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育児で初めて泣いた日 #母11日目

2023年12月、第一子を出産した。

赤ちゃんは想像以上に可愛く、毎日愛しい時間を過ごしている。
しかし出産の痛みや、産後の睡眠不足など、大変なことも山程ある。

そんな日々をnoteに残しておきたい。
少しでも、誰かに共感してもらえたり、似たような悩みがある人の参考になったら嬉しい。

一本目は、産後最もメンタルが弱っていた日の話。

母乳拒否

産後、始めにぶち当たった壁。
赤ちゃんが母乳を飲んでくれない。

お腹が空いていそうなのに、おっぱいを近づけても、「ヒェーン」と泣いて、顔を逸らし、手で押し返し、拒否する。

でも「生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ母乳を飲むのが下手」と聞いていたし、粉ミルクで栄養は摂れていそうだったので、母乳を飲まなくてもあまり気にしていなかった。

なんなら、母乳拒否する泣き顔すら、可愛い。
眉間にシワを寄せ、困った顔をして、か弱い声で泣く赤ちゃんは愛しい。

胸が張ってきて痛いのは問題だったが、幸い、自分で搾乳すれば何とかなった。

それに数日後に母乳外来に行く予定だったので、そこで何とかなるだろう、と気楽に構えていた。

母乳外来へ

産後11日目。産婦人科の母乳外来で助産師さんに相談。
授乳時の抱っこのコツを教えてもらい、ニップルシールド(赤ちゃんの吸引をサポートするアイテム)も購入。

そして助産師さんと二人がかりで、赤ちゃんを力づくで押さえつけるような形になったが、ようやく母乳を飲んでくれた。

授乳ってもっと穏やかなイメージだったなぁ…思っていたのと違うなぁ…とは思いつつ、とりあえず一安心。胸の張りが取れて楽になったのも嬉しい。

これで、これからも母乳を飲んでくれるだろうと期待して帰宅した。

いざ、授乳

帰宅後、初の授乳タイム。
母乳外来で教わったことを実践し、おっぱいを差し出す。

しかし赤ちゃんは今まで通り拒否。
泣いて、まだ座ってもいない首を全力で逸らす。

あ、そっかそっか、さっきは助産師さんの力も貸してもらったもんね。私一人ではまだ難しいかも。

その時は諦めてミルクに切り替え。
後から様子を見に来たおばあちゃん(私の母)に「飲んだ?」と聞かれ、心がしゅん…としながら「飲んでない…」と答える。

次の授乳。おばあちゃんにも手伝ってもらい、再び大人二人の力で、赤ちゃんをおっぱいへ近づける。しかし赤ちゃんは大暴れして拒否。どうしようもないギャン泣きに。
おばあちゃんが「あーあ…」とため息をつく。
赤ちゃんの泣き声と、おばあちゃんのため息が、心にズーンとのしかかる。
まぁ、でも、まだ2回上手くいかなかっただけだ。

さらに次の授乳。次は深夜なので一人で対応する。
3度目の正直だ、今度こそ飲んでくれるといいな。
ギャン泣きするより前に授乳を始めた方が良いだろうな。ここまでの知見を総動員だ。

だがやはり、赤ちゃんは全力拒否。ギャン泣き。

その時、自分の中で溜まっていたものが限界に達した。
とてつもない絶望感。
涙がボロボロ溢れて止まらなくなった。

母乳外来に行き、おばあちゃんちゃんにも手伝ってもらい、それでもダメ。もう、頼れるものがない。

今までは可愛いと思っていた赤ちゃんの泣く姿も、そうは思えなくなっていた。
もちろん赤ちゃんのことは憎くはない。
でも、あまりの拒否反応に、自分という人間が丸ごと拒絶されているような感覚になった。悲しい。

母になったのに、私は子に乳も与えられないのか。
おばあちゃんにも負担をかけてしまっている。情けない。

産後の傷が痛んで、立つのも座るのも辛い中、毎日1〜2時間の細切れ睡眠で頑張っているのに…。母になったら当たり前のことかもしれない…。でも誰にも褒められない、誰も助けてくれない、私がやらないと赤ちゃんは死ぬ、その赤ちゃんはギャン泣きで拒否。つらい。

もしこのままずっと、赤ちゃんのことを可愛く思えなくなったらどうしよう。怖い。

産前・産後のギャップ

産前は、特に母乳にこだわりがあるわけでもなかった。

出来れば母乳とミルクの混合授乳が良いけど、赤ちゃんの好みもあるだろうから、完全母乳や完全ミルクになる可能性もあるよね。赤ちゃんに任せよう。そう思っていた。

だが実際、赤ちゃんに母乳を拒否されると、とても悲しく、情けなく、不安な気持ちになった。

母乳信仰

以前目にした、母乳を勧める記事に書いてあったことが頭をよぎる。
「母乳の方が栄養が優れている」「おっぱいを咥えさせることで、赤ちゃんの愛着が形成される/母親はオキシトシンが出て愛情を感じる」「母乳は飲むのに口の力を使うので、脳の発達に良い」などなど…

それらの記事にも「ミルクでも問題ない」と書いてあったが、今の私には響いてこなかった。

ミルクと赤ちゃん

3回目の授乳も、格闘の末、諦めてミルクをあげた。
すると赤ちゃんはスッと泣き止み、とても嬉しそうに哺乳瓶に吸い付き、キラキラと目を輝かせて、おいしそうにミルクを飲み始めた。

あぁ、やっぱり赤ちゃんは可愛い。良かった。
それにこんなにミルクが大好きなら、もうそれでいいか、と少しだけ気が楽になった。

しかし今は、ミルクに敵わない自分が悲しい気持ちの方が大きい。まだ涙が止まらない。

今まで、授乳中は赤ちゃんにたくさん話しかけていた。「ミルク美味しいね」「可愛いね」「大好きだよ」などなど。

だがそれも出来なかった。
初めて無言でミルクをあげた。

勝手に呪われていた私

赤ちゃんが生まれた時、義母から、お祝いのメッセージと共に「たくさん話しかけてあげてね」と言われていた。

ごく普通のメッセージだし、いつも優しく気遣ってくれる義母だから、私にプレッシャーをかける意図はないだろう。それに、そう言われなくても赤ちゃんにはたくさん話しかけるつもりだった。しかし話しかけられなくなった今、その義母の言葉が脳内で何度もリピートされる。

自分を責める声

母乳もあげられなくて、赤ちゃんに話しかけることも出来ない。

あぁ、そのせいで、赤ちゃんが病気になったり、発育が遅れたりしたら、どうしよう。

里帰り出産なので、夫はいない。
赤ちゃんに何かあったら、それは私だけの責任だ。

赤ちゃん、実母、義母、夫、みんなが、ダメな自分を責めてきているような気がした。

もちろん誰も責めてなんかいない。
これが産後のホルモンの影響ってやつなのかもしれない。
深夜の暗さ、寒さ、眠さの影響もありそうだ。

頭では分かっていたけど、やはり涙が止まらない。

命の重さ

それに病気や発育の問題だけではない。赤ちゃんの小さな命の責任は、全て私にある。

夜中、赤ちゃんが静かになると、生きているのか心配で、様子を確認しにいく。毎度、健やかにスヤスヤと寝ているだけなのだけど。
授乳で睡眠不足なのだから、早く寝た方がいいとは分かっている。でも心配で仕方ないので、何度も確認する。

可愛くて、か弱い、赤ちゃん。
もし何かあったら、全部全部全部、私一人だけの責任だ。

責めているのは何のため?

いやいや、冷静になろう。
誰も責めてなんかいない。

でも脳内には
「母乳もあげられないなんてダメな親」
「もっと赤ちゃんに話しかけてあげたら?」
という声がある。

その声は何のためにあるんだろう。

自分が、完璧な親になりたい?
自分が、ちゃんとやってるねって褒められたい?

それも少しある。

でもやはり大きいのは、赤ちゃんへの願い。

赤ちゃんに、すくすく成長してほしい。
赤ちゃんが、一人でも健やかに生きていけるよう、最大のサポートをしたい。

自分を責める言葉の奥には、そんな願いがあった。

周囲との比較

私には2歳になる甥っ子がいる。
とても可愛くて、元気で、賢い子だ。

親戚で集まることも多いので関係性も近く、年齢も近いので、どうしても我が子は比較されるだろう。

甥っ子と比べて、我が子が何か劣っていたとしたら、何か言われるんじゃないだろうか。

私のせいで、我が子に嫌な思いをさせたくない。

人と比べていた私

いやいや、待てよ。
まだ何か言われたわけじゃない。

それに親戚にも失礼だ。
嫌なことを言ってくるような人たちではない。

私が無意識に気にしていた "劣っている" って一体なんなんだろう。

人より体が小さいと、劣っている?
人より話すのが遅いと、劣っている?

そんなことはない。
いま目の前にいる赤ちゃんは、そのままで素晴らしい。

生まれてきてくれてありがとう。
あなたが居てくれるだけで幸せ。

ただ赤ちゃんだけを見ていると、そんな風に思えた。

子に願ったこと

妊娠が分かったとき、赤ちゃんにどんな風に育ってほしいか考えた。

優しい子?
元気な子?
勉強の得意な子?
運動の得意な子?

欲を言えばキリがないが、私が最も願ったのは
「自分らしく、のびのびと生きてほしい」
ということだった。

そう願っていたはずなのに。
私自身が、誰よりも、人と比較して、型にはまった "劣っていない" 子に育てようとしていた。

やめたいこと・やりたいこと

では、今後どうしたいか。

まず、一つのこと(例えば、母乳)に固執するのはやめよう。赤ちゃんの成長が、たった一つの要因で決まることはないはずだ(と信じたい)。

それから、自分を責めるのはやめよう。
もちろん子を生んだ以上、果たすべき責任はある。
でも過度に自分を責めて、追い込む必要はない。

そして、そのままの赤ちゃんを、受け入れよう。
そう遠くない日に、赤ちゃんが社会に出て、人と比べられたり、評価されることも出てくるだろう。
そんな時も、親だけは、必ず自分を受け入れてくれる、安心な存在だと思ってもらいたい。

今すぐ全部を完璧には出来ないかもしれない。
でもそれでいい。少しずつ自分も変化していきたい。

また落ち込んだときは、このnoteに立ち返ろう。

でも、やっぱり…

母乳拒否問題のおかげで、自分も少しだけ成長できたような気がする。

あー。でも、やっぱり、母乳育児をしてみたかったなぁ………。

そんな気持ちを引きずっている自分のことも、自分で認めてあげよう。

救われた言葉

最後に、母乳のことで悩みまくっていた自分が、人からかけてもらったり、調べたりして、救われた言葉がたくさんあるのでメモしておく。
同じように悩んでる人の救いにもなれば嬉しい。

赤ちゃんのセンス

母乳を飲むかは、赤ちゃんのセンスだから、飲まなくても気にしなくて良い

by 助産師さん

赤ちゃんのセンス…! それなら仕方ない。
それに助産師さんが気にしなくて良いと言うなら、きっと大丈夫!

赤ちゃんは拒否していない

赤ちゃんがおっぱいを押し返すのは、拒否しているからではなく、まだ目がよく見えないから。
手探りで必死でおっぱいを探している。

by 助産師さん

私には拒否しているように見えてしまったけど、赤ちゃんは必死に生きようとしているだけだった。

完全ミルクの実例

(義)兄も赤ちゃんの時に全く母乳を飲まず、(義)母は完全ミルクで育てたらしい

by 夫

身近な存在である義母が完全ミルクで育てていたこと、また人として尊敬している義兄が完全ミルクで育ったことを知って、何だ全然問題ないじゃん!と安心。

免疫は母乳だけではない

母乳に免疫物質が多く含まれるが、免疫は母乳だけではない
母親の胎盤を通して、たくさんの免疫物質が引き継がれて、生後6か月ごろまで働きます。産まれたあとは予防接種もあるので、自信を持って育児をしていただければと思います。

母乳とミルク - NHKすくすく子育てch

そうか、胎盤や予防接種もある!
約10ヶ月もかけて赤ちゃんをお腹の中で育て、生まれた後も検診や予防接種をきちんとこなしている自分に、もっと自信を持っていいのかもしれない。

赤ちゃんの愛着形成に必要なのは、母乳ではなくコミュニケーション

「ミルクだと愛着障害になる」といったことは、絶対にありません。「母乳だから」「ミルクだから」ではなく、どのように授乳するかが大事です。ちゃんと赤ちゃんをだっこして、目を見て、ときには話しかけながら授乳していくことが、愛着形成を育んでいくのです。

母乳とミルク - NHKすくすく子育てch

授乳をしていると、「オキシトシン」というホルモンが分泌されます。これは、愛情ホルモンといわれているものです。授乳以外でも、赤ちゃんを触ったり、なでたり、赤ちゃんの匂いをかいだり、声を聞いたり、赤ちゃんのことを考えるだけでも分泌されます。もちろん男性でも同じです。愛着形成には、そういった赤ちゃんとのコミュニケーション、スキンシップが重要ではないでしょうか。

母乳とミルク - NHKすくすく子育てch

たしかに、母乳でないと愛着形成できないとしたら、自分の夫も赤ちゃんと愛着形成できないということになってしまう。そんなことは絶対ないはずだ。
だったら私も大丈夫。
母乳母乳と心配するより、目の前の赤ちゃんとの時間を大切にしていこう。

生きてるだけでOK

ミルク飲んでうんちして息していれば問題ないよ!

by 友人(3児の母)

無事に赤ちゃんが生きてるだけで、本当によく頑張ってるよ!

by 義姉(1児の母)

赤ちゃんをちゃんと生かしているだけでも偉い!
日々の育児は誰かに褒めてもらえるものでもないから、せめて自分だけでも、自分のことを褒めて、認めてあげたいと思った。

以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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