんで、なかなか放銃率が下がらない期間が続いていました。

ということで、ここでは「他家の仕掛けに対する押し引き」についてお話しようと思います。
ポイントとなるのは、

・自分の手の価値
・仕掛けの打点予測
・副露の回数
(・副露した後の手出し)

です。自分の手の価値が高いなら押しますし、低いなら守備に回ります。
仕掛けの打点が低そうなら放銃しても大した痛手にはならないので、押しやすくなります。
副露の回数が増えれば増えるほどテンパイ率が高くなるので、それに伴って押し引きも変わってきます。逆に言えば1副露なら大体そこまで警戒しなくて大丈夫です。

・副露した後の手出し に括弧が付いているのは、初級者の方だと手出しツモ切りを見ておくのは少し厳しいかなと思ったからです。
手出しが入る時は基本的に「1手進んだ時」なので、確認しておけば仕掛けの速度を判断するのに役立ちますし、最終手出しの周辺の牌(手出し2sなら14sなど)が待ちになっているケースが多いので、難しいとは思いますが初級者の方もなるべく「鳴いている人の手出し」は見ておくよう意識できると良いかなと思います。

それでは実戦譜から例を見ていきましょう。


画像11

上家の親とトイメンが2副露していて、自身は愚形の残った2シャンテンの手です。

ドラを引いたので、使えればメンピンツモドラ裏で満貫も見えますが、ここは降りるのが良いかなと思います。

捨て牌2段目の中盤、大体9巡目以降の2副露は、50%ぐらいはテンパイしていると思いましょう。
そしてこの手は2シャンテンなので、ここからテンパイするまでに少なくとも3枚切らなければなりません。手が進むと出ていきそうな14mや4pは仕掛けに対して通っている牌ではないので、テンパイしている相手に無スジ2枚を切らなければならないなら降りる、と考えましょう。

また、今回は5mがポンされていて8mが2枚切れなので、58mのリャンメンがとても弱くなってしまっていますね。ということで、自身の手があんまりアガれそうではなく、「価値の低い手」だと言えます。なのでここは潔くベタオリしましょう。

上家から白の手出しが入っていますが、トイメンに合わせてほぼ通る4sを切るか、より安全にいくなら3mを切るのも良いと思います。


画像11

上家が2副露、トイメンが1副露、自身が白バックで仕掛けて形式テンパイしている手です。白を鳴かないと役がないのでアガれませんね。

さて、上家はドラの南をポンしていますがオタ風なので、役がまだわかりません。役牌バックかもしくはすでに暗刻になっているか、3mのトイツ落としが入っているのでトイトイではなさそうです。西と1pが早めに切られていますが、他の色のターツを落としていることから、ピンズのホンイツの可能性はあります。

ここまで考えると、この場面では上家に合わせて7sを切って降りるのが良いかなと思います。
まず自身の手は1500点の安手で、ここから白をポンしないといけないので実質1シャンテンです。ですが上家がホンイツか役牌バックだと考えると白は相当鳴けなさそうですね。
この手を素直に進めるなら北切りですが、北ももはや危険牌です。おまけにそこから25sを引くと出ていく3pも危険牌です。

自身の手の価値が高くないので、明らかに高い仕掛けをしている相手にはやや過剰すぎるぐらいに対応してしまって良いと思います。上家が役牌暗刻だと色々な待ちが想定されるので怖いですが、ここからは危険牌は1枚も切らないぐらいの気持ちでベタオリするのが良いでしょう。


画像9

親のトイメンが2副露していて最終手出しは白、自身は良形が残った1シャンテンです。

5sは不要牌なので切りたいですが、トイメンがすでにテンパイしている可能性があります。なのでここは白から切りましょう

自身は安手ですが、トイメンはドラの北を使っていないので仕掛けもあまり高くなさそうに見えますね。目に見えて高い仕掛けでないのならば、安手だろうとリャンメンでテンパイすればリーチしちゃって大丈夫です。

テンパったらリーチはするのですが、ノーテンから放銃はしたくないという感覚をぜひ身に着けていただきたいと思います。つまりこの5sは、「テンパイしたら押すけど、ノーテンから切りたくはない牌」なわけですね。

トイメン以外からリーチが来た時のために白を安牌として持っておきたい気持ちはとてもよく分かりますが、安牌を残して放銃するのは馬鹿らしいですよね。今がその安牌を使う時です。白を切って1シャンテンに取り、テンパイしたら5sを勝負しましょう。

また、自身が安手であることには変わりないので、白を切った後に3sなどの危険牌をさらに引いてきたら、その時はベタオリするのが良いと思います。他家から先にリーチされた時も9pなどを切ってベタオリしましょう。
もし2pや9pがドラだったりした場合は十分過ぎる勝負手なので、ガンガン押しちゃいましょう。


最後に考え方を整理してみます。

まずは他家の仕掛けの状況を見て、
1副露なら基本スルー、3副露や中盤以降の2副露と高そうな仕掛けには注意して、自分の手が良ければ押し、悪ければ降り
の方針です。また、終盤に近付けば近付くほど自分のアガりの可能性も下がるので、ノーテンの手の価値はより下がっていきます。
捨て牌3段目に入ってもまだノーテンならば、よっぽど良い形で高打点の見込める手(リャンメンリャンメンの3翻確定1シャンテンなど)でない限りは、1副露の相手に対しても押さない
ようにしましょう。「ノーテンから放銃はしたくない」の気持ちは常に意識しましょう。



おわりに

ということで、今回は3つの”悪癖”について書かせていただきましたが、いかがだったでしょうか。少し難しく感じた方もいるかもしれませんね。

実戦譜から抜き出した例ではあまり点数状況を加味していないので、より深く考えると違う選択になるかもしれませんが、基本的にはここに書いた選択で大丈夫だと思います。

また、私と違う選択の方が良いのではないかと思った方は、なぜその選択の方が良さそうなのか、ぜひその理由を考えてみてください。そして自分の牌譜を見ていて似たような場面があったら、どんな選択が正解なのかを考えてみてください。
私のこの記事が、正解を導く1つの手掛かりになれば幸いです。

かなり長くなってしまいましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。

Pacific Dainagon

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?