創作「A,B,C の問題」②

1.二か月前
A「先週昼飯にラーメン食べに行ったら、久しぶりにCに会ってさ」
B「ああ、駅前にできた店?」
A「そうそう。そこで聞いたんだけどさ」
B「何?」
A「B今、浮気してるんだって?」
B「え?」


2.二か月一週間前
C「俺見たんだよ。男と一緒にパチンコ屋入っていったの」
A「いつ?」
C「昨日」
A「嘘だ。あいつギャンブル嫌いって言ってたのに」
C「いや本当だよ。俺わざわざ後つけて店内入ったんだから。二人仲良くエヴァ打ってたわ」
A「負けてた?」
C「多分勝ってた。B、しょっちゅうレバー押してた」
A「まじか...」
C「ほら、こういうのは当人同士の問題だから首突っ込むつもりはねえけど、別れた方が良いんじゃねえか?」
A「いや...でも...」
C「もし仮に、その男が友達だったとしてもさ、お前にギャンブル嫌いって嘘ついてたことに変わりは無いんだからな。ろくでもない奴だよ、あの女は」
A「それは...確かに。お前の言うとおりかもな」
C「次いつ会うの?」
A「一週間後。ちょっと問い詰めてみる。ありがとう」
C「おう」


3.二か月前
B「ああ、それね」
A「どうなんだ?先に言っておくが、浮気されるくらいなら別れるからな」
B「いや、別れたいと思ってるところ申し訳ないんだけど、それは勘違いだよ」
A「はぁ?」
B「ていうか、Cくんとその時話したんだけどな」
A「え?」


4.二か月一週間一日前
C「パチンコとか打つんだ」
B「ああ、これは打ってるってより、打たされてるんです。私のお金じゃないし」
C「え、どういう意味?」
B「私の隣に紺のパーカー着た男いたでしょ。あいつに打たされてたんです」
C「ああ、打ち子ってこと?」
B「そうではないかな。単純に、紺パーカーが打つ資金を二倍に、打つ時間を半分にするための要員。一応、収支がプラスならその半分を給料として貰う、って感じ」
C「あっそう。働いてるのね」
B「そうですよ。誰が好き好んでこんなとこ入るんですか」
C「まぁ、ねぇ。そうだよね」


5.二か月前
A「濡れ衣じゃん。ってか、C、嘘ついてるじゃん」
B「そうだよ。騙されないで。というか、Cくんって今何やってるの?Aくんと同い年ならもう社会人だよね?」
A「どうやら院に行ったみたい。まあ理系ならその道も然るべきだよな」
B「何で嘘なんかついたんだろう」


6.今
A「お前を恋人にしてしまったのが俺の間違いだったんだ」
B「え、なに?なんで泣きそうなの?」
A「だから俺はCから全部聞いたんだよ」
B「何を?あと、今Aが私にお金貸してもらおうとしてるんだよね?」


7.四年前
C「おめでとう。やっぱお前は聡いなぁ」
A「お前には言われたくねえよ」
C「なんだっけ?嶺上開花?」
A「産近甲龍だよ。麻雀じゃない」
C「カッコいいじゃん。『産近甲龍』。活字にするとちょっとあれだけど。でも語呂も活字のバランスも『関関同立』より強そうだよな」
A「実際弱いんだよ。それに俺はその中の一つに入学するだけであって、産近甲龍大学なんてものはないんだからな」
C「それは知ってるよ。馬鹿にすんなよ」
A「それに、お前に言われても、祝われた気がしないんだよな」
C「いやいや、俺のおめでたいって気持ちは本気だよ。ありがたがれよ」
A「まあ、ありがたいよ」
C「俺が受かった国立大の工学部なんて大したことないよ。それに比べてお前は本当にすごいな」
A「それを言っちゃったら、いよいよ馬鹿にしてるぞ」

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