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週記31【イヤホン】

・少し前にAirPods proの右耳がプチ故障した。

無線ノイキャン外部音取り込み可能イヤホンの良さを存分に知ってしまった私は、グレードダウンした耳環境を考えられなかった。
三日後には家電量販店に行き、新しいワイヤレスイヤホンを購入した。
SONYのwf-1000xm4という、現在、完全ワイヤレスイヤホン界の頂点に君臨するといわれたりしてる代物を、店員さんの饒舌にも乗せられ、清々しく購入した。
そのときの店員さんの誘導は素晴らしく、他にも、wf-1000xm4より品質は下がるが、より安価の、これまた良質なSONYのワイヤレスイヤホンがあったのだが、巧みな値下げ方と「これを買うお金にもうちょっと払うだけで頂点が買えるんですよ?これはもう、どっちを買うかなんて考えなくとも分かるくないですか?」という旨の商売文句に包められた。お客さんとの交渉は、これくらい上手くないといけないのか。私は第三次産業の鑑であるその店員さんに脱帽、の意も込めて、笑顔で購入した。



しかし、このwf-1000xm4には、AirPods proより劣る点がいくつかあった。


まず、Apple純正商品じゃないことだ。
私は普段、iPhoneと接続して使っている。パソコンはWindowsだが、映画を観る時などは有線のヘッドホンを繋ぐので、FANZAを漁るとき以外は接続することはない。
いわずもがな、Airpods proとiPhoneの相性は、すこぶるいい。ツーカーだ。

ここで、普段iPhoneとwf-1000xm4をお使いの方はこう思うだろう。
(いやいや、マークフォーも、一回ケータイと繋いだら、あとは耳入れるだけで繋がりますやん)
そうです。その通り。私が至らないんですよね、はい。すみません。

ここで新たな情報を開示するが(マーダーミステリーの第一推理フェーズと第二推理フェーズの間みたいな言い方)、私はiPhoneを二台使いしている。
おぉ~。おっかねもちぃ~。と冷やかされる筋合いはない。機種変更前の物を下取りに出してないだけだ。つまり現時点の所得で言うのなら、下取りに出していない私の方が、あなたより貧乏なのです。お金をくれませんか。

SIM無しのiPhone 8を音楽プレーヤーのように用いている。ダウンロードさえすればオフラインでも使えるSIMフリーの特徴を遺憾なく発揮させる私の裁量。うっとりする。
私は通学時や移動時、まあつまり移動時に、iPhone8で音楽、もしくはiPhone12 miniで深夜ラジオを聴く。radikoというアプリを使うので、こっちはSIM、5G(もしくは4G)(最悪3G)が必要なのだ。

ここで、私の生活とwf-1000xm4の相性が合わないことが、なんとなく見えてくるのではないだろうか。
毎度毎度、12 miniから8へ、8から12 miniへと、接続を移動しなければならない。これをスムーズに行えるワイヤレスイヤホンは、絶対Apple純正に限るのだ。これは、他社の無線イヤホンを経験して初めて気づくApple社の技術(テクニック)だった。
これは余談だが、音楽プレーヤーとして使っている8の方が、12 miniより大きいのも、自分の中で少し気持ち悪い。知らねえよ。


さらにもう二つほど、劣る点を挙げる。私の生活との関わりを伝えるためにも、一挙に紹介する。
まず、耳から出ている部分が大きい点。
そして、再生、一時停止や、ノイズキャンセリング機能をコントロールする方法が、耳から出ている部分をタップする、という点。
この二つが、私の生活の一部に多大なストレスを与えるのである。

これを読んでいる方々は、朝刊配達、というものをしたことがあるだろうか。おそらく大勢の方が経験したことありますよね。
大体、一日、一人当たり、一つの団地の集合体と一つの住宅街を原付で移動する、アレですよ。

私は現在、二つの団地の小集合体と、田舎の点々とした住宅地たちを担当している。
順番は、小集合体①→田舎→小集合体②、といった具合。
そして、深夜は皆が鎮まる時間帯。人はおろか、動物も、猫以外は大抵寝ている。
つまり、ヘルメットなんて、正直………………なのである。
とはいえさすがに公道では被る。何があるかわからへんからね。しかし、小集合体の中にいる時の、団地から団地の移動では、被らないことが多い。(念のために言っておくと、猫のことです)
小集合体①を、そんな調子で配り終えた後、田舎に向かうために被るのだが、そこで右耳から飛び出ている大きな何かに手が触れる。すると、せっかく聴いていたラジオが音を止めるのだ。

先ほどまでの十数行を一言でまとめると、「誤作動させがち」ってことです。
そして、朝刊配達時は、この誤作動一つが、結構なストレスになっちゃうんですね。深夜って、まだちょっと怖いんで。齢二十にしても。
その点Airpods proというのは、再生、停止などを操作するためには、耳から出ている細いうどんみたいな部分をつまむ必要がある。この誤作動に対するリスクヘッジ能力の高さ。ジョブズ、もといティモシー・ドナルド・クックには頭が上がらない。




2,000字超えちゃった。本筋以外に尾ひれや蛇足をつけすぎなんだよな。読むの時間かかるnoteなんて、誰も見たかないんだけど、ついつい書いちゃうなあ。いっそのこと振り切って、いつか10,000字超の大作をこしらえることにします。閑話休題。


そんなわけで、私は最近「右耳の故障、時間が解決してくれないかなぁ」なんてのんきなことを考えていた。人間関係でも中々そんなことないのに。

プチ故障と言っても、「充電ケースに入れても充電されなかったりする(充電されたりもする)」という具合なので、ハードオフなんかに売りに行っても問題はないだろ、と思っていた。
夏休みが来たら売ろう、と思っていたのだが、夏休みが始まってしばらくしても、一向に売る気が起きない。まあ、これは、ただの僕の怠慢です。Airpods proとの、あの楽しい思い出たちが、売ろうとするたびに蘇って……みたいなことじゃないです。乙女でもさすがに引くわ、そのアオハルもどき。

数日前にやっと重い腰が上がり、売るための準備を始めた。

【個人的、売るための準備】
① 売りたい商品の動作確認(故障の具合がどれほどかを確認)
② 商品をきれいにする(砂鉄を拭いたり、耳クソを取ったり)
③ 店に行き、売る(物悲しいような面持ちで)
④ 売却完了! 得た金でスタバの新作フラペチーノを飲む!

上記のマニュアルに沿って、私は動き出した。
まずは、動作確認。両耳をつけ、音楽を再生する。もちろん、聴こえる。
そして、数十分経った後、両耳を充電ケースに入れる。右耳が充電されるか不安だったが、以前問題があったのが間違いだったかのように、すんなりと充電し始める。
うん。故障してないね。

うん……?
故障……してない……?
ね…………………………?

充電ケースはオレンジの光を発し、スマホの画面でも、きちんと両耳とも充電されていることが確認できた。
いやいや?まてまて?なにかの間違いでは?
いや、そうだ。一回うまく充電ができただけで、治った、なんて考えるのは愚かだ。「治った」のではなく、「良い方の誤作動」の可能性だってある。危ない危ない。またもAppleに騙されるところだった。まったく、禁断の果実をかじるのも一苦労ッてか???
私はこの20年で、石橋をたたいて渡ることを覚えたのだ。人生、結局慎重が大事。人生とかけて、付き合いたい男の条件と説きます。


翌日、外出時にAirpods proを持って行った。電車内で、ラジオを再生する。
聴き終わった後は、充電ケースに収納。イヤホンのことなど忘れ、友達とお酒を飲みに行った。
その飲み会では、今までの人生史上一番酔い潰れたのだが、それはまたの機会に。


家に帰り、Airpods proを確認すると、右耳の充電はフルになっていた。

死んだはずのイエスが生き返ったとき、人々はどういう反応をしたか、想像してほしい。
私はそのときの反応とは全く違った反応だったはずだ。
なぜなら、直後にもっといい(と言われている)ものを買っちゃってたから。
例えるなら、私はイエスが死んだ翌日に、ブッダを崇め始めたのだ。
私は今、様々な感情に揺れている。それは、復活したことへの嬉しさ、wf-1000xm4との関係での悩み、金欠による焦り、など、だ。

我ながらいつも、買い物が下手だなあ、と購入後に思うのだが、今回もまた、これを思うとは思っていなかった。
もし一人暮らしを始める時や、携帯代が自分持ちになるときが来たら、迷わず身内のプロフェッショナルに相談させていただきたい。

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