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完璧な政策主義 (気候変動対策抑制カード9/12)

気候変動対策推進の足を引っ張っているさまざまな「主義」を、カードでご紹介しています(カードに関する詳細は最下部にてご覧ください)。

Card#9 POLICY PERFECTIONISM | ムチなしアメだけ主義

すべてのステークホルダーに支持される、完璧に準備された計画だけを採用すべきです。さもなくば、私たちは残されたわずかな機会を無駄にすることになってしまうでしょう。

POLICY PERFECTIONISM | ムチなしアメだけ主義


政治家はこの「完璧な政策主義」を、何もしないことを誤魔化すための言い訳として、以下のような調子で好んで使います。
「そんな政策では、ストライキや暴動を引き起こしてしまい、国が麻痺してしまうだろう。」
しかし、社会をより良いものへ変えようとしているにもかかわらずその政策が受け入れられないのであれば、実際の最大の問題は政治的コミュニケーション戦略の欠如あるいは欠陥であろう。

完璧な政策主義者は、規制の持つ潜在的なリスクや、不完全な政策設計、潜在的な経済コストに言及することで、立法措置を遅らせようとする。
そして十分に野心的でかつ協調性とも両立する政策を実現する、より良いあるいは理想的な政策を実行に移すには、もっと時間が必要だと彼らは主張する。「政策を急ぐあまり国民の支持を失っては、何もできなくなってしまう」と。
彼らは支持喪失のリスクを責任逃れに利用している。そして忘れるべきではないもう一つの事実が、こうした時間稼ぎの間にも、ロビイストたちは持てる力を存分に発揮して、社会や人びとを惑わせようとしている。

もちろん、政党間や政府内部で優れた政策や協力が実施されてきた事例はたくさんある。
だからどうか忘れないでいてほしい。化石燃料の使用制限がそうした優れたの1つとなるかどうか、そしてそしてパリ協定が実際に守られるかどうかは、私たちの政治的代表者たちがどういう政策を実行していくか次第だということを。
そしてここからが本当の正念場であるということを。

POLICY PERFECTIONISMのオリジナルの説明

先日、ロンドンの「イズリントン・クライメート・センター」を立ち上げた女性とお話しする機会があり、プレゼントに12枚のカードをいただきました。
カードは彼女も作成に関わったもので、英国発の環境保護団体「エクスティンクション・リベリオン(XR)*」が著作権フリーの制作物として提供しているそうです。

*エクスティンクション・リベリオン | 市民的不服従、非暴力の直接行動を用いて気候変動に対する政治的な決断を促す市民活動団体。
(ところで、この機会にXRについて改めていろいろ調べ、UKで暮らす人たちに意見を聞いてみたのですが、おれが日本で思っていたような「過激な組織」という印象を持っている人は少なそうでした。
やり過ぎてしまうメンバーが一部存在しているものの、規模からすれば当然で、むしろ抗議活動の行い方としては「真っ当」であり、市民や警察に対しても協力的と捉えている人が多いようでした。)

日本とは文化的な違いもありわかりやすくはないものの、それでも通ずるところや感じるものが多いものではないかと思ったので、テキストの日本語訳を考えてみました。
イマイチなところも多々あるだろうなと思うので、「この方が良くない?」とかアイデアがあれば教えてください。そしてもし「イラストを含めて日本語版を作ってみたい」と思われるデザイナーやプランナーの方がいらっしゃったらお声掛けください。

Happy Collaboration!

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