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TOMORROWとトーラレンス

今日は、「冬のリモートフォルケ」夜の映画鑑賞会で観て話した『TOMORROW パーマネントライフを探して』の話を。

「農業・エネルギー・経済・民主主義・教育」の5つのテーマを、世界中のあちこちの場所を回りながら取り上げていきます。映画全体はちょうど2時間くらいなので、ばらつきはあるけどざっくり20分ずつくらいの感じでしょうか。
「サステナビリティー」や「パーマカルチャー」という言葉を全面的に受け入れられている人にとっては特に問題なく「YES!! 共感します!」という内容の話が続きます。

…が、そればかりが続く故に、おれにはちょっと…。
なんというのかなぁ。好みの問題ではあるけれど、どんなに良いものであろうと正しいものであろうと、同じ側からずっと光をあて続けていては、立体にはならない気がする。テーマを変えて進んでも、それがなかなか交差しない、層にはなっても。「影のない正義の味方」は間口を増やさない、というか。

ものすごく良い取材をして良い素材を集めまくっているなぁと思えるので、おれが勝手に作品への期待を高くしすぎたのかも。でも2時間使うならそう言う部分も欲しいなぁ。
というわけで、おれが監督なら、もっと旅の感覚を活かして「キレ」を込めたいです。
そして5つのテーマはどれも根幹部分ではあるけれど、必ずしもすべてを「テーマ」としてカバーする必要はなかった気もする。
するならするで、もっとリズムというかグルーブを意識するかな。


映画を観おわって、1時間くらい対話をしました。
上のような感想をシェアして、自分のひねくれ度合いの高さを改めて感じました。

正義の味方はどうしてもちょっとおれには…。これを観て「じゃあ自分は何をしようか」「じゃあどうやってみんなを仲間にしようか」とはならなくて。

ただ、誤解のないように改めて言っておくと、テーマと取材素材がすごく良いがゆえの意見です。
良い映画で、サステナブルへの道のりとして「農業・エネルギー・経済・民主主義・教育」の世界で何が進んでいるかをまるっと知るにはこれほどインフォマティブな映画はない気がします。


「そんなに言うならオススメは?」となるかなということで、ここ1年くらいに「こっちの方が好き」って感じた映画や本をいくつか。

■ 映画の前半部分の「農」の部分に惹かれた人は、ぜったいこの映画『ビッグ・リトル・ファーム』を観た方がいいです。

■ おれは映画にも出ていたジェレミー・リフキンのファンで、彼の描くVisionにこれまで2回打ちのめされています。
彼の100分の講演を5分弱に要約したブログを書いているので、良かったら読んでみてください。
ジェレミー・リフキンの第3次産業革命 | 新しい根源的共有経済の衝撃

■ 『都市を耕す エディブル・シティ』。
これも最初の「農」の部分にピンときた人には超おすすめ。
<個人が経済を変えることはできない。システムを変化させるのは無理だろう。でも、食は変えられる。食と経済を切り離すんだ! 食料主権(Food Sovereignty)を取り戻せ!!>みたいな言葉が超印象的です。
夏前まで期間限定で無料公開してたんだけど、今はちょくちょくやってる上映会でしか見れないのかな…

■ 日本の地域性を踏まえて再エネにがっつり取り組んでいる町とその取り組みについて紹介しているのが『「再エネ大国 日本」への挑戦』です。
[沖縄県・宮古島][千葉県・睦沢町]の取り組みが一冊にまとまっています。
エネルギー地産地消についていろいろ学べる1冊にもなってます。
で、丁寧に取材された[福島県・土湯温泉][岐阜県・石徹白集落][岡山県・西粟倉村][岡山県・真庭市]

■ 『これがすべてを変える 資本主義 VS. 気候変動』ナオミ・クラインの書いた上下巻からなる本。石油メジャーがいかに農業・経済・政治を牛耳っているかを細かく掘り下げ掘り下げ取材しています。今日の映画からさらに深掘りするにはいいかも? ただ、ものすごいボリュームでネガティブな話が続くので覚悟はいるかな?
なお、彼女の無償セミナーが12/1のお昼にあります。

■ 映画『ジェイン・ジェイコブズ:ニューヨーク都市計画革命
実は今回、図書館で借りた『アメリカ大都市の死と生』という、ジェイン・ジェイコブズが40年くらい前に書いた本を持ってきているんだけど、全然読めていない。。。

■ 最後に、まだ読んでないけど発刊を楽しみにしているのが、『ドローダウンー地球温暖化を逆転させる100の方法』です。年内に出るそうで、イントロダクション・ワークショップに参加しましたが、インフォマティブさでは今日の映画以上かも。


最後に映画の中の言葉で「ほう!!」となったのを2つ。

「我われは、死ぬまで成長をし続けるマンボウとは違う」
「学校で教えるべき規則はトーラレンス(寛容)」

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